
新年度を前に、洗濯乾燥機を新調する人もいるでしょう。また、花粉症対策に、外干しが不要になる乾燥機能つきのタイプを探している人もいるかもしれません。新調するとき、最初に迷いがちなのが、「縦型」か「ドラム式」かということ。よく言われるこのテーマ、結局、どっちがいいのでしょうか? その違いとは? 家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
縦型は泥汚れなどの洗浄が得意で、ドラム式は衣類を守りふんわり乾燥
「縦型とドラム式の大きな違いは、洗い方です。縦型は、大量の水を回転させ、洗濯物同士を擦り合わせて“もみ洗い”するため、泥汚れなどに強いとされています。また水がかくはんされるため洗剤が泡立ちやすく、大量の水でじゃぶじゃぶ洗ってすすぐので、洗剤残りやニオイ、汚れ移りも少ないのがメリットです。
ただし、もみ洗いするため生地が傷みやすく、水を大量に使うことがデメリットになることも。また洗濯槽の形状的に、乾燥が得意ではありません。ドラム式のようにフワッと乾燥できず、遠心力でシワになりやすい機種も。そもそも乾燥方式に『ヒーター式』を採用しており、これはドライヤーで温風を与えるようなものなので電気代も高くなります。基本的には洗濯物は干して乾かすけれど、万一のときに乾燥機能も欲しい、という人におすすめです」(田中さん・以下同)
一方、ドラム式のメリット・デメリットは――。
「ドラム式は、真横または斜め向きに設置したドラムを回転させ、洗濯物を上から下に叩き落とす“叩き洗い”をしています。少量の水で洗うため節水効果が高く、縦型のように生地が傷んだり、絡まったりすることが少ないのがメリット。またドラム式は、洗濯物を回転させながらフワッと乾かすことができます。
乾燥方式も多くが『ヒートポンプ式』と呼ばれる効率良い方式を採用しているため、乾燥時の電気代が抑えられます。デメリットは少量の水で洗うため、洗剤残りや、ニオイ、汚れ移りが気になることがある点です」
大容量を選び、購入前に設置見積もりをすると安心
ただし近年では、縦型とドラム式、両者の洗浄能力や節水性の差はさまざまな進化によって縮まりつつあると言います。
「とはいえ、毎回乾燥まで行いたいなら、やはりドラム式を、運動部のお子さんがいるなど、泥汚れが多いなら縦型をおすすめしたいです。
なお、洗濯・脱水容量の目安ですが、かつては家族の人数に合わせ、『1.5 kg×家族人数+α』が目安とされてきましたが、家庭によってライフスタイルは異なりますよね。数日分をまとめ洗いする、シーツや毛布など大物も洗いたいなら、やはり大容量を選んだほうが安心です」
もちろん、購入時は洗濯乾燥機が洗濯機置き場にはいるかも要チェック。サイズや蛇口の高さが合わず、搬入できなかったというケースもあるからです。購入前に、業者に設置見積もりを依頼するなどしてプロに見てもらうと確実です。
さて、田中さんが選んだ縦型とドラム式、それぞれの代表例は下記の通り。どちらも、縦型、ドラム式にありがちな弱点をカバーしている点に注目です。
【縦型】シャープ『タテ型洗濯乾燥機 ES-PW11F』

まず、縦型から。2021年8月に発売されたシャープの本製品は、縦型にありがちな「水を使い過ぎる」という弱点をカバーしています。
節水・部分洗い・防カビに優れた縦型洗濯乾燥機
「シャープの縦型洗濯(乾燥)機は、“穴なし槽”が大きな特徴。洗濯槽に穴がないため、洗濯槽と外槽の間にムダな水がたまることなく、節水効果がさらにアップ。1回の洗濯で約35L(2Lペットボトル約17本分)の節水効果を見込めるそうです。
また、穴がないために洗濯槽の外側についた黒カビが槽内に侵入するのを防いでくれるのもありがたいですね」
さらに特筆すべきは、部分洗いや除菌・消臭にも強いこと。

「えり元や袖口、頑固な汚れの予洗いに便利な『超音波ウォッシャー』も付属しています。洗濯機のふた部分にはめ込まれており、洗濯機に入れる前にサッと取り出してえり元の汚れを取れます。
さらに、『ハンガー除菌・消臭コース』を選択すれば、毎回洗濯できないジャケットやコートといった衣類、寝具などを付属のハンガーを使って洗濯槽内に吊るすことで、プラズマクラスターで除菌・消臭します。カビや菌を抑えながら、頑固な汚れもしっかり落としたい、とことん清潔派の人におすすめです」

【ドラム式】パナソニック『ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129AL/R』

ドラム式の中でも、洗浄力が強くユーザーの満足度が高いのが、2021年11月に発売されたこちらの製品。

洗浄力に自信あり! 温水で頑固な黄ばみやニオイも落とすドラム式
「本製品は、汚れやニオイが気になる洗濯物もスッキリ洗う『温水スゴ落ち泡洗浄』を搭載。一般的に水温が低いと洗剤が溶けにくく、汚れが落ちにくいと言われていますが、その弱点を克服している製品です。
まず洗剤中の酵素が活性化する温度まで洗浄液を温め、それを泡にすることで衣類への浸透力がアップ。頑固な黄ばみやニオイ、菌まで落とします。温度や洗浄方法はコースによって約15℃から白物の除菌にも対応する約60℃までと幅広く設定できるので、衣類に合った洗浄が可能です」
本機能は、冷水の状態から設定温度まで自動的に温めてくれるので、家の構造上冷水の蛇口しか洗濯乾燥機に接続できなくても、お湯でしっかり洗えます。
また、近年の洗濯乾燥機には、あらかじめ液体洗剤や柔軟剤をまとめて投入口に入れておけば、洗濯の都度、自動で必要な量を測り効率よく洗浄してくれる液体洗剤・柔軟剤自動投入機能がついています。

本製品は、この機能に業界で初めて『おしゃれ着洗剤』自動投入も追加していることもポイント。
「『温水スゴ落ち泡洗浄』はおしゃれ着洗いにも対応しています。共働きなどでおしゃれ着を着る機会が多いが自宅で洗いたい、洗濯の手間を大幅に減らしたい人にもおすすめです」
10年前より大きく進化している洗濯乾燥機。多機能さに目を奪われがちですが、決して安くはないお買い物。自分のニーズを見極めて選ぶとよいでしょう。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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