新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢など、先行き不透明な今、資産を守り、できれば増やしたいと考える人は多いでしょう。そこで、『定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか?』(秀和システム)の著者でファイナンシャル・プランナーの渡邊一慶さんに手堅い資産形成術を教えてもらいました。【前後編の後編】
預金・投資・保険を3割ずつ保有するヨーロッパ式を
世界最大手のスイスのプライベートバンク「UBS銀行」で世界中のお金持ちからお金を預かり増やしてきた渡邊さんがすすめるのが、全資産の内訳が、預金・投資・保険でざっくり3割ずつになるように保有するヨーロッパ型の資産運用です。中でも実践するならスイス式だといいます。
スイスでは、リスクの高い株式より、債券や株の配当金、投資信託の分配金など安定した利回りが確保できるタイプの投資を重視するのが一般的だそうです。
利益の判断は「最低5年、長くて10年は待て」
投資を行う際は、短期で売買を繰り返すのではなく、長期投資を基本スタンスにすべきと渡邊さんはいいます。
「株式投資に限らず、投資の成果を判断するまでにかかる期間は、最低5年、長くて10年程度。すなわち、5~10年は投資を続けてみることをおすすめします。
投資は植物を育てることと似ています。植物を育てるためにはまず種を買ってきて植えることから始まり、花が咲くまでに時間が必要です。同様に、投資も中長期でじっくりとお金が増えるのを待つのが賢明です。投資を始めて数か月、数年は値動きのたびに一喜一憂しがちですが、中長期で見れば投資の成功率はぐっと上がります。
これまで、日本ではバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ不況があり経済は落ち込みました。目下はウクライナの情勢によって不安定な状況です。ただし、経済は好景気と不景気を繰り返しながら、緩やかに右肩上がりに成長していくもの。
グローバルで考えれば、世界の人口は増えていますし、次々に新しいビジネスも生まれ、投資の期待値はプラスになっています。また、各国の中央銀行が不況から脱出できるように景気対策として物価の安定を行います。景気がいい時には金利を引き上げて経済を抑制し、不景気の時は金利を引き下げて経済を刺激します。金利の引き下げの次は、国債を発行して大量のお金をばらまきます。そのお金は、少しでもリターンを得ようと投資に使われ、経済が活性化していくのです」(渡邊さん・以下同)