家族が引退を後押し
「仕事相手に迷惑はかけない」をモットーに体調管理に余念がなかった伊東だが、近年は異変が生じていた。“決定打”となったのは昨年6月。東京都議選の投票に行った帰り道、自宅近くの路上で倒れてしまったのだ。その場に居合わせた別の近隣住民が明かす。
「伊東さんの家から投票所までは歩いて数分の距離。近いから大丈夫だと思ったようですが、その日はとにかく暑く、熱中症になってしまったようです。様子がおかしいなと思っていたらバタッと倒れたので、何事かと慌てて駆け寄りました。伊東さんは、意識はあるものの手足が動かせず、私がご家族を呼びに行きました。その後駆けつけた息子さんに支えられて、何とか家に帰っていきました」
この日以来、伊東は日課にしていたウオーキングをぱたりとやめたという。
「まさか自分が熱中症になるとは思っておらずショックが大きかったのでしょう。家族に迷惑をかけてはいけない、とひとりで出歩くことも控えるようになったそうです」(前出・芸能関係者)
3年ほど前には「あと10年は(仕事を)やりたい」と意気込んでいた伊東。しかし、衰えとともに、その心情も変化していったようだ。
「伊東さんが心の師と仰いでいたのが、喜劇界の先輩、森繁久彌さん(享年96)でした。生涯現役を掲げていた森繁さんですが、実は90才を迎えた頃を機に、徐々に仕事に区切りをつけ始め、90才で出演したドラマ『向田邦子の恋文』(TBS系)が俳優として最後の仕事になりました。体が悲鳴を上げ始めたことで“引き際”を悟り、師に倣って90才を節目に芸能界から身を引くことを決めたのでしょう」(前出・芸能関係者)
その決断を後押ししたのはほかでもない家族だった。
「伊東さんは現在、息子家族と同居しています。伊東さんが引退を打ち明けると奥さんは『お父さん、それがいい』と即座に賛成し、3人の息子も迷わず父の決断を尊重したそうです」(前出・芸能関係者)
今年7月、本誌『女性セブン』のインタビューで「この世界に入って60年以上続いただけで充分」「あとの人生はおまけ」と語った伊東。“理想の最期”は実父の“逝き方”だという。
「がんを患って入院した伊東さんの父親は動揺することもなく、病室で伊東さんに『しょんべん』とつぶやき、そのまま静かに亡くなったそうです。生に執着せず死を受け入れる姿勢に感銘を受けた伊東さんは、『死が迫ったら自分も“しょんべん”を最後の言葉にしたい』と心情を吐露していました」(前出・芸能関係者)
引退まで残り8か月。唯一無二の喜劇俳優は芸能界に執着せず、静かな日常に身を投じる覚悟を決めた。
※女性セブン2026年10月22日号