日本語字幕なしで、映画を楽しむ…一度は憧れますよね。なかなか難しいことですが、少しずつでも英語を聞き取れるようになったら、うれしいものです。そこで、日本人とブラジル人のハーフながら、自身はまったく英語が話せず、試行錯誤の末にネイティブレベルまで上達したという英会話講師・ジュリアーノ熊代さんから、日常の中でできるセルフ英語レッスン法を教えてもらいました。赤点レベルの英語力からネイティブレベルにまで上達した熊代さんだからこそアドバイスできる、初心者向けの英語の上達のコツとは?
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映画を字幕なしで楽しむためのステップ
まず、英会話初心者が映画を字幕なしで見るということは、なかなか難しいことです。だからこそ、少しずつステップを踏むようにしましょう。スタートしてからのモチベーション維持の方法からお教えします。
ゆるくスタートするのがはじめの一歩
英語を聞き取れるようになるために、日常でできるレッスンの第一歩は、まず嫌にならない、飽きてしまわない、つまり続けることが大切です。
たとえば飛行機の中などで、日本語字幕無しで映画を見た経験ってありますよね。お芝居やミュージカルだったら、俳優が目の前で歌ったり踊ったりして、言語がわからなくともそれなりに楽しめるかと思いますが、映画では英語がわからずに、途中で飽きてしまうという人も多いのではないでしょうか?
そこで、まず自身に厳しいルールを課さないことが第一です。いきなり字幕無しで映画100本見るぞ!なんてキツいことをすると挫折しがち。とりあえず日本語字幕からでかまわないので、ゆるくスタートしましょう。それが続けていくコツです。
マネして口ずさんで、モチベーションをUP
続けていく中で、劇中のセリフをマネをしてみることが英語力アップにつながります。たとえば映画を見ているとき、短い英単語がたまたま聞き取れたりしませんか? そのときに、一単語でもいいので、マネしてみましょう。
聞こえたまま「father」と、とりあえずつぶやいてみる。これを続けると、つぶやける単語数が増えていって、自身の英語力の向上を体感しやすいです。
何事も自分自身のステップアップを感じると続けやすいですよね。ダイエットならば体重が数字に表れて、減っていくのがモチベーションになりますけど、英語ってなかなか自身の上達がわかりにくいもの。だからこそ、単語やフレーズをマネしていると、数が増えるのを感じられるので練習におすすめです。
映画は何を見るべき?頻出フレーズを知ろう
日本語字幕なしで映画に挑戦したい初心者にオススメのジャンルは、あえて挙げるならば自分の人生に近い映画です。
たとえば『ハリー・ポッター』シリーズはポピュラーな作品ですが、内容はファンタジー要素が多く、出てくる単語に聞きなじみがないために、字幕なしだと内容がわかりにくいんですよね。それよりも『マイ・インターン』や『プラダを着た悪魔』ならばオフィスや仕事、その仕事もスパイとかではなくて普通の企業なので、身の回りにあるものに近い英単語が頻出します。SFやファンタジーを見るよりは、単語やシチュエーションがわかりやすいのでおすすめですよ。
さらに、映画の中によく出てくるフレーズを知っておくと、聞き取れるようになってモチベーションも上がります。ここでは2つお教えするので、ぜひ覚えてみてくださいね。
口論のシーンで頻出する「How dare!」
「dare」と書いて「デア」と読みます。よくも!ふざけるな!などの意味で、口論のシーンでよく聞くフレーズです。
無礼な口を聞かれた社長や、人質を取られた刑事など、いろんな人が使う言葉です。劇中の激しい、ドラマチックなシーンで耳にするはずですよ。
ロマンス映画で聞く「Will you marry me?」
「Will you marry me?」は、「結婚してくれませんか?」。つまり、プロポーズの言葉です。ラブコメやロマンチックな映画のクライマックスシーンで出てきます。
『フレンズ』といった人気ドラマや、色んな作品に出てくる言葉です。大事なシーンの大事なセリフがわかる、ってモチベーションとしてプラスになりますよね。
「よく聞くかも」と思ったセリフを調べて、日本語訳のストックを増やしていくのも、他の作品を見てわかったときにモチベーションが上がると思います。
原作小説を読むと、字幕なしで見やすくなるの?
事前にストーリーが分かっていると、セリフが分からなくてもどのシーンなのか思い出すことができます。ストーリーを知っていればこれからどんな会話が行われるか予測できるので、字幕なしで分かる確率が上がりますよ。
もし文章と照らし合わせて映画を見たいときは、『スクリーンプレイ』がおすすめです。映画のセリフとシーンの説明を英語と日本語で文字化した本で、『プラダを着た悪魔』『ラブ・アクチュアリー』『ローマの休日』など名作映画を訳しています。
まっさらな状態で見るよりも、この本をかたわらに映画を見れば、聞き取れなかったところもさらうことができますよ。映画を使って英語を練習したい、学習に取り入れたいならばおすすめです。
◆教えてくれたのは:ジュリアーノ熊代さん
英会話講師。アルサス英会話代表。日本人の父とブラジル人の母をもつハーフ。生まれも育ちも日本(東京都日野市生まれ、和歌山県育ち)。そのため、もともと英語は全く話せなかった。赤点レベルの英語力で、17歳で単身10か月の米留学へ。絶望的に通じない日々に挫折を味わうが、あの手この手で伝わる英会話を模索。帰国後、英検1級、TESOL(英語教授法)の課程を修了し、1000人以上の生徒に英会話を直接教える中で独自のメソッド「ヤマトイングリッシュ」を確立。特技は空手(三段)と居合道(二段)。趣味はプラモデル製作。2020セミナーコンテスト東京大会優勝、全国大会3位。NHKや日本テレビなど、さまざまなメディアで翻訳や通訳、出演などで活躍中。
イラスト/市村譲 構成/イワイユウ