人間関係

コロナ禍で渦巻く「怒り」、その矛先を向けられたときの鉄則は「逃げるが勝ち」

怒っている女性
相手の怒りを最小限にとどめるには?(Ph/PhotoAC)
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昨今、SNSを開けば、新型コロナウイルス関連を始めとする時事や社会問題に対し、怒りのコメントが多数。リアル社会でも、身の回りの人物や出来事に対して立腹する人は少なくありません。こうした怒りはなぜ湧き出てくるのでしょうか? そして、万一怒りの矛先が自分に向いたとき、被害を最小限にとどめるにはどうしたらよいのでしょうか。

答えてくれるのは、アンガーマネジメントコンサルタントの安藤俊介さん。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングを構築してきた経験から、近著『なぜ日本人は怒りやすくなったのか?』(秀和システム)で、怒りの感情が起きるメカニズムを分析し、怒りから自分の身を守る術を解説。その一部を教えてもらいました。

社会に怒りが蔓延している理由

そもそも、ネット上にはなぜこれほど怒りが蔓延しているのでしょうか。安藤さんは、まず今の時代の環境要因を挙げます。

「スマホを開けば、AIによって自分が興味関心のある記事がどんどん流れてきます。つまり、炎上しやすい人のSNSやブログ、炎上キーワードなどを数回閲覧すると、AIに『こんな要素に興味アリ』と判断され、誰かの失言や暴言、不謹慎な行動といった、いわゆる怒りのターゲットとなるようなニュースがどんどん視界に飛び込んでくる可能性があるのです」(安藤さん・以下同)

スマホを前に腕組みをしている女性
AIに怒りの感情をコントロールさせられている可能性も?(Ph/PhotoAC)
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コロナ禍で怒りが娯楽に?

AIが怒りの“燃料”をどんどん運び、怒りが生じやすい環境が整っている。その上、今は怒りたい人も増えてきているといいます。

「一部の人にとって、SNSなどで怒りの感情を吐き出すことは、ある種の娯楽です。しかも、今はコロナ禍で収入が減ったことや在宅時間が増えたことなどで、さまざまなストレスから怒りの感情を持っている人は多いです。

彼らは、ニュースやブログ、SNSで、怒っている人の言い分を見ては、心の中で溜飲を下げています。さらには、実際、指を動かして自分も怒りの書き込みをする“怒りの便乗者”に。人の不幸は蜜の味といいますが、怒りはエンターテインメントとして成立してしまっているのです」

パソコンをしている女性
ネット内に怒りをぶつけることがストレスのはけ口、娯楽になっている人も
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イライラしないためには「◯◯であるべき」を減らす

一方、リアル社会で、家族や近所の人など身の回りの人物に些細なことで怒っては自己嫌悪に陥る人もいるでしょう。どうすれば、イライラを最小限にとどめられるのでしょうか。

安藤さんは次の方法を提案します。

「『○○であるべき』という思い込みを減らすことと、ストレスや睡眠不足など日頃のマイナスな状態を最小限にとどめておくことです。

多くの人は、自分が信じている『○○であるべき』が裏切られたときに怒りのスイッチが入ります。例えば、『食べた食器はすぐに下げるべき』という信条を持っているのに、家族が汚れた皿をテーブルに放置していると『何で食器を下げないの!』と怒る。

『人に会ったら笑顔で元気よく挨拶すべき』という信条を持っている人が、近所の人に会った際に無表情で会釈されただけだと『感じ悪いわね!』と怒る。意識している・していないにかかわらず、自分が大切にしている理想や願望が傷つくと、怒りの火花を散らして、大切にしているものを守ろうとするのです」

ソファで上を向いている女性
普段の実生活でイライラを減らすには思い込みを減らすのが大切(Ph/PhotoAC)
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この場合、「食べた食器はすぐに下げなくてもいい」「人に会ったとき、必ずしも笑顔で元気よく挨拶しなくてもいい」などと、「○○べき」の思い込みをなくすことが第一歩です。

疲労、睡眠不足、空腹…マイナスな状態を最小限に

さて、こうした怒りも軽くイラッとする程度で済めばまだいいのですが、苦しみや寂しさ、不安などのマイナスな感情、そして疲労、睡眠不足、空腹、ストレス、身体不調といったマイナスな状態があると、そのガスに怒りの火花が引火し爆発します。

「瞬間爆発、炎の拡大を防ぐには、日頃から、マイナスな感情や状態を最小限にするよう自己管理することが有効です」と、安藤さん。例えば、睡眠不足で怒りっぽくなりがちな人は、睡眠をよく取るように生活を整えることです。

ベッドで寝ている女性
睡眠をたっぷりとる事も怒りの感情を出させない重要な要素(Ph/PhotoAC)
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「そもそもの怒りの火花である『○○であるべき』の思い込みをなくし、裏切られる回数を減らす。引火の元となる、マイナスな感情や状態を小さくする。この2つを心掛けるだけで、立腹する頻度は減るでしょう」

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