
ロボット掃除機の国内シェアを大きく占めるアイロボット。その吸引力の高さから、2021年2月にはロボット掃除機の国内累計出荷台数が400万台を超えたと発表しました。ただ、いざルンバが欲しいと思っても機種は7つもあり、価格帯も下は約4万円から上は19万円近くまでと大きな幅が…。一体どれを選んだらいいかわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、家電ライターの田中真紀子さんに、ルンバの基本的な選び方や、最上位モデルからベーシックモデルまでの特徴を教えていただきました。
ルンバは機種名の数字が上がるほど高性能に
まず、知っているようで知らない機種名の意味から。各モデルの特徴や性能の高さは、機種名にある数字やアルファベットが関係するそうです。
「ルンバは従来、『ルンバ 600/700/800/900シリーズ』と数字で表記されており、数字が大きくなるほど高機能かつ高価格モデルと位置づけられていました。その後、ロボット掃除機のさらなる普及を目指し、『ルンバ 600/700シリーズ』の5倍の吸引力を備えつつ、価格を抑えた『ルンバ e5』が登場。
さらに10倍の吸引力を備え、間取りを記憶する『マッピング』機能を搭載した上位モデル『ルンバ i7』シリーズ(『ルンバ i7』と『ルンバ i7+』)、40倍の吸引力を誇るフラッグシップモデル『ルンバ s9+』と、アルファベットシリーズに移行。現在公式サイトに残っている数字シリーズは、『ルンバ 600』シリーズの『ルンバ 693』のみ。その他は現在、テレビショッピングや通販サイトなどで取り扱われています」(田中さん・以下同)
なお、『ルンバ i7+』、『ルンバ s9+』など機種名に「+」がついたシリーズは、充電ドッグ台に戻ると自動でゴミを収集してくれる「クリーンベース」がついています。

「ルンバが掃除を終えてクリーンベースに戻ってくるたび、ダストボックスのゴミを自動で吸引してくれるので、ゴミ捨ては最大2か月に1回、クリーンベースの紙パックを交換するだけと、さらに家事をラクにしてくれるモデルとして人気が高まっています」
それでは、現行モデルの特徴を、機種別にみていきましょう。
【1】 徹底的に掃除したい人におすすめ『ルンバ s9+』と『ルンバ i7』シリーズ


「上位モデルの『i7シリーズ』と『s9+』には高性能センサーとカメラを搭載し、最大10パターンまで間取りを記憶するマッピング機能を搭載しています。間取り図が完成すると、より効率的なルートで掃除ができるようになるほか、部屋の名前をつければ、掃除する部屋を指定できるように。
さらに機種名に『+』がついた『i7+』、『s9+』には、前述の通り、自動ゴミ吸引機能がついた充電ドック『クリーンベース』を搭載。ゴミ捨ての手間を省きたいかたはこちらを選ぶとよいでしょう」


吸引力を重視する人は“D型”形状の『ルンバ s9+』を
では、『i7』シリーズと『s9+』の大きな違いは?


「形状と吸引力です。前述のように『i7』シリーズの吸引力は『600シリーズ』の約10倍であるのに対し、『s9+』はなんと約40倍。さらに本体の形状をD型にしたことで前面(Dの直線部分)にブラシを配置でき、円型に比べてブラシが長くなったほか、壁際や角のゴミまでしっかりアプローチできるように。
一方、吸引力が強い分、運転音が大きく感じることもありますが清掃モードが3段階から選べるので、気になるときは静音モードを選べばOK。掃除力と見た目のプレミアム感に優れているのは『s9+』ですが、『i7+』より4万円程度、高くなっています。
そのため、徹底的にホコリやゴミを取り除きたい、壁際や家具のすき間もしっかり掃除してほしい、高級感あるインテリアに合わせたいという人は『s9+』がおすすめですが、『i7+』も十分高性能なため、価格差を考慮して『i7+』を選んでもいいでしょう。なおクリーンベースが付属しない『i7』なら、10万円程度で購入できます」
【2】クリーンベース付きでも7万円台の『ルンバ i3+』

「クリーンベースは魅力だけど、10万円超えの『i7+』、『s9+』は高すぎるという人におすすめしたいのが、『i3+』。クリーンベース付きでありながら、発売当初は9万9800円、そして2021年10月には2万円も値が下がり、7万9800円の新価格になりました。本体にファブリック調デザインを採用しているので、ナチュラルなインテリアに合わせやすいのも特徴です」
上位モデルとの大きな違いは、カメラを搭載せず、間取りを記憶しない点。
「ただし複数のセンサーで自身の位置を把握し、掃除の都度マップを作成しているので、上位モデルに比べると劣るものの、それなりに高い精度で掃除できます。なお吸引力は『i7』シリーズ同様、『600』シリーズの約10倍。掃除する部屋を指定する必要がないなら、『i3+』でも十分です。なおクリーンベースが付属しない『i3』は4万9800円と、よりお手頃価格です」
【3】マッピングなしでも吸引力は十分な『ルンバ e5』

「普及モデルとして発売された『e5』も今年10月、4万9800円から3万9800円へと1万円値下げされ、さらに身近な価格に。マッピング機能はありませんが、センサーで部屋の状況を確認しながら移動し、『600』シリーズの5倍の吸引力でゴミをしっかり吸引します。これまで紹介したルンバのように複数の部屋を掃除することはできませんが、ワンルームや1LDKといったシンプルな間取りの家や、リビングだけは毎日掃除したい、といったニーズにピッタリです。
なお『600』シリーズはもっともベーシックな機能のみを搭載しており、価格は『e5』と同じ3万9800円のため、吸引力やお手入れの観点から考えると、『e5』がおすすめです」

ベーシックモデルであっても、吸引力は他社のロボット掃除機と遜色ないといいます。自分はどの程度の吸引力が必要か、ハイモデルにあるマッピング機能や自動ゴミ捨て機能などもあった方がいいのかどうかがルンバ選びの決め手となりそうです。公式オンラインストアでは2週間1980円でレンタルができるので、一度試してから検討してもいいでしょう。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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