唇の荒れに内側からアプローチできる食べ物
栄養バランスを整えるには、ご飯を中心とした一汁一菜の献立にするのがおすすめです。さらに胃腸を整える「咀嚼(そしゃく)を促す食材」「食物繊維」「発酵食品」を取り入れることで、唇荒れの改善を促します。
やりいか
いかは脂質が少なく、胃腸に負担がかかりづらい食材です。とくにやりいかは冬に旬を迎え、手ごろな価格で手に入るため今の時期にはおすすめです。身に弾力があるので咀嚼を促します。咀嚼は胃腸のぜん動運動のスイッチを入れる役目もあり、胃腸の調子を整えることにつながります。
さらに、漢方医学でやりいかは、水分代謝をつかさどる「腎」を助け、機能を回復させる働きがあるため体を潤す食材だと考えられています。潤い不足で起こる唇の荒れ対策にはピッタリです。やりいかは淡白な味わいでほかの食材と合わせやすいので、刺身以外に、焼く、炒める、煮るなどどんな調理法でもおいしく食べられます。
芽キャベツ
芽キャベツは固く噛み応えがあるので、咀嚼を促します。さらに、食物繊維が含まれ、腸内環境の改善に役立ちます。また、ビタミンUが含まれている点も注目です。キャベジンの名前でも知られる成分で、たんぱく質の生成を促し、傷ついた胃粘膜を修復する作用が期待できます。
シチューやポトフなど、丸ごと煮込み料理に使えば下茹での手間を省け、さらに汁に流れた栄養も摂れるのでおすすめです。高温多湿に弱いので、おいしく味わえるのは冬だけです。
酢
発酵食品の酢に含まれる酢酸は、腸内の有害菌を抑え、腸壁を刺激してぜん動運動を促します。また、唾液や胃液の分泌を促すので、消化活動の助けにもなります。酢の物として献立に取り入れるほか、ドレッシングやフルーツ酢にしたり、煮物に入れたりしてもおいしく食べられます。
唇の荒れは「漢方」で内側からケア
食事に気をつけていても唇の荒れが解消しないときは、皮膚科でも使われている漢方薬をのむという方法もあります。
漢方医学では、胃腸の不調により生じた水(すい)の不足や滞りが全身の乾燥を引き起こし、口に不調のサインがあらわれると考えられています。また、血(けつ)の巡りが悪く全身に栄養が行き渡らないことも、原因とされています。
そのため、漢方薬では胃腸の働きを助け、潤いを生み出し、血(けつ)を巡らせることで唇の荒れの改善を目指します。
唇の荒れにおすすめの漢方薬2つ
以下に、唇の荒れにおすすめの漢方薬を2つご紹介します。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は気を補い、水分代謝に関わる胃腸のはたらきをよくすることで、血と水の巡りを促します。体力がなく、食欲不振や疲労倦怠感があるときに使います。
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水分代謝を整え、乾燥を改善する苓桂朮甘湯はめまいや立ちくらみ、動悸にも用いられます。
漢方薬を取り入れるときに気を付けたいこと
漢方薬は繰り返す不調に対して、根本からの改善が期待できる薬です。そのため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。自分に合った方法で、冬でも潤った唇を手に入れましょう!
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん
おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。