20 代の頃から変わらない透明感と大人のしなやかさをあわせ持つ、女優・大塚寧々さん(52歳)。6月1日(火)から当サイト『8760(ハチナナロクマル) by postseven』で連載エッセイ「ネネノクラシ」をスタートさせる。隔週火曜日に掲載予定で、何気ない日常を大塚さん独自の視点で、気ままに、そしてユーモアと茶目っ気たっぷりに綴っていく。そんな大塚さんの毎日の暮らしとは――。
この日の撮影は、ソファに体をもたれかけるところからスタート。そのなにげない仕草も、50代とは思えないしなやかさ、美しいウエストラインが印象的だ。そして、無造作にソファに置かれた白くてきれいな手――どれだけ入念なケアをしているのだろうか……?
「保湿はしっかりやっていますよ。お皿洗いした後には、ハンドクリームで保湿したり……。ゴム手袋? 食器を洗うたびにするのって、ちょっと面倒くさいですよね(笑い)。それだったら素手でパーッと洗っちゃったほうがいいので」と笑う。美のケアもあくまで自然体だ。
年齢は受け入れざるを得ないもの
女性の50代といえば、さまざまな体の不調が現れるデリケートな時期。日々変わりゆく心と体を素直に受け入れられず、悶々と過ごす女性も多い。
「年齢は受け入れざるを得ないですよね(笑い)。どうやったって、誕生日がくるたびに、毎年カウントされますから。確かに、なんとなく疲れやすくなったなとか、今日は調子がよくないなと感じる日もあるけれど、いまはそういう時期なんだと思うんです。でも健康だけには気をつけようと思っていて」
太極拳としょうがで不調知らず
長く続けているという健康法はヨガやピラティスなどのおしゃれ系かと思いきや、太極拳だという。このコロナ禍でも、自分のペースで楽しくのめりこんでいるらしい。
「太極拳は、もう5年ぐらい続けています。ほとんど家の中にいることで、体がなまってしまわないように、基本的には1日1回、家の中で24式(24式太極拳)をやるようにしてるんです。動きは緩やかで流れるような感じですが、もともとは武術なんです。
32式(32式太極拳)になると、こーんな(両手を大きく広げるくらいの長さ)剣を使って振り回すので、そのときはさすがに庭に出てやっています。
太極拳の動きが、すごく自分に合っているんだと思うんです。全身の気が流れて整う感じがします。肩こりも減ってきたんじゃないかな。男女問わずにおすすめしたいですし、激しいスポーツじゃないので体を壊す心配もなく、体ひとつでできる点がいいんです。あとは無理をしないで、疲れたら寝る! 眠いのは、体が睡眠を必要としているということ。さっさと寝ます(笑い)」
“寧々流”の暮らしの楽しみ方はほかにもある。小柄でスレンダーな体形ながら、風邪を引くことはほとんどないとか。健康の秘訣は、食にありそうだ。
「我が家は、しょうがとねぎとにんにくの摂取量がものすごく多いんです。そしてものすごい香辛料好きかも。お料理にはいろんな香辛料・スパイスを使っています」
大好きなホームウェアはスウェット!?
さらに“寧々流”の真骨頂と言えば、やはりファッションだ。若いころから、帽子を取り入れることが多いという。
「帽子は大好きです。たくさん持ってますけど、外に出る機会が少ないので、最近使ってないです……。ファッションに帽子を取り入れるのが難しいという人もいるけれど、逆に帽子があるだけでなんでも決まる、“帽子さまさま”な感じです。
確かにあまりにつばが大きなものだとちょっと難しいけど……。かぶりやすくて、手に取りやすいもの、暑いなと思ったら、かばんに“ぽん”って入れたりできるような型崩れしないタイプが好きです」
帽子好きは変わらないけれど、50代を迎えてからのファッションに何か変化はあったのだろうか。
「前よりも素材の心地よさを考えるようになったかもしれないですね。シルクも麻もコットンも気持ちいいし、自然素材のものを選んでいると、いつも気持ちがいいんです。あとはスウェット・ラブ。家ではほぼスウェットです(笑い)。
いわゆる普通のスウェットが好き。逆にデニムはここ3年ぐらい履いてないかも。スウェットを履いちゃうと、デニムになかなか手が伸びないんですよね」
撮影ではベージュのロングジレをこなれた感じで着こなし、晴れ渡るこの日の空のような鮮やかなスカイブルーのセットアップでは、シルエットを美しくひるがえす大塚さんの“スウェット・ラブ”発言に、一気に親近感がわいてくる。そんな大塚さんの、いまのファッションルールを聞いてみると――。
「色はたくさんは使いません。小物とかバッグに使う程度。あとはやっぱり着ていて心地が良いものを選びます」と即答。
「無理はしない。完璧にしない」
好きな食べ物、好きなファッションに正直で、メリハリのある生活を楽しむ大塚さんに、同年代の女性へエールを送ってほしいとお願いすると、「あくまでも“私は”ですけど」と前置きをしながら、淡々と語ってくれた。
「結局、自分も健康で、家族も健康で、毎日笑っていられればそれでいいかな。そして無理はしない。完璧にしない。例えば、疲れていたら、掃除機を毎日かけなくても、“ま、いっか”とゆるい感じで。無理をしないで“ゆるくゆるく”ということを、いつもなんとなく実践しています。もちろん仕事は一生懸命しなきゃいけないけれど、仕事じゃないところでは、“ま、いっか”って。疲れたら休んでもいいんじゃないかな」
大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。
撮影/LUCKMAN ヘアメイク/小田切ヒロ(LA DONNA) スタイリスト/安竹一未(kili office) 取材・文/田名部知子
ジレ、パンツ(ともにプレインピープル)、Tシャツ(ペレック/タク&コー)ネックレス、リング(ともにマリハ)、靴(カルチェグラム/デュプレックス)
タク&コー http://pelleq.com
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