昨今の炊飯器は、どれを見ても米の炊き方にこだわりがあり、どれを選んだらいいか迷う人も多いでしょう。そこで注目したいのが、“プラスアルファ”のお役立ち機能です。家電ライターの田中真紀子さんに解説してもらいました。
おいしくご飯を炊けるのは当たり前。ポイントは「プラスアルファ」の機能
「炊飯器のベースとなる炊飯機能については、内釜に本物の土鍋や炭を使ったり、かまどで炊く工程を再現したりと、各メーカーが切磋琢磨し続けています。それと同時に進んでいるのが多機能化。ご飯のおいしさにとどまらず、ユーザーがより便利に使えるように独自の機能を付加するメーカーが増えています」(田中さん・以下同)
例えば、こんな機能があるそうです。
「使い勝手がいいのが、『音声ガイド』機能。最近の炊飯器は、銘柄炊き分けを始め、食感の違い、炊き時間など、とにかくメニューが多い。その点、音声ガイドがあると現在の設定状況が分かりやすく、混乱しません。液晶パネルの文字が見にくい人にも助かる機能です。
ほかにも、Wi-Fiが搭載され、スマートフォンからきめ細かな設定が直感的にできる機種、棚の中に置いても炊飯できる、蒸気の量をカットした機種、量りを内蔵し、水や米の計量をしなくていい機種などバラエティに富んでいます」
多機能ゆえに複雑化する炊飯作業をシンプルに
ただ、高額な費用を出してまで、プラスアルファの機能を持つ炊飯器を買う必要はないと考える人もいるでしょう。メリットを感じやすい人は、どのような人でしょうか。
「向いているのは、炊飯作業をよりシンプルにしたい多忙な人です。細かい炊き分けができるようになればなるほど、一般的には操作が難しくなったり、押すメニューボタンも多くなりがち。それらの機能を全て使わなくても、自分に合ったプラスアルファの機能を使って、炊飯作業がシンプルになれば、ストレスも緩和され、調理時間が短縮されるでしょう」
数あるお役立ち機能搭載の炊飯器の中から、田中さんにおすすめの機能を搭載した炊飯器を3つ挙げていただきました。
【1】パナソニック「IHジャー炊飯器 ライス&クッカー SR-UNX101」
「あらゆる機能の中から、自分に合う機能だけを選んでシンプルに使いたい」という人は、メニューを選ばずに炊飯ができる、こちらがおすすめ。
自分の炊飯パターンに合うコースをアプリから登録
「『私には、“フルスペック”より“マイスペック”』をコンセプトに、必要な機能を『キッチンポケット』アプリでカスタマイズやアップデートする新コンセプトの炊飯器です。Wi-Fiを搭載し、操作はスマートフォンからできるため、細かい設定もサクサクできます」
例えば、週末にご飯をまとめて炊いて小分けにラッピングし、冷凍庫に保存するご家庭も多いでしょう。その場合、「冷凍用ごはん」コースをアプリから送信して、本体機能に登録。すると、本体のメニューボタンを何度も押して進むことなく、シンプルな操作で「冷凍用ごはん」コースで炊いてくれます。
「自分がよく使う機能を、アプリから登録しておくと、迷うことなく、シンプルな操作で使うことができるのです」
もうひとつユニークなのが、電気調理鍋としても使えること。
「煮込み料理などのメニューも搭載し、材料を入れたらあとはお任せのほったからし調理が可能です。例えばご飯を炊くのは週末だけで、平日は、炊飯器を『電気調理鍋』として煮込み料理などを自動調理する使い方もできます。一台二役になってくれるため、キッチンスペースや予算が限られている人には特におすすめです」
【2】日立グローバルライフソリューションズ『圧力&スチーム ふっくら御膳 RZ-W100EM』
炊飯器は蒸気が出るため、置き場所を選びます。そこでおすすめなのが、蒸気をほとんど出さないこちらの製品。
「蒸気カット」のため棚の中にも置ける
「炊飯時に外に出る蒸気をカットするため、例えばスライド式の棚の中に入れたまま炊飯することも可能。蒸気を逃がすためにスライド式の棚を引き出したままにするとキッチンが狭くなり、忙しい時間帯にキッチンの動線をふさいでしまいますが、この商品ならその心配もありません」
蒸気による湿気や結露で困っていた人にも重宝しそうです。もちろん、ご飯のおいしさもお墨付き。
「京都の名店、老舗米屋の料亭『京の米老舗・八代目儀兵衛』が監修した、『外硬内軟』という、外側がしっかりして内側がやわらかい、甘みが際立つご飯が炊けます。同店が開発協力した、すしめし専用コースも話題です」
【3】タイガー『土鍋ご泡火炊き JPL-G100』
音声ガイド付きなら、こちらの炊飯器が注目です。
銘柄や炊き方などの選択を音声でナビゲート
「本土鍋による遠赤外線効果や、米の弾力を引き出す『ハリつやポンプ』など、独自の機能でおいしく炊ける高級炊飯器です。特筆すべき便利機能は、音声ガイド。設定しているメニュー名や操作を音声で読み上げてくれるのです。天面の画面でも確認できますが、音声のアナウンスで設定を間違えていたことに気づくことも多々あり、実はあると便利な機能です」
例えば、本機種は全国各地70銘柄の米を炊き分ける機能がありますが、いろいろな銘柄を試したい人にとっては、選択する銘柄を間違えたまま炊いてしまう…といったミスも防いでくれます。
「炊飯器の天板の文字が小さくて読みにくいと感じている人、忙しくてつい操作ミスをしてしまいやすい人にはもちろん、高機能炊飯器を手軽に使いこなしておいしく炊き分けたい人にこそ、あると便利な機能です」
以上、あなたの使い方に合う炊飯器は、どれでしょう? 炊飯器を使う際の“動線”がシンプルになれば、調理が苦手な人はもちろん、忙しい人の家事はもっと楽になるでしょう。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん
白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://ameblo.jp/makiko-tanaka89/
取材・文/桜田容子
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