暑い季節に特に活躍するTシャツは、何度も着ては洗って、いつのまにかヨレヨレに…。できることなら、長持ちさせたいですよね。
クリーニング店「LIVRER YOKOHAMA」を経営するかたわら、劇団四季やシルク・ドゥ・ソレイユなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングも担当する洗濯のプロ集団・洗濯ブラザーズの茂木貴史さんによれば、洗濯のひと工夫でTシャツの形をキープできるそう。その方法とは?
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ヨレヨレ防止はネット、洗剤、脱水の3つがカギ
シワがつかないようにするには、ネットに入れて洗うことが必須です。そこで、まずは正しいネットの使い方と、洗い方のポイントを紹介します。
洗濯ネットのコツは”余白”をなくすこと
ネットを使って洗濯するときは、ジャストサイズのものを選んで、1枚ずつ入れるのがベストです。
けれど、一度にたくさんの服を洗濯する場合は、なかなか面倒ですよね。そういうかたは、大きなネットに何枚か入れてもOKです。余っている部分をしばり、中の服が動かないようにするといいですよ。ネットの中で服が動いて伸びたり、シワが寄ったりすることを抑えられるので、Tシャツがヨレヨレになるのを防げます。
洗剤の選び方で、ヨレヨレを防げる
洗濯をするたびに酸素系漂白剤を使っている人は要注意です。肉眼では見えない程度に少しずつ繊維を溶かして洗っているので、洗濯のたびに衣類に負担がかかっています。さらに、酸素系漂白剤は40℃以上のお湯で活性化するので、常温の水では効果が発揮されずに、むしろ服を傷ませるだけなんです。
それと、酸素系漂白剤と同じくらい注意するべきなのは、蛍光漂白剤が入っている洗剤ですね。蛍光漂白剤は白いものをより白く見せる洗剤で、服へのダメージがあります。毎回使うのではなく、必要に応じて取り入れましょう。
ふだん洗いの洗剤選びで迷ったら、弱アルカリ性の液体洗剤を選ぶのがベター。洗浄力、服への影響、価格のバランスがほどよいです。
洗濯機の脱水の設定を見直す
ヨレを防ぐために、脱水の設定を見直すのも一つの手です。脱水の時間を短くしたり、脱水のときに洗濯槽をゆるく回す「ソフト」モードにしたりすると、服へのダメージが抑えられます。洗うことよりも、遠心力が働く脱水のほうが、シワができやすいんです。
なので、脱水時間は、デフォルトが5~7分の洗濯機が多いですが、Tシャツ洗いのときは3分ほどにすると、ダメージが少なくて済みます。
正しい乾燥テク|乾燥機、ハンガーの正しい使い方
洗い方の次は、ヨレやシワを防ぐための乾燥機の使い方や、ハンガーの選び方もお教えします。
目からウロコの乾燥機の使いかた
実は、脱水した服をそのまま乾燥機にかけるのではなく、自然乾燥させて8~9割ほど乾いた服を15分くらい乾燥機にかけて仕上げると、シワがつきづらく、繊維がふんわりするので着心地もよくなります。
意外な方法かもしれませんが、最初から乾燥機を使うより、半乾きになってから使った方が、洗濯物が傷みづらく、柔軟剤いらずでフワフワに仕上がります。水に濡れた生地は繊維が弱っているので、急激に熱をかけると傷んでしまうんです。でも、ある程度乾燥してからであれば服へのダメージを減らすことができます。
使い方に注意すればワイヤーハンガーでもOK
洗濯物を干すときは、できれば幅広のハンガーや平干しがベストです。
ワイシャツやブラウスなど、型崩れしやすいものは幅広のハンガーに、ニットは平干しに、と衣類によって使い分けましょう。
幅広のハンガーは幅を取ってしまってスペース的になかなか難しいという家庭も多いでしょう。Tシャツは生地がしっかりしているのでワイヤーハンガーを使っても問題ありませんが、その場合は、乾燥したらすぐに取り込んでたたむようにしましょう。そうすれば、基本的に肩が抜けたりすることはありません。
◆教えてくれたのは:洗濯ブラザーズ 茂木貴史さん
茂木貴史、茂木康之、今井良の3人で洗濯のプロ集団「洗濯ブラザーズ」を結成し、毎日の洗濯が、「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。キレイに洗えるだけではなく、同時に服を傷めず長持ちさせられるのが、洗濯ブラザーズ式・洗濯術の特徴。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど、国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを担当している。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行い、著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)は8万部を突破。また、オリジナルのナチュラル洗剤を開発し、好評を博している。https://sentakulife.com