夏真っ盛り。今年は気温が40℃に達する地域も多く、まさに酷暑だ。そんな状況では食欲が落ちて、夏痩せする――そう考えているとしたら大間違いだ。実は夏に太る人のほうが断然多いという。
医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんはこう語る。
「夏は汗をかきやすいので基礎代謝量が多い時期と考えがちですが、夏の気温は体温に近いため、エネルギー消費量が少なくて済みます。そのため基礎代謝量が冬と比較して10%程度減っています。私の実感としては夏痩せする人が全体の10%に対し、夏太りする人は全体の30%ぐらいもいます」
日中、クーラーの効いた室内で過ごすため体力はそれほど落ちず、夏バテによる食欲減退よりも、むしろ夏に食が進む人のほうが多いという。
「暑いからと、冷えたビールが進み、アイスクリームなど余計なカロリーを摂取してしまいがち。夏は太りやすい食生活に陥るリスクがあちこちに潜んでいます」(福田さん。以下「」内同)
夏に太ってしまうと、そのまま食欲の秋になり、忘年会など外食の機会の多い年末年始に突入してしまう。夏太り対策をしておかないと痩せるチャンスを失い、“デブスパイラル”に陥ってしまうのだ。
炭酸、栄養ドリンク、果汁ジュースの過剰摂取はNG
運動もしていないのに「汗をかいた」とスポーツドリンクを飲み、「疲れたから」と栄養ドリンクを飲む。そんな習慣のある人は注意が必要だ。
「スポーツドリンクや栄養ドリンクは、夏に屋外で運動や作業をしている人にはいいのですが、そのカロリーを考えると1日の多くを室内で過ごす人に必要かというと疑問です。水などノンカロリーのものを摂るのがベター。ライフスタイルに合った水分補給を心がけましょう」
同じく、爽快感のある炭酸飲料やビタミンCの摂れる果汁入りジュースも、カロリーの過剰摂取につながる。
「ほかにもアイスクリームなどの冷たいスイーツは、冷えた状態でちょうどいい甘さになるように糖分が多く含まれています。市販のアイスクリームの平均的なカロリーは250~300kcalですが、これはご飯一杯分(約240kcal)以上。糖分、エネルギーともに高いという認識を」
冷たい麺の“早食い”はNG
冷たい麺類を食べる機会も増える。それも夏太りの一因になりかねない。
「温かい食べ物とくらべて食べやすいので早食いになり、満腹中枢が働く前にたくさん食べてしまう。麺類を中心とした食生活は野菜の摂取も減ってしまいます。野菜に多く含まれる食物繊維には摂り過ぎた糖分をからめとり、体に吸収させずに排出したり、血糖値の上昇をなだらかにしてくれる働きがありますが、その効果が期待できなくなってしまうのです」
麺類など炭水化物の多い食事は血糖値が一気に上昇する。すると摂取したエネルギーを、そのまま脂肪として蓄えやすくなってしまう。また、お酒の席では、唐揚げやフライドポテトなど脂っこい食事が並ぶ機会も増える。暑い時期は体が冷たいもの、脂っこいものを欲するため、普段よりも注意が必要なのだ。
では、普段の食生活でどのような対策をしていけばいいのだろうか?
3つの「あ」の摂り過ぎに注意
対策としてはまずは3つの「あ」に注意すること。アルコール、甘いもの、脂もの。これらを摂り過ぎないように心がけよう。
「甘いもの、こってりとした脂ものはカロリーが高く、どんどん摂取カロリーの上乗せをしてしまいます。唐揚げは普通の大きさのもの3つだけでも300kcalほどある。また、お酒を飲むと食欲が増進し、体が火照ると冷たいものがよりおいしくなるという負の連鎖も起きるのです」
水分補給はお茶がおすすめ!
茶カテキンは脂肪燃焼効果が認められているため、水分補給はお茶がおすすめだ。500mlのペットボトルのお茶であれば、1日1~2本ぐらいの量を目安にするといい。ほかに褐色脂肪細胞の活性作用が報告されているとうがらし、にんにく、しょうが、キムチなどの摂取も心がけたい。
「褐色脂肪細胞の活性作用によりエネルギー消費が促進されると言われています。ただし、あくまでもサポート。やたらに食べたり飲んだりしたからといって痩せるわけではありません。いろいろ選択肢があったときに、“どうせ食べるならこっち”という気持ちで」
食事やおやつをスマホで撮る
食事やおやつ、飲み物などをスマホで撮影すると1日に食べている量を認識できる。食べ過ぎている場合は「こんなに食べているの?」と客観的になれるのだ。
「ダイエット仲間を作ってLINEで食べたものの写真を送り合うと、励みになり、食べ過ぎた時は注意しあえます」
開放的になる夏。冷たいもの、脂っこいものについ手が伸びるが、そんな食生活はテキメンに太ってしまうことを肝に銘じたい。
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