「更年期には大豆イソフラボンがいい」とか「エクオールが効果的」と聞いたことはありませんか? そもそも大豆イソフラボンやエクオールとはどういうものなのでしょう。 漠然と知っている栄養素がどのように体に作用し、どんな効果が期待できるのか、産婦人科医の高尾美穂さんの著書『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)から紹介します。
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大豆製品が好きな人は更年期症状が軽い?
大豆や大豆製品を積極的にとっている人は、そうでない人と比べて更年期症状が軽いというデータがあるそうです。特にホットフラッシュや肩凝りといった不快症状に効果があるといわれています。さらに、目尻のシワの改善など美容効果も期待できると聞くと、思わず身を乗り出したくなってしまいますね。
女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン
大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするというのを聞いたことがあるかたは多いと思います。更年期の不調はエストロゲンの分泌量が減っていくのが原因ですから、同じような働きをする大豆イソフラボンを摂ると症状が改善することが期待できます。
ただし、高尾さんによると、大豆イソフラボンは、そのままでは効果が出ないことが最近の研究でわかってきたそうです。
大豆イソフラボンが変換されるエクオールに効果!
実は大豆イソフラボンではなく、大豆イソフラボンを材料に腸内細菌の働きで作られるエクオールという成分に効果があるのだといいます。このエクオールが女性ホルモンと似た働きをして、更年期症状を和らげてくれるのだそうです。
ちなみに食品に含まれる大豆イソフラボンの量は、納豆1パック(50g)で36.8mg、豆乳200mlで51.1mg、豆腐200g(3/2丁)で40.6mg、きな粉大さじ1(7.5g)で20.0mgだといわれています。
約半数の人がエクオールを作れないという事実
更年期の女性の味方となるエクオールですが、実はエクオールを生み出す腸内細菌は、すべての人の腸の中にいるわけではないと高尾さんは語ります。
腸内でエクオールを作れるのは中高年女性の約5割
日本人の中高年女性でエクオールを作れるのは、約5割だといわれています。あとの約5割の人は、せっかく大豆製品を食べても自力でエクオールを産生することができないそうです。
検査キットで簡単にわかるエクオール産生能
自分がエクオールを作り出せるかどうかは、尿検査で簡単にわかるのだそうです。手軽な検査キットが売られていますので、気になる人は調べてみるとよいでしょう。ただし、産生能(自力で作り出せる人) がある人でも、直近で大豆製品を摂取していないと低いレベル結果が出ることがあるので、検査の数日前から積極的に納豆や豆腐などの大豆製品をとるようにするといいそうです。2回ほど検査すると、より正確な結果が出るといわれています。
この検査では尿中のエクオール量を5段階で評価し、3段階のLevel. 3以上であればエクオール産生能があるとされます。理想的なエルオール生性能は、Level.4以上とのことです。
エクオールを作れない人はサプリで補うことも
検査でエクオールが作れないとわかった人や作れても量が低い人は、大豆から作られたエクオールのサプリメントも市販されているので検討してみるのもいいでしょう。
低脂肪で良質なたんぱく質として優れる大豆食品
大豆食品は大豆イソフラボンを含むというメリット以外に、低脂肪で良質のたんぱく源としても優れています。高尾さんは、エクオールが作れない人も、健康のために毎日バランスよく食べることを推奨しています。
具体的には、1日50~75mgのたんぱく質を摂ることが目標とされているというので、たんぱく質食材の1つとして積極的に食事に取り入れるのがおすすめです。
◆教えてくれたのは:産婦人科専門医・高尾美穂さん
女性のための総合ヘルスクリニックイーク表参道副院長。医学博士。スポーツドクター。ヨガドクター。東京慈恵会医科大学院修了。同大学附属病院産婦人科助教を経て2013年より現職。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの活動を通じ、専門的な知識をわかりやすく伝える啓蒙活動に精力的に取り組む。テレビや雑誌、イベントなどで幅広く活躍するほか、YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」を毎日更新。著書に『超かんたんヨガで若返りが止まらない』(世界文化社)など。https://www.mihotakao.jp/blog