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《いい歳してナプキンを持ち歩かない吉田議員を殺害します》生理の貧困問題が国会で議論「殺害予告」まで飛び出す中、先進的だった「中野区などの取り組み」

手洗い場に置かれた生理用ナプキン
生理の貧困に自治体も動き出している(写真/Photo AC)
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三重県議会の吉田あやか議員が3月25日に公式Xへ投稿した内容をきっかけに、8千通の殺害予告メールが届くなど、女性用トイレへの生理用品設置の是非が話題となった。

吉田議員は、投稿内で突然の生理に対応できず、《トイレットペーパーみたいに、生理用ナプキンをどこでも置いてほしい。》と呼びかける。続けて《市役所にも設置を、との議会での質問には、市当局は消極的な姿勢だったような記憶が。》と投稿し、生理用品の無料設置化への対応に疑問を投げかけた。

行政機関に生理用ナプキンを設置することは政府も課題としており、この件は参議院・内閣委員会において4月15日に議論された。その場では、《いい歳してナプキンを持ち歩かない吉田議員を殺害します》という殺害予告メールが1分おきに8000件以上同じメールアドレスから届いたという訴えもあり、吉田議員いわく「女性が上げた声を黙らせようとする」誹謗中傷も明らかになった。

国内で8.1%の女性が直面している“生理の貧困”

現在、世界的に“生理の貧困”が問題視されている。2017年、国際NGOプラン・インターナショナルがイギリスで行った調査をきっかけに「生理の貧困(Period Poverty)」という言葉が広く知られるようになった。厚生労働省の調査によると、「新型コロナウイルス発生後(2020年2月頃以降)、生理用品の購入・入手に苦労したこと」が「よくある」「ときどきある」と回答したのは全体の8.1%(3000人中244人)となっている。

OiTr
ディスペンサーにスマホをかざしアプリを操作すると生理用ナプキンが出てくる
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経済的な理由に加え、生理に対する社会的な理解不足もあり、生理用品を購入しにくい女性は日本国内でも存在している中で、2021年8月に日本の自治体で初めて生理用ナプキンの無料提供サービス「OiTr(オイテル)」を導入したのが、中野区、豊島区、横浜市だ。中野区の場合、区役所内の女性用個室トイレに計16台設置しており、生理に伴う女性特有の負担に対応することで、“ジェンダー不平等”の解消の一助になればという狙いがある。

中野区役所の利用者の反応に「継続した女性支援が必要」

中野区の担当者は、導入に際しての苦労を女性セブンプラスの取材に対し「無料設置という形態が初めてであったため、導入に際し、複数の関係所管との調整が必要だったこともあり、設置の前後に4か月程度の時間や手間がかかりましたが、設置すること自体への一定の理解はあったと認識しています」と回答。

また、導入以降4年経つが、利用者の反応について「設置以降、毎月一定数のご利用があるため、継続した女性支援が必要であると考えています」と答えた。

自治体で広がる生理用品の無料配布

現在、さまざまな自治体が、民間の事業者と連携して公共施設の女性トイレで、生理用品を無料で受け取れるシステムを導入している。

このサービスでは、利用者がアプリを起動したスマートフォンを壁に設置されたディスペンサーにかざし、アプリ画面の「取り出し」ボタンをタップすると、ナプキンを1枚受け取ることができる。ナプキン代は、便座に座ると人感センサーが反応して液晶モニターに無音の広告が流れる仕組みによる広告収益などで賄われるため、自治体にはほとんど負担がない。

トイレのモック
生理用ナプキンの無料提供サービス「OiTr(オイテル)」を設置したトイレのイメージ(写真/PR TIMES)
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生理用品に関する自治体の取り組みは、このような無料設置をするだけでなく、備蓄の生理用品セットの提供なども行われている。吉田議員のように、とっさに対応できないこともある女性の生理について、今後ますます理解が深まっていくことを願いたい。