2022年は3連休が9回と多く、ゴールデンウィークも大型連休を作りやすい日並び。カレンダー上では、旅をするには絶好の1年です。一方、オミクロン株の感染拡大を受け、まん延防止措置の適用や要請が相次ぐなど、コロナの状況は一進一退。そんな中、今年の旅はどうなるのか? 旅のトレンドを旅行ジャーナリストの村田和子さんが解説します。
* * *
3連休が多い2022年。遠方への国内旅行が人気に?
昨年10月に緊急事態宣言が解除されると、全国の観光地は久しぶりに賑わいを取り戻し、SNSには旅先を楽しむ投稿が溢れるなど、旅への底堅いニーズが顕著になりました。
2022年は3連休が9回と多く(※うち1回は終了)、ゴールデンウィークも平日を2日休めば10連休になるなど大型の旅がしやすい暦です。一方で、海外への渡航は時間がかかることが予想されます。そんな中、注目を集めそうなのが、飛行機や新幹線などの移動を伴う遠方への国内旅行。
特に沖縄県、北海道、あるいは海外気分が味わえるスポットは人気が高まりそうです。
ただし、現状はオミクロン株の感染拡大の最中であり、移動を伴う遠出の旅へのシフトは、コロナの状況が落ち着いてから。しばらくは安全安心に配慮した近場への旅「マイクロツーリズム」がベースとなりそうです。
県民割・GoToの動きは?
県民割は、年明けに割引対象を隣県へ拡大した自治体も多く、GoToトラベルキャンペーン再開へつながる一歩と期待する声もありました。しかし、同時にオミクロン株の感染が広まり、感染拡大地域では「県民割の新規予約受け付けを中止する」などの動きが出ています。
加えて1月19日、観光庁は、前提となっていたワクチン・検査パッケージ制度を原則適用停止したことを理由に、まん延防止等重点措置の対象区域において、県民割支援の対象外とすることを発表しました。(https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics06_000353.html)
具体的には「まん延防止等重点措置の対象区域を発着する旅行」や「居住者による隣接県への旅行」、ならびに「まん延防止等重点措置の対象区域への隣接県民による旅行」は、県民割支援の対象外となります。
わかりやすく言うと、お住まいの自治体がまん延防止等重点措置の対象となった場合は、県内・隣県に関わらず割引とはなりません。また、まん延防止等重点措置の対象となった区域への旅も割引対象外となります。
注意が必要なのは、予約済みの場合も、まん延防止等重点措置の期間に宿泊する場合は、割引除外となること。キャンセルの増大が予想され、また出発が迫った旅行についてはキャンセル料も発生することから(※利用者負担としている自治体が多い)、混乱が予想されます。感染拡大への配慮はもちろん必要ですが、急な変更により、観光事業者、ならびに旅行者双方に混乱を生じそうで、施策への不信感も懸念されます。
全国的なGoToトラベルキャンペーン再開は、いったん白紙、県民割の今回の状況からも、再開タイミングの見極めはより難しくなったと感じます。
旅のテーマは、ウェルネス・学び・自然体験
コロナ禍で「旅は単なるレジャーではなく、旅は日常を豊かにしてくれる」と気が付かれたかたも多いことでしょう。
コロナ禍では多くの人が心身にストレスを抱え、リモートワークにより体重増加や生活習慣病などのリスクが増えているといいます。旅先で積極的に体によいことを行い、健康習慣のきっかけづくりとするウェルネス旅への動きが加速しそうです。
また、子どもたちは、学校行事や修学旅行などが中止となり、新しいことに出会い挑戦すること、多様性を認めるなど、実体験を通じた成長機会が減っています。家庭で何かできないかと考える親御さんも多く、旅で子どもの成長を育む「旅育」が注目を集めています。大人もリカレント教育が人気ですが、旅を学びに活用する動きは今後強まると考えます。
コロナ禍で大きく変わってしまった世の中でも、植物の成長など自然の営みは変わりません。そういった「変わらないこと」を感じることで気持ちが落ち着くことも多いもの。三密回避という観点からも、自然をさまざまなスタイルで味わう旅スタイルや、SDGsとのかかわり方で旅を選択する動きも高まりそうです。