
32年ぶりに日本で開催されるアジア競技大会を目前に控え、盛り上がりを見せる名古屋エリア。そこで、「名古屋めし」の概念を覆す、とっておきの名店を、グルメ活動家・見冨右衛門さんがナビゲート。「みそ煮込みうどん」「ひつまぶし」「手羽先から揚げ」だけじゃない! もう“経由地”なんて言わせない、“奥の奥”までお連れします!
ひつまぶし、みそかつ、みそ煮込みうどんなど、名物料理が豊富な地、名古屋。しかしながら、いわゆる“名古屋めし”ではなく、「“その一歩奥”を届けたい」と、見冨右衛門さんは話す。
「名古屋は“名物料理が多い街”というより、“特定の料理を独自の形になるまで磨き続けてきた街”。ひつまぶしには鰻を扱う職人がいて、みそかつにはとんかつを追求するプロがいる。そこで今回は、名古屋めしの“本質”を探ります。この地で料理の技を磨き続けている料理人を訪ね、名古屋めしを生んだ街の精神はどこにあるのか、いま本当に行くべき名店をご案内します」(見冨さん)
とんかつ 土本
熟成させた銘柄豚、揚げへのこだわり…。とんかつの哲学と真髄

日替わりで銘柄豚3~4種類の中からロースやヒレなど、好きな部位を選ぶことができる。豚肉は2週間以上熟成させることで、一層旨みが際立つ仕上がりに。「ロースは華やか、ヒレはしなやかで上品な余韻が残る…。うまい豚肉を探す情熱と揚げの技術の探究心が素晴らしい名店です。名古屋でとんかつを語るうえで、いまや外せません」(以下、見冨さん)。
住所:名古屋市千種区池下1-3-1 パックス池下1B


うなぎ家 しば福や
全国屈指の鰻処で、プロの地焼きを味わう幸せ

名古屋の鰻の名店『炭焼 うな富士』で15年間修業し、料理長も務めた店主が2018年に開業。店主の実家は鰻の養殖家で、まさに鰻のプロ。蒸しは入れず、備長炭の高火力で焦げる直前まで一気に火を入れ、豪快に焼き切るのが名古屋流。「外はパリッと香ばしく、中はふんわり…これぞ名古屋の地焼き! ひつまぶしもいいですが、まずは鰻本来の旨さをシンプルに堪能してみて」。
住所:名古屋市西区那古野1-23-10




kitchen 俊貴
アップデートが止まらない、名古屋が誇る洋食の極み

最高級の食材、調理法など、細部までこだわり抜いた当店は、「もはやただの街の洋食店ではない」と見冨さんは熱く語る。まるでフレンチさながらのコース料理を展開し、A5級の雌牛だけで作る切った瞬間からとろけるレアハンバーグや、1週間かけてブラウンソースを仕込む漆黒のビーフシチューなど、レベルの高さに唸る。
住所:名古屋市中区葵2-13-30 アマーレ葵1F



「ガストロノミー」とは、食事をするだけでなく、食材が育った風土や歴史、調理の技術やシェフの哲学までを含めて楽しむ美食学のこと。
地元食材にこだわり、食材への敬意や愛をもって、新たな一皿へと昇華する、見冨さんイチオシの2店を訪れました。
MEI
山へ、市場へ、食材を探しに。物語とともに命をいただく

シェフの高畑邦暢さんは、「名古屋は自分の欲しい食材がいつも近くにある」と話す。自ら季節ごとに山に入って天然のきのこや山菜を採り、冬には自ら狩猟を行い、獲った命を自分の舌で確かめ、料理として提供している。それはイタリアで修業後、魚市場で1年働き、日々水揚げされる魚と向き合った日々と変わらない。いまも柳橋中央市場まで約20分自転車を走らせ、三河湾、伊勢湾の新鮮な魚介を仕入れ、自分でとった食材を軸に料理を丁寧に組み立てる。「食材に愛情を傾け、皿の中にひとつの物語を生み出す。MEIはそんな感動をいただける唯一無二の場所なんです」。
住所:名古屋市西区那古野1-23-2 四間道糸重3


Reminiscence
愛すべき地元食材の余韻と記憶が舌に残る

店名の『Reminiscence』(追憶、回想などの意味)は、「いつか幸せな記憶として思い出してもらいたい」という葛󠄀原将季さんからのメッセージ。東西を代表する三つ星レストランで研鑽を積み、名古屋の食材である鰻を極めるため、老舗鰻店『あつた蓬莱軒』でも修業するなど、常に最高のクオリティを料理に求める。「複雑ながら、シンプルになった」という独創的な料理の数々は、まさに幸せな驚きが舌に記憶されるものばかり。「地産地消の域を超え、食材を通じて人と人をつなぐ料理を堪能できます。東海地区の生産者と協力し、その技術をフレンチの文脈で表現する名手。料理の余韻と共にまた訪れたくなります」。
住所:名古屋市東区筒井3-18-3




名古屋へは個室で行こう!
JR東海では、10月1日より最上位クラスの完全個室『Supreme Class Cabin』を東海道新幹線に導入予定(9月15日より予約開始予定)。上質なプライベート空間で移動時間も楽しんで!

◆教えてくれたのは:グルメ活動家・見冨右衛門さん
延べ1万1000軒を超える飲食店を訪問し、自身のグルメサイト『食べある記』で発信。レストラン経営やプロデュースなどを手掛ける。Instagram/@mitomi_emon

撮影/田中宏幸、菅井淳子 取材・文/岸 綾香
※女性セブン2026年9月24日号