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元専業主婦のドムドム社長・藤崎忍さん、家事、介護などを両立してきた経験から語る「別のページを開く」という考え 

藤﨑忍
専業主婦からドムドムフードサービスの社長になった藤崎忍さん
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あのハンバーガーチェーンを“再生”しているのは、元専業主婦の敏腕社長でした――日本初のハンバーガーチェーンである「ドムドムハンバーガー」。近年はピークだった1990年代に比べ店舗が激減していますが、ユニークなメニューやサービスが受け、今再び注目を集めています。社長として牽引するのが、藤崎忍さん(55歳)。専業主婦から39歳で109のショップ店員となり、居酒屋経営を経て同社に入社した藤崎さんが仕事をする上で貫いていること、そして「これから」についてインタビュー。仕事だけではなく、普段の生活にも参考になる考えを聞くことができました。【全3回の第3回】

→藤崎忍さんインタビュー第1回はコチラ
→藤崎忍さんインタビュー第2回はコチラ

藤﨑忍さん
新業態ツリーアンドツリーズの前にたたずむ藤崎さん
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従業員のためのマスクが想定外のヒット

飲食業界にコロナショックが襲ったのは2020年の春。ドムドムハンバーガー(以下・ドムドム)は緊急事態宣言が発出されるなか、営業を続けながらも、従業員の感染対策に苦慮した。

藤崎忍
従業員の安全を守ることを第一に考えたという
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「コロナ禍で私が一番悩んだのは、従業員の安全をどう守ったらいいんだろうということでした。当初はマスクも消毒液もディスポ手袋も、全てが不足していました。ドムドムは地域のスーパーマーケットの建物内などに出店していて、スーパーは緊急事態宣言下でも休業しないので、私たちも営業を継続することになり、物品の必要量と確保できる量のギャップに胸を痛めました。

それで、まずは布マスクを500枚買って店舗に送って。でも1人1枚ではしょうがないし、少しでもみんなのテンションが上がればと思って、どむぞうくん(ドムドムのマスコットキャラクター)デザインのマスクを作ることにしました。スタッフのみんなに配って、わずかな余剰分を店頭で販売したのですが、これが大きな反響を呼びました。必要とされているならということでECサイトを立ち上げ、通信販売を始めました」(藤崎さん・以下同)

マスクは大ヒット商品となり、このECサイトを通じて、今ではトートバッグやビニール傘、キーホルダーからアパレルまで、たくさんの商品を販売している。藤崎さんによれば、「店舗1つ分か2つ分ぐらい」の売り上げになるという。営業戦略ではなく、従業員を案じてしたことが、結果として会社に予想外の収益をもたらしたのだった。

ツリツリグッズ
TREE & TREE’s by DOMDOMのグッズ
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ツリツリグッズ
『カレー屋ドムドム』の和牛すじ肉カレー
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「この先も、従業員やお客さまに寄り添って経営を考えていきます。コロナ禍だからこんな商品が売れるとか、ウィズコロナ時代にこんなサービスがウケそうだとか、そういう観点ではなくて。コロナ禍ではなく、コロナ禍に見舞われている“人”を、私はやっぱり見ていきたいんです。

きれいごとのように受け取られるかもしれませんが、これは私の経営理念なんですね。『和をもって事を運ぶ』。みんなで活発に話し合いながら物事を進めたいし、関わる人みんながウェルビーイング(心身的に社会的にも幸福であること)でいることで物事が前へ進むと思っているんです」

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