昨今のビジネスホテルは機能的でコスパがよく、出張はもちろん、観光メインの旅にも便利です。ビジネスホテルを選択する際に、私が重視するのがお風呂。ゆっくりと足を延ばせる大浴場があって、それが温泉なら1日の疲れもぐっと和らぎます。

温泉大浴場が充実しているビジネスホテルといえば「ドーミーイン」が人気ですが、実は和風のプレミアムバージョンがあるのをご存じですか? 旅行ジャーナリストの村田和子が、今回は旅だけではなく、出張やテレワークにも便利な和風旅館「御宿 野乃」を紹介します。
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全国に7か所ある御宿「野乃」。全館畳敷きの館内はゆったりと寛げる
私が「御宿 野乃」を知ったきっかけは、出張が多い夫の「ドーミーインの野乃っていうブランドがすごい」という話から。「出張が楽しみになる」というのを聞き、試しに泊まってみて納得。私も出張やちょっと近場で温泉を楽しみたいときに重宝しています。

4月末に金沢にオープンし、全国7か所となった御宿「野乃」は、駅前や観光名所のそばなど立地がとにかくいいのが特徴。それゆえに周りはにぎやかなのですが、一歩入ると玄関で靴を脱ぎ、全館畳敷きと和の癒しの空間が広がります。

廊下もエレベーターの中も畳敷きで、壁紙など意匠に至るまでこだわりが感じられます。高級旅館であればともかく、ビジネスホテルで、この空間に出迎えられるとは。ちょっとびっくり。


こだわりある和の空間に、顧客目線でのサービスが嬉しい
客室は、畳にローベッドのスタイルが基本で、部屋の広さはビジネスホテル相当が中心。ただ収納などをうまく設置しているので開放感があり、壁紙もお洒落。ベッドは高級宿も利用するサータ社製で、居心地は抜群です。


お部屋の冷蔵庫にウェルカムフルーツも
加えて、通常のビジネスホテルよりも窓が大きく、障子を通して柔らかな光が差し込みます。机の広さやコンセントの配置などは、さすがドーミーインの系列ということで機能的。それでいて、家具は木調、湯飲みも陶器など、和の質感に、ぐっと旅モードが高まります。
お部屋の冷蔵庫には「ウェルカムフルーツ(※)」が用意されているのもビタミン補給でうれしい!(※「野乃」およびドーミーインPREMIUM棟の一部で実施中)

ロビーや施設によっては、朝食会場のレストラン「Hatago」が、ラウンジとして解放され、コーヒーやお茶などが自由に頂けるスペースになっています。Wi-Fiも全館完備なので、気分転換にここで仕事をするのもよさそうです。

さっそく、野乃自慢の温泉大浴場へと向かいます。
ご当地それぞれの温泉。湯上がりにアイスや乳酸飲料のサービスも
大浴場は温泉ですが、そのスタイルや大きさは全国7か所それぞれで違います。
例えば東京・浅草の「野乃」は、近くから湧き出るミネラル成分がたっぷりの黒湯が特徴です。内湯の他、女性用にはテレビ付きのミストサウナ、外気浴ができるスペースには壺湯もあり、美活に励むかたもいらっしゃいました。


京都には二階建ての大浴場も
京都・七条の野乃は、宿が大規模ということで、大浴場も二階建て。とにかく広くて圧巻です。シルキーバスや、伺った時は5月ということでしょうぶ湯などもありました。

心静かに入浴するヒノキの内湯「瞑想の湯」もあります。コロナ禍では、大浴場ではおしゃべりは控えめにしたいもの。だから…というわけではないそうですが、時代にマッチしたお風呂は、安心して自分と向き合い寛ぐことができます。



早起きをして参拝に温泉。朝時間を楽しむ
「野乃」に宿泊するときは、朝は早起き。温泉に入りたいのはもちろん、立地がいいので朝食前に散策をするのが楽しみに。早朝は人も少なく、夏場は暑さを避け爽やかな空気を感じられます。お寺では朝の法要は一般も参加できるところが多く、「野乃 浅草」滞在時には、徒歩5分ほどの浅草寺で行われる朝6時からの法要へと向かいました。

浅草の「野乃」は浅草寺、花やしきがすぐ近くに
「野乃 浅草」は、花やしき通りに面しています。花やしきは日本最古のテーマパ―ク。早朝はオープンしていませんが、その風情に幼いときに行ったことを思い出します。
浅草寺の本尊は観音様。読経や太鼓の音が響く中「コロナが一日も早く終息するように」と、「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と唱えます。

30分ほどで法要が終わりホテルへ。温泉に入って身支度を整え、朝食へ向かいます。


もう一つの魅力「朝食」は、食べて幸せ気分。ぜったいに外せない
「御宿 野乃」の温泉と並ぶ魅力が朝食。運営母体が社員寮を運営しているとあって、体にいいお野菜たっぷりの栄養バランスのよい料理が並びます。各地の野乃に共通するのが豪華な海鮮丼があること。

その土地の食材や食文化を生かしたお料理も並び、例えば京都なら、老舗「ゆば庄」の湯葉を使った湯葉海鮮丼、「ぎおん川勝」のお漬物バイキングなどが頂けます。

出張では忙しく、せっかくのご当地食を食べる時間がないということもあります。「野乃」なら朝食で地元の味も満喫できるのがうれしいですね。

小鉢やデザートも充実しており、品数が多いので、全部頂くのは難しい。好きなものを厳選して席に戻ると、同行者とはまったく違うランナップ。裏を返せば、どんな人にもピッタリの朝食が見つかります。



三密対策もばっちり。テレワークや身近なリフレッシュにも
「野乃」をはじめ「ドーミーイン」では、三密対策も万全。朝食会場や大浴場の込み具合も客室のモニターで確認ができるようになっています。また、長期滞在のワ―ケーションプランや日帰りプランもあり、出張時や家でのテレワークなどが難しいときにもおすすめ。仕事の合間に温泉や散策でリフレッシュすれば、仕事の効率もあがりそうです。



また、コロナ禍が長くなり、なんとなく気分が不調というかたも多くなっています。「野乃」は全国7か所(ドーミーイン全体では全国に86箇所!)あるので、疲れた心身のプチメンテナンスにおこもり滞在をおすすめです。宿によってサービスや部屋タイプは異なりますが、ひとりでも夫婦2人でも、また広めの客室を家族で利用もできます。


気分を変えることで気持ちや頭が整理されたりすることも多いもの。コスパがよく手軽に利用できるサードプレイスとして重宝しそうですね。
【DATA】
■和風ドーミーインプレミアム 御宿 野乃
https://www.hotespa.net/dormyinn/brand/nono/
全国7か所(東京・京都・大阪・奈良・富山・石川・鳥取)にて展開
※野乃を含むドーミーインにはテレワークプランもある
https://www.hotespa.net/workplacedormy/dormyinn/
■天然温泉 凌雲の湯 御宿 野乃 浅草
住所:〒111-0032 東京都台東区浅草2-7-20
アクセス:つくばエクスプレス線「浅草駅」より徒歩約4分/銀座線「浅草駅」より徒歩約8分
料金:2名1室ひとり5000円(税サ込)~/1名利用の場合7000円(税サ込)~
※1泊朝食付き
https://www.hotespa.net/hotels/nono_asakusa/
■天然温泉 蓮花の湯 御宿 野乃京都七条
住所:〒600-8146 京都府京都市下京区材木町491番地
アクセス:JR「京都駅」徒歩約7分/京都市営地下鉄「京都駅」A-5出口徒歩約4分
料金:2名1室ひとり6500円(税サ込)~/1名利用の場合8500円(税サ込)~
※1泊朝食付
https://www.hotespa.net/hotels/nono_kyoto/
■あさくさかんのん 浅草寺
※定期法要は、朝:午前6時(10月〜3月は午前6時30分)/昼:午前10時/夕:午後2時の1日3回。御朱印は午前8時から
https://www.senso-ji.jp/
教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表。(https://www.travel-k.com/)旅ブログも行っている。(http://www.murata-kazuko.com/)
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