
「一見、モノをたくさんもっていそうなお金持ちは、自分に合うモノを厳選しているため、常にきれいに整理・収納できている」と語るのは、『「お金持ち」が知っている いつも片づく部屋づくり』(青春出版社)の著者・広沢かつみさん。2000軒以上の住まいを訪れ、「お金持ちの共通点」と「モノがあふれている人の共通点」が明確にわかるようになったという広沢さんに、「お金持ち」が実践する「玄関」「洗面所」「ストック」の収納のコツについて聞きました。
【玄関】必ず履く靴だけ、ゆったり並べる
家の顔とも呼ばれる玄関を見渡してみてください。普段履かない靴が散乱していませんか。また、かかとがすり減ったり、破けている靴はどうしているでしょうか。
「昔から『人は靴(足元)でその人の経済状況がわかる』と言われています。いくら高い靴でもボロボロであったり汚れていたりすると意味をなしません。逆に、安い靴でも手入れがされてピカピカであれば、履いている人の評価が高くなります。
お金持ちの人は、招かれたりする機会も多いからなのか、驚くくらいたくさんの靴を持っています。そしてそれらの靴を、つま先を手前に向けて収納するなど美しく整って見えるよう工夫し、ゆとりをもって並べている方がほとんどです」(広沢さん・以下同)

そう語る広沢さんがすすめる玄関のシューズボックス収納法は次のとおりです。
「1足ずつが美しく見えるように、靴は百貨店の靴販売棚のようにゆったりと並べます。その美しさの秘訣は手入れ。ぎゅうぎゅうに詰まっていては、キレイかどうかすらわかりません。ゆったり収納することで、履かない靴、サイズの合わない靴、傷んだ靴などが整理でき、必ず履く靴だけを残すことができます」
シューズボックスに無造作に突っ込んでいないか、確認してみてください。靴を押し込めると変形してしまう恐れもあります。靴の整理と手入れ、さらにシューズボックスの掃除を心掛けましょう。
【洗面所】洗面台やドレッサーをキレイにするには
続いて、洗面台やドレッサーの手入れについてです。
「『鏡とあわせて毎日拭き掃除をしている』というお金持ちは、その理由を『自分をキレイにする場所だから』と言っていました。毎日掃除をするには、サッとひと拭きできる状態であることが重要です。つまり、洗面台やドレッサーの上にモノがたくさん載っていないことが条件。モノがあることで1個ずつよけないと拭き掃除ができず、面倒くさくて『掃除はそのうち』になってしまいます」

「もったいない」で残しているモノは処分を
洗面台の掃除がしづらいほどモノが多くあるのは、家族の人数が多い以外に、実際に使っていない製品や空の品が置いてあるからでは、と広沢さんは指摘します。
「数回使ってみたもののイマイチと思いながら、数回しか使っていないからもったいという理由で残しているモノも多いでしょう。合わないと思うモノは処分したほうがいいですし、次々新製品を買って使うのも肌や頭皮にどうかと思います。年代などで肌や頭皮の状況は変わるので、状況に合わせて変えて、しばらくは同じものを使用するというお金持ちもいます。愛用品に絞れば、洗面台やドレッサーの収納に収まりきるというわけです」
洗面所を片付ける習慣をつけることは、他にもメリットがあると広沢さんは言います。
「鏡で自分をきちんと見ることは、お金持ちいわく、とても大事だそうです。自分に向かって肯定的な言葉を投げかけ、キレイに整えるとよい、とのこと。これならすぐにできそうです」
【ストック収納】一か所にまとめて定期点検を
感染症の流行でステイホームを余儀なくされた時や、これからの台風シーズンや地震への備えとしてやっておきたいのが、ストック収納の見直しです。
広沢さんは、「大事なのは、ストックを溜め込むことではなく、すぐに取り出せて、いざという時に使える状態であること」と指摘します。

量の目安は「家族が2週間暮らせる」
「まず、家にあるストック品を全部見直して、期限切れになっていないか確認しましょう。そして、一か所にまとめられるよう場所を確保してください。
ストック品は食料、日用品と毎日必要な品(子供のオムツやペット用品など)、水、ライフライン系(電源やガスの代わりになる電池やカセットコンロなど)に分かれます。量は、家族が2週間ほど最低限暮らしていけるくらいが必要です。日用品などは長期間持ちますが、食料は月に1回とか半年に1回など自宅内での点検日を設けて、賞味期限の近いものを食べ、新たなものを買うサイクルにしましょう。長期間もつおむつなどの日用品も、使っては買い足すサイクルにし、常に2週間分は予備がある状態を保っておくと良いでしょう」
そこで大事なことは、きちんと管理できるようにまとめて保管すること。
「お金持ちの住まいでは、1か所に蓄えをわかりやすく収納しています。定期的に点検し、不足や不具合が生じないように備えてもいる。期限が切れていては、いざという時に役立たないほか、お金のムダ遣いにもなります。お金持ちの方は、そのあたりは倹約的に在庫確認しています」
期限を切らしてお金の無駄遣いにならないためにも、まずは家にあるストック品の点検から始めるのがよさそうです。
◆教えてくれたのは:コレモッタ代表取締役・広沢かつみさん

収納コーディネートなどを手掛けるコレモッタ株式会社代表取締役。一般社団法人日本専門家検定協会代表理事。リフォーム雑誌の編集長を経て2010年に独立。新聞・雑誌の連載を含めて2000件以上の片づけ・収納相談を受ける。講演会やセミナー受講者は全国に2万人以上、中国・台湾・香港にも3000人以上いる。『玄関から始める片づいた暮らし』『服が片づくだけで暮らしは変わる』(いずれも青春出版社)など著書多数。https://ameblo.jp/koremotta/