ワクチン接種がすすみ、コロナ収束を願いながら、先々の旅の計画に思いを馳せるかたもいらっしゃるのでは?
コロナ禍前とは、旅の常識も変化しています。今回は、事前の準備や旅先で戸惑わないための「旅の新常識」を、旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介します。
(※2021年8月25日現在の情報をもとに執筆。対応は流動的ですので、最新情報は各自で確認してお出かけください)
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コロナ禍旅行の交通事情|飛行機、電車の注意点とは?
飛行機は、「予約した便が必ず運航する」とは限りません。予約状況に応じて減便・運休をすることがあり、「緊急事態宣言」の発令や「まん延防止等重点措置」の適用が続くコロナ禍では、想像している以上に多く発生しています。
予約した便が減便・運休の対象となった場合には「代替便(前後の便)に振り替え」「無料でキャンセル」等の対応になります。航空会社のホームページで告知があるほか、メールにて連絡が来ますので、確認漏れがないようにメールアドレスを登録しておきましょう。また、万一に備えて、到着後も時間に余裕のあるスケジュールを心がけましょう。
列車は指定席予約ができれば、運行についての安心感は比較的高い
列車はどうでしょう。JRでは、新幹線や特急列車などの運行を、予約状況に応じて直前に決定する動きがあります。時刻表に記載があっても臨時列車を中心に「運行見通しが立つまでは指定席券販売を見合わせる(運行が確定してから指定席券を販売する)」という対応もとられています。そのため、通常の販売開始日である「乗車一か月前の10時」に指定席予約ができないケースもあるので注意しましょう。
ただ、指定席予約ができれば、運行についての安心感は比較的高いといえます(※天候や事故等の場合は除く)。
その他、車内販売などの飲食サービスは緊急事態宣言の影響を受けやすく、特に長時間の移動の場合には、自ら準備をするなども検討を。
実は飛行機なら2~3分、新幹線は6~8分で空気が入れ替わっている
なお、飛行機や新幹線などの特急列車は、窓があかないこともあって密閉空間と思われがち。実は飛行機なら2~3分で、新幹線は6~8分ほどで、中の空気は入れ替わるといいます。飛行機、鉄道ともマスク着用が必要なので、特に飲食をしたあとも含めて、お忘れなく。
コロナ禍旅行の観光施設事情|入場制限や予約が必要な施設が増えている
コロナで三密回避が求められる中、事前予約が必要な施設が多くなっています。特に美術館や小さな寺院などの屋内施設は、密対策として予約制が増えています。
このシステムは、「密にならずゆっくり楽しめる」という、旅行者にとってはメリットもあります。一方で、「知らずに行くと入場できない」、入り口ではチケット販売がなく、スマホから予約を入れなくてはいけないことも。キャンセルができないケースも多くあります。必ずホームページ等で、予約の必要の有無や、営業時間の変更や閉館となっていないかを、確認してから出かけましょう。
コロナ禍旅行の飲食事情|HPの情報はあてにならない?夕食難民にならないように注意
度重なる「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の適用で、飲食店の営業は流動的です。ホームページの情報も、更新が間にあっていない店も多く、「行ってみたら休み」「早めに閉まっていた」なんてことは結構あります。密にならないように「予約のお客様のみ」対応という店、残念なことに長期休業ののち閉店する店も最近は増えてきました。最新情報を電話で確認してから行くようにするといいでしょう。
緊急事態宣言が発令されると、20時以降店が閉まり、タイミングを逃すと夕食難民になることがあります。宿で夕食を手配しておく、テイクアウトを持ち込めるか確認をしておくなど、あらかじめ夕食のめどをつけておくことをおすすめします。
コロナ禍旅行の宿事情|変わる「おもてなし」のかたち
コロナ対策として、三密回避の業界ガイドラインが設けられています。「GoToキャンペーンへの参加条件が、ガイドラインをクリアすること」だったこともあり、多くの宿で三密回避の取り組みが進んでいます。具体的には、「清掃や消毒の徹底」と「お客様とスタッフ、あるいはお客様同士の接触を減らす」という2つがポイントになっています。
接触を減らすというのは、例えばチェックインなら、オンラインやフロントの機械で行い人を介さない、あるいは混雑するフロントを避けて客室で手続きを行うなどの動きがあります。館内案内も、口頭では必要最低限を伝え、あとは紙面やアプリ等で、宿泊者自らが確認をする宿も多くなっています。接触を避けるために、荷物の客室への運び入れや、チェックイン前やアウト後の荷物の預かりをしない宿もあります。
不便に思うこともあるかもしれませんが、コロナ禍で安全・安心に過ごすための「新しいおもてなし」のスタイルだと、旅行者も理解をしておくことが大切です。
旅行を計画も緊急事態宣言が発令…取り止めのキャンセル料は?
せっかく旅行を予定していても、「緊急事態宣言」の発令や「まん延防止等重点措置」の適用に伴い、移動自粛等でキャンセルや変更をすることもあるでしょう。その場合のキャンセル料についてはどうなるのかも確認をしておきましょう。(※2021年8月25日現在)
まず旅行会社主催のツアーについては、添乗員などがいる団体ツアーが旅行会社の判断で中止となった場合には、キャンセル料はかかりません。ただし、中止の判断前に自らキャンセルをした場合には所定のキャンセル料がかかります。交通機関と宿などのセットなど個人型のフリーツアーについては、各社で対応が異なるので確認をしておきましょう。なお、手配旅行については、手配手数料ならびにキャンセルにかかる実費が請求となります。
大手航空会社では、「緊急事態宣言」の発令ならびに「まん延防止等重点措置」の適用が発生した場合、該当地域を離発着する航空チケットは、その種類にかかわらず、キャンセルや変更を手数料無料で受け付ける特別対応をしています。詳細は航空会社のホームページの案内で確認をしましょう。
JRについては、「緊急事態宣言」の発令や「まん延防止等重点措置」の適用が全国のどこかである場合、その期間に有効な切符については、チケットの運行地域を問わず手数料無料で、変更・キャンセルができます。
宿泊施設については、対応はさまざま。基本は、規定に応じたキャンセル料が発生しますが、個別の事情に配慮しているところも多いようです。予約時に確認、あるいは多少料金が高くても直前まで予定変更ができる宿泊プランを選ぶなども検討するといいでしょう。なお予約時と実際のサービスに差異が生じる(※無料送迎バスが運行中止になったなど)場合には、無料でキャンセルができることがほとんどです。
現状は、「緊急事態宣言」の発令や「まん延防止等重点措置」適用で、感染防止を理由に旅行計画を見直す場合には旅行者に負担がかかることは少ないと考えてよさそうです(除く:宿泊)。とはいっても対応は流動的で、いつ変わるかはわかりません。最新の情報を確認し、柔軟に計画の見直しができるように予約の際に心がけましょう。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん