8月20日より公開中の映画『孤狼の血 LEVEL2』。2018年に公開され大きな話題を呼んだ前作『孤狼の血』の続編である本作には、主演の松坂桃李(32才)を中心に、鈴木亮平(38才)や村上虹郎(24才)など人気俳優が集結し、前作を上回るレベルの熱戦を繰り広げる作品となっています。
本作の見どころについて、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。
脇を固める豪華キャスト陣にも注目
本作は、作家・柚月裕子(53才)による小説『孤狼の血』シリーズ三部作を映画化したもの。数々の映画賞を総ナメにした『孤狼の血』に続いて白石和彌監督(46才)がメガホンを取り、広島の裏社会を舞台に原作には描かれていないオリジナルストーリーがとてつもない熱量で展開していきます。
主演の松坂は、前作で主演を務めた役所広司(65才)からバトンを受けての再登板となりました。松坂の演じる刑事・日岡の成長(変化)や、演じ手としての松坂本人の変化に着目するのも楽しみの一つなのではないかと思います。
一匹狼の刑事と”悪魔”と呼ばれる男との闘い
本作のあらすじはこうです。一匹狼の刑事・日岡(松坂)は、3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害されたマル暴の刑事・大上(役所)の後を継ぎ、広島の街の秩序維持のため、警察と裏社会のタイトロープを担い続けていました。ところがある日、服役期間を終えて出所した上林(鈴木)の登場によって、何とか保たれていた街の秩序が崩壊し始めます。
上林は、世の中の一切の常識が通用しない、まさに“悪魔”とも呼べる恐ろしい男。やがて日岡は、上林の存在によって窮地に追い込まれていくことになるのです。
2018年の前作公開時、多くの観客に衝撃を与えた作品の続編とあって、脇を固めるキャストも錚々たる顔ぶれが並んでいます。新顔としては鈴木や村上を筆頭に、吉田鋼太郎(62才)、中村梅雀(65才)、寺島進(57才)、斎藤工(40才)、早乙女太一(29才)らが登場。
さらに、音尾琢真(45才)、滝藤賢一(44才)、中村獅童(49才)ら前作からの続投組の存在が、本作の世界観の強度を上げている印象です。誰もがよく知る俳優たちですが、ハードな内容の作品だけに、これまでに見たことのないほどの“危険”な表情や演技を見せており、新鮮味を感じられると思います。
暴虐の限りを尽くす鈴木亮平の“怪演”
本作を語るうえで一番の話題に上がるのが、やはり何と言っても鈴木亮平の“怪演”でしょう。「極悪非道」「残忍極まりない」、彼が演じる上林を見ているとこんな言葉がいくつも浮かんできますが、これらの言葉を持ってしても、その枠に収まりきれないほどの破壊力を感じさせます。
日本映画史に名を刻む悪役を怪演
例えば、口にするセリフのトーンと表情がズレていたりする時などは、見ているこちら側の足がすくんでしまうほどの恐怖。まさに怪演と言えます。上林の暴力行為の数々も度を超えていて(暴力に“度を超す”も何もありませんが…)、鑑賞中に目を背けてしまう観客も多いようです。
つい最近まで鈴木は、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)で善意の塊のような医師役を演じていました。これを観た後ではとても同一人物だと思えません。観ているこちらが人間不信になることはもとより、演じる鈴木の精神状態が心配になってしまうレベルです。それほどまでに凄まじい、日本映画史に名を刻むであろう悪役を演じているのです。