【4】非を認めず逆ギレする人には「次からどうしてほしいか」を伝える
頑なに自分の非を認めない、謝らない、謝れないタイプがいます。
「仮に非があったとしても、それは自分が悪いのではなく、自分がミスをするに至った、周りの状況が悪いと責任転嫁して逆ギレするようなタイプです。謝ることで自分の価値が下がると思いこんでいるのでしょう。
自分を肯定するために必要なプライドを死守すべく、自分の非を認めないのでしょう。自己肯定感の低い人は、もともとのプライドが低いため、高くしようと力まないとプライドを維持できないのです。
したがって、このタイプに無理に謝らせることは得策ではありません。素直に謝れるようになるには少し時間がかかりますから。
周りとしては、謝らなくてもいいし、反省もしなくてもいいので、次からどうしてほしいかを具体的に伝え、その内容を理解してもらえればOKだと考えましょう。謝ってもらうことが目的ではありません。次からどうしてくれればいいのかさえ伝われば、結果オーライ。こう考えれば、あなた自身も穏やかでいられるでしょう」
【5】不機嫌アピールをされたら相手にしない
「話しかけるな」「触れてくれるな」といわんばかりに、表情や態度で自分が不機嫌であることを露骨に表に出すタイプがいます。
「それによって周りが気を使ってくれたり、助けてくれたりすると思っているのでしょう。本人は、いかにして不快な感情と向き合い、対処すればいいか分からず、他力本願とばかりに周りの人を頼るのです。
機嫌が悪ければ、誰かが労わってくれる、誰かがこの気持ちを晴らすのを手伝ってくれるはず、という思い込みがあると思われます。これは子供の頃から不機嫌な人が近くにいて、そうふるまっているのを見てきたのか、あるいは自分がそうすることでいいことがあった経験をしている可能性があります。過去に成功体験があるため今も続けているのでしょう」
対策は、彼らの「成功体験」をこれ以上増やさないこと。
「不機嫌アピールをしても何一ついいことはないと学んでもらいましょう。不機嫌アピールする人を助けもしなければ、気にかけもしません。少しでもかまうことで、不機嫌さを増長させてしまいます。
自分の感情は自分で責任を取るものと、自分の問題として向き合ってもらう暗黙の了解を徹底させましょう。職場であれば、職場のルールとして明文化するのも一つの選択肢です」
以上の通り、自己肯定感の低さが招く、厄介な“怒り人”から身を守るには、真正面から闘わないこと。これに尽きるようです。
◆教えてくれたのは:アンガーマネジメントコンサルタント・安藤俊介さん
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。アンガーマネジメントの理論、技術をアメリカから導入し、日本の考え方、慣習、文化に合うようにローカライズする。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどを行っている。近著に、『なぜ日本人は怒りやすくなったのか?』(秀和システム)がある。https://twitter.com/andoshunsuke