
「いやあ、うれしいな。これ、忘れてたけど……いただいたものが大きすぎるから」。10月16日、NHKの情報番組『あさイチ』に出演した中島歩(38才)は、生前の美輪明宏さん(享年91)が自身を評価する映像を目にして、感極まった様子で言葉をかみしめた。
「中島さんはモデルとして活動していた2013年、美輪さんが主演・演出を務めた舞台『黒蜥蜴』で大役に抜擢されて俳優デビューを果たしました。彼にとって美輪さんは、役者としての道を開いてくれた大恩人。訃報に際しても、『何もない僕を見つけてくださってありがとうございました。美輪さん、愛しています』と敬愛の念を込めて追悼していたほどです」(芸能関係者)
6月20日に美輪さんが旅立ってから約4か月。中島のように、美輪さんから「大きすぎるもの」を受け取った人々の胸には、いまもその深い愛情が鮮やかに息づいている。
個人事務所「オフィスミワ」の社長で、美輪さんの養子でもあるA氏もそのひとり。美輪さんが亡くなってから約2か月後の今年8月、長年暮らした白亜の大豪邸はA氏が正式に引き継いだ。
「東京・世田谷区の一等地に建つ南欧風の邸宅で、約180坪の土地だけでも資産価値は7億円を下りません。10億円以上ともいわれる美輪さんの莫大な遺産の行方が注目されていましたが、40年以上にわたり公私で美輪さんに尽くしたAさんに、というのが美輪さんの願いだったはず。自宅の相続が無事に済んで、周囲は涙ながらに安心しています」(前出・芸能関係者)
自身の美学を貫き、血のつながり以上に「義理」や「慈悲の心」を重んじていた美輪さんは、かつて自身を支えてくれた人々にも深い情愛を注いでいた。
「私たち家族がこうして暮らしてこられたのも、すべて美輪さんのおかげです。感謝しかありません」
そう振り返るのは、「オフィスミワ」の黎明期を支え、5年前に他界した前社長・B氏の妻だ。
「主人(B氏)は『黒蜥蜴』のときもがんばっていましたが、美輪さんより先に亡くなってしまってね。病室でいよいよ最期というとき、電話越しに美輪さんから『あちらは痛い世界じゃないからね』と優しい言葉をかけていただいたことは忘れられません。その一言に救われ、私も主人を『行ってらっしゃい』と見送ることができたんです。葬儀にも立派な車で駆けつけ、お参りをしてくださいました」(B氏の妻)
B氏の自宅の玄関には、美輪さんからプレゼントされたという金の飾り物がいまも大切に置かれている。
「この家に引っ越したとき、『玄関に置くといいから』って美輪さんが伊勢丹で買ってくださったんです。美輪さんのご自宅にも一度うかがったことがありますが、きらびやかですごかったですよ。昭和40年代に事務所を立ち上げた当初はお金がなくて大変な時期もあったけれど、その後は私たちも美輪さんに養ってもらったようなもの。近々息子たちを連れて、お墓参りに行こうと思っています」(B氏の妻)
美輪さんが眠る墓は、東京・大田区の日蓮宗の寺院にある。墓誌に刻まれた戒名は「紫雲院芳心唱永日宏居士」。歌声と輝く光で人々の心を照らし、おめでたい雲とされる紫雲に包まれるような徳の高い人物という意味が込められているという。
「私も美輪さんのお仕事を手伝ったことがありますが、人の心をすべてお見通しで、お顔をまともに見ることもできませんでした。美輪さんは、清らかで心のきれいな人を愛していました」(B氏の妻)
前出の中島は、生前、《愛こそ全て。愛こそ平和への最大の武器だ》と語っていた美輪さんのメッセージに感動し、「僕も役を通して何かを伝えられる俳優になりたい」と恩返しを誓った。人々の胸に刻まれた「大きすぎる愛」。それこそが、美輪さんが残した最大の財産かもしれない。
※女性セブン2026年11月12・19日号