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《美容整形の光と闇・後編》女性たちの強い欲望を支える美容整形の進歩 施術の幅が広がりコストも大幅に軽減、一方で満足できずに手術を繰り返す「アディクション」の懸念も

時代とともに美容整形が受け入れられている(写真/PIXTA)
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 美容整形をテーマにしたドラマ『ダウンタイム』がNetflixで配信され、話題となっている。「美しくなりたい」「自分を変えたい」「理想の姿になりたい」──強い欲望を抱きながら、女性たちは美容クリニックに足を踏み入れる。その全貌を赤裸々に描いたこの作品。美を追求する女性たちの“リアル”には希望や葛藤、コンプレックスが渦巻いている。かつては、批判的な視線を向けられていた美容整形だが、2000年代には「プチ整形」といった言葉も登場し、徐々に当たり前のものとなっていく──。そんな美容整形の光と闇に迫る。【前後編の後編】

容姿を理想に近づけて前向きに生きるために

 かつて蔑まれた美容整形が“当たり前”の光景になるまで、時代とともにさまざまな要因が重なり合った。

 美容医療ニュースサイト『ヒフコNEWS』編集長の星良孝さんが指摘するのは「韓国整形」の影響だ。

「2008年の世界金融危機の頃に韓国は医療法を改正し、国外から多くの患者を受け入れて大量に美容整形を施し、外貨を稼ぐ国策にシフトしました。同時期にK-POPブームから『Kビューティー』が注目されて、多くの日本人女性が韓国に渡って施術を受けました」(星さん)

 美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんも韓国の猛烈なバイタリティーが日本に波及したと指摘する。

「学歴競争や家柄のヒエラルキーが激しい韓国社会を生き抜くには見た目が重視され、“美容整形をしないのは意識が足りないか、お金が足りないかのどちらか”といわれるほど。美容整形したことを隠さない韓国文化に触れることで、日本人女性の美容整形に対するハードルが低くなりました」

日本の美容整形の歴史
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 2020〜2023年のコロナ禍による生活様式の変化も追い風になったとされる。大阪公立大学美容外科学寄附講座特任准教授で形成外科医の原岡剛一さんが語る。

「オンラインでのコミュニケーションが増えると自分の顔に向き合う機会が増え、老け顔や疲れた表情が気になり美容医療に興味を持ち始めます。

 いまはスマホで撮った写真を加工して“盛る”ことができますが、オンラインや鏡でリアルな自分の顔を見て現実に引き戻され、理想を求めて美容医療に走る人も多くなったのでしょう」

 コロナ禍ではマスク着用が当たり前になり、ダウンタイムで赤く腫れた顔を周囲に隠しやすかったことも心理的に後押しした。

 時代とともに美容整形が受け入れられると、それを自己実現の手段にする女性たちが現れる。

 顔を整えてモデルや女優になりたい、胸を大きくして水着を堂々と着れるようになりたい、薬剤を注入していつまでも若々しくありたい——『ダウンタイム』では整形後に不慮の事故で顔面が崩壊するも泣きながら「元の顔に戻るくらいなら死ぬ!」と訴えるシーンがあるなど、自己実現と命が天秤にかけられる場面が幾度となく現れる。

 美容整形の手術を受けた後、変わる女性もいると原岡さんが指摘する。

「人前に出ることが苦手だった女性が顔や胸の手術をすることで明るくなる例もあります。男性は女性にモテたくて整形するケースが多いのに比べ、女性は自分の容姿を理想に近づけることでコンプレックスを克服し、前向きに生きるために美容医療を受ける傾向が強いといわれています。実際に私も、自分への投資として美容整形を選ぶ女性がかなり多いと感じます」

 最近の若い女性たちは「美容整形を受ければ稼げる」との認識を持つようになったと語るのは精神科医の片田珠美さん。

「一昔前、キャバクラなど夜の街で働くことは水商売のどこか後ろめたいイメージがありましたが、いまは整形してきれいになり、大きく稼ぐ女性はスターです。“将来の夢はキャバ嬢”という子供さえいます。昔から美人は玉のこしで優雅に暮らせるとの話はありましたが、いまはもっと露骨に整形すれば自分でお金を稼げる世の中になりました」

 社会進出や自己実現、有名になりたい、お金持ちになりたいという女性らのとめどない欲望をサポートするのが医療技術の進歩だ。

「昔はメスで大がかりに皮膚を切開していましたが、いまは注射だけですむ選択肢も増えました。

 シリコンを入れるしかなかった鼻の手術は、軟骨の構造をイチから作り直せるようになるなど、技術は進歩しています。このように手軽なものから大がかりなものまで、さまざまな施術の幅が広がったことも美容外科をより身近にしました」(原岡さん)

 施術の幅が広がる一方、足かせだったコスト面も負担が大幅に軽減された。

「自由診療の美容整形ではフェイスリフトが300万〜500万円、鼻の整形がトータルで100万円ほどですが、ボトックスやヒアルロン酸は概ね10万円ほどで、安価ではないけど低価格になった。

 しかも韓国に渡れば一単位1万円を切るほど激安で、美容整形はもはやメイクの延長といえます」(星さん)

選んではいけない美容クリニック8つの特徴
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