体力を奪う治療や手術は慎重に
都内在住のAさん(81才)は、3年前に胃がん手術をしたことを後悔していると語る。
「手術は成功したものの、胃を半分切除して思うように食事がとれなくなり、体力も落ちて家にこもりきりに……。食べることが生きがいだったのに、こんな状態で長生きする意味があるのかなと考えては、落ち込む日々です」
“がんは切るのがいちばん”といわれることもあるが、高齢者の手術は想像以上に体力を奪い、術後にQOL(生活の質)が下がる恐れがある。
「無理して手術を受けると免疫力が低下し、ほかの病気を発症するリスクも上がる。高齢者のがんの進行は遅いので、70才を超えての手術はリスクを考えないといけません」(和田さん)
一方、高岡さんは76才のときに人工股関節置換術の手術を受けた。
「手術を回避できる見本になりたいと、長らくストレッチなどでケアしていましたが、ついに歩くことも難しくなり、日常生活に支障が出たため手術に踏み切りました。術後は事前に計画したリハビリに励みました。年齢がリスクを高める手術もありますが、痛みのない生活を取り戻すためにも、医師と相談しながら手術を検討してほしいと思います」(高岡さん)
“知らなくて幸せ”に過ごせるならその方がいい
健康への不安が高まる70代こそ、健康診断の結果に左右されないことも心がけたい。
「70代になると病気の早期発見・治療は必ずしも最適ではありません。70代に突入すると、何かしらの『異常』は見つかるのが普通ですが、日常生活に支障がなければ治療する必要はないケースも多い。“知らなくて幸せ”に過ごせるならその方がいいという考え方もあります。不安になって薬に頼る人も多いですが、5種類以上の薬をのむと転倒リスクが急に増加し、逆に健康を損なう恐れがあるので注意しましょう」(和田さん)
(第2回に続く)
※女性セブン2026年10月29日・11月5日号