洗濯のときによくある悩みの一つが、部屋干しした際に発生するニオイ。でも、ちょっとした洗濯のコツで、いやなニオイを改善することができるんです。
クリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季やシルク・ドゥ・ソレイユなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う「洗濯ブラザーズ」の茂木貴史さんによれば、部屋干し臭の原因は、干し方の他に、洗濯物の保管方法や洗い方に問題があるそうです。
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洗濯物の保管方法ときれいな洗濯槽がカギ
部屋干しのあとに洗濯物がにおうと、「干し方が悪いのかも?」と思いがちですが、実は部屋干し臭の原因は洗濯をする前にある可能性が高いです。
洗濯槽での保管は絶対にNG
一番のNGは洗濯槽での保管。洗濯槽は通気性が悪いため、菌が繁殖している可能性があり、そこに洗う前の洗濯物を長時間入れておくことで、ニオイの原因が発生しやすくなります。
なので、洗濯物を保管するときは、通気性がよい洗濯カゴに入れておくことがおすすめです。
濡れているものと乾いているものは分ける
洗濯物を保管するときに、濡れているものと乾いているものを分けるのもニオイを発生させないコツです。たとえば濡れたバスタオルを乾燥している洗濯ものが入った洗濯カゴにポンと入れているなら、それがニオイの原因になります。ニオイの原因となる菌は、水分があるとさらに繁殖するんです。
そのため、濡れたものはなるべく早く洗うのがベスト。忙しいときは、干して一度乾燥させ、あとからまとめて洗濯するのもいいですよ。
洗濯槽そのものが汚れている可能性も
先ほどもお話ししたとおり、洗濯槽は菌が発生しやすいところ。とくに湿気の多い夏場は1か月に一度、秋冬でも3か月に一度は市販の洗濯槽クリーナーを使って洗浄しましょう。
中でもジェルボールタイプの洗剤を使っている人は要注意です。ジェルボールは水や温度が低いお湯で使うと、表面のフィルムが溶け残り、洗濯槽の外側に付着して菌を発生させてしまう場合があります。もしジェルボールを使うならば、衣類が傷まず、フィルムがより溶けやすい40℃程度のお湯で洗うのがいいですよ。
洗濯槽を汚してしまう原因には衣類の糸くずもあります。特にドラム式の洗濯機はたたき洗いするので糸くずが出やすいです。
部屋干し臭を防ぐには汚れをしっかり落とし、早く乾かす
さらに、正しい洗濯と乾燥の方法をきちんと守ることで、「部屋干し用」の洗剤を使わなくても部屋干し臭が気にならなくなるはずです。
洗濯は水と洗剤の量に注意
実は、ドラム式の洗濯機は日本の洗濯事情に合っているとは限らないんです。
ドラム式は本来、水道水が硬水の欧米向けに普及したもの。硬水は汚れが落ちにくいため、ドラム式の洗濯機は水に頼らない方法を採用していて、叩いて汚れを落としています。そのため、ドラム式は縦型よりも、使う水の量が圧倒的に少ないんです。
けれど、日本は高い洗浄力のある軟水なのでたっぷり使うべきですし、そもそも水の量が少ないと、汚れが繊維に戻ってしまいます。なので、ドラム式の場合は水の量の設定を最大にするのがベスト。さらに「注水すすぎ」など、水を注ぎながらすすぎをするモードがあれば、水をより多く使うので、衣類をきれいにすることができます。「注水すすぎ」を選択したうえで、できればすすぎを2回行うのがおすすめです。
また、ドラム式や縦型にかぎらず、洗剤を入れすぎると、すすぎきれない場合があります。洗剤が衣類に残るとニオイの原因になるので、洗剤は適正量を守って使ってくださいね。