
お店の人にすすめられて気軽に作るといつのまにか溜まっていくスタンプカード。財布を整理するときに、なんとなく捨ててしまうのはもったいないと、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんは言います。それでは、手元に残すべきスタンプカードはどのように選ぶべきなのでしょうか?
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甘く見てはいけないスタンプカードのお得度
規模の小さい企業や業態のお店は、いまだに紙のスタンプカードを発行しているところがあります。紙のカードを財布に入れておいても財布が膨らむだけで邪魔になる、大してポイントが貯まらないので無駄と思われる人もいるかもしれませんが、意外にメリットがあるんです。
まずは、スタンプカードがどれだけお得なのかお話します。
スタンプ1個の価値を計算してお得度を知る
私がよく使う、温泉施設のスタンプカードを例に考えてみましょう。
この温泉施設の1回の利用料は1000円です。来場の度に1個、キャンペーン期間だと2個、スペシャルデーの日は3個のスタンプが押されます。スタンプが20個貯まると施設内で使えるドリンク無料券がもらえて、40個貯まると施設を無料で使える招待券がもらえます。
すると40個のスタンプで「ドリンク200円」と「利用料金1000円」が得られるので、合計1200円分になります。つまり、スタンプ1個の価値は1200÷40=30円になるのです。

私が使っている温泉施設のスタンプカードは…
私はこの温泉施設を週2回利用しているので、スタンプカードを忘れなければ、1年で104個貯めることができます。さらに、10%割引される回数券を利用しているので、1回の入浴料は900円。さらに、回数券利用者にはスタンプを2~3個押してもらえるキャンペーンもあるので、年間あたり120個程度貯めることができます。
つまり、回数券を使って週2回、1年通うと、無料ドリンク券3枚(600円相当)、無料入浴券3枚(3000円相当)がもらえるので、年間で3600円も得することになります。計算してみると、紙のスタンプカードから高い還元を受けていることがわかります。スタンプを集めるのと集めないとでは、長期的に見ると大きな差が生まれることになります。
手元に残すべきスタンプカードの選び方
これは私が使っているスタンプカードの一例で、ほかにもさまざまなカードがあります。中にはそれほどお得ではないものもあるでしょう。その一方で、アプリなどのポイントと比べて、「スタンプ○個で特典は○」などを店がある程度自由に決められるため、思わぬ特典がもらえるお得なカードが見つかることもあります。では、どのように手元に残すカードを選ぶべきでしょうか。

使用頻度が高いこと
まず大切なのは、その店をよく利用しているということです。私の場合、温泉施設をよく利用しているため、それだけお得な特典を得ることができました。いくらお得なスタンプカードであっても、その店をほとんど利用してないのではカードを持つ意味がありません。
スタンプ1個あたりの価値を考える
よく利用する店であるなら、先ほどのように1個のスタンプがどれだけお得なのか、財布に入っているスタンプカードを見直してみましょう。それほどお得ではない場合、それでも使用頻度が高いから持ち続けるのか、財布の中で邪魔になるから不要と考えるのか…残すか捨てるかを決めるときの判断材料になると思います。
エリアで絞るのも1つの考え方
先ほど述べたように使用頻度が高い店のスタンプカードを持つのは鉄則ですが、「自分がよくエリア」というのも残すカードの候補にはいってくるでしょう。スタンプカードの場合、ポイントカードとは異なり、忘れてもレシートにスタンプを押して、後日持っていけばカードに追加する、といった対応をしてくれる店が多いです。こういった不測の事態や使用する可能性を考えると、自宅近くや職場近くなどよく行くエリアのものを残しておくことが懸命でしょう。
また、引っ越しを予定していて、引っ越し先のエリアにそのお店の支店がない場合は、引っ越し前に使い切るスケジュールを考えたり、あまり貯まっていないならば、近所に住む友人にあげたりといった方法で、財布の中のスタンプカードを整理することをおすすめします。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん

うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/イワイユウ