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片づけのリバウンドを防ぐには「めんどくさい」をなくす!“予約の取れない家政婦”が3つのコツを伝授

散らかった部屋と女性
片付けの「リバウンド」を防ぐ方法は?(Ph/photoAC)
写真7枚

片づけても片づけてもすぐに散らかってしまう。そんな悩みを抱えるご家庭も多いのではないでしょうか。こうした片づけの「リバウンド」は、どうしたら解消されるのか。片づけが「面倒」に感じない仕組みづくりを分かりやすく提案した『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』(ダイヤモンド社)の著者であり、家事代行マッチングサービス「タスカジ」で「予約の取れない家政婦」といわれる片づけのプロ・seaさんに教えてもらいました。

家族全員がモノを戻しやすい家にする

そもそも、家はなぜ散らかってしまうのでしょうか。

「答えは簡単。使い終わったモノ、外から持ち込んだモノをしかるべき場所に戻さないからです。逆に言えば、きれいを維持するポイントは、家族全員が使い終わったモノを毎回きちんと戻すこと。それさえできれば片づいた状態がキープされ、リバウンドしません」(seaさん・以下同)

片付いた部屋
使ったら戻す環境を作れはいつでも整った部屋を保てる(Ph/イメージマート)
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モノを戻す。一見とてもシンプルで簡単なことですが、疲れているときや忙しいときは、なかなかできないものです。

「めんどくさい」をなくすと、片づけがラクになる!

「例えば、ゴミをゴミ箱に捨てる、出したモノをもとに戻す、持ち帰ってきたものをしまう、といった作業の過程にちょっとでも『めんどくさい』工程があると、人は片づけができなくなります。疲れているとき、忙しいときなどはとくに『めんどくさい』に負けやすいですし、家族に片づけの意識が低い人がいれば、なおさらです」

ではどうすればいいか。seaさんは、「片づけの動線にある『めんどくさい』を徹底的に排除すること」だと話します。

ここでは、今すぐ実践できる「めんどくさいをなくす方法」を3つご紹介します。

【1】引き出しは「手でモノをかきわけない」レベルまでゆったりさせる

「引き出しがぎゅうぎゅうだと、開け閉めに労力がかかります。開ける時に力が要る、引っかかる、いちいち中身をぐっと寄せてスペースを作らないとモノが入らないなど、手間尽くしです。これでは、モノを戻すのがおっくうになるのは当然です」

我が家の引き出しはまだ1割近くの空きがあるから大丈夫! そう思っている人もいるでしょう。しかし――。

「9割近くまでモノが埋まっている引き出しは“パンク収納”の予備軍です。残り1割未満のスペースは、しまいそびれたモノ、新たに買ってきたモノ、人からいただいたモノ、家族が持ち込んだモノなどであっという間に埋まってしまい、すぐに100%を超えてしまうからです」

「使っていないモノ」を取り除き、ゆったりさせる

「つい、モノを詰めこんでしまいがちな引き出しですが、快適に使いこなすコツは『ぎゅうぎゅうにせず、ゆったりさせる』こと。『ゆったり』の目安は、手でモノをかき分けなくても、何がしまわれているか見てわかる状態のことです。引き出しの中のモノをいったんすべて出してみると、ぜんぜん使っていないモノや、存在を忘れていたモノが紛れ込んでいることも。それらを取り除くと、無駄なく、使いやすい収納になりますよ」

整理させた引き出し
一目でわかる状態が使いやすい収納につながる(Ph/イメージマート)
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【2】モノを戻すために必要な「動作」を減らす

「モノを戻すまでの動作が多いほど、めんどくささは増します」と、seaさん。

「モノを戻すために通るルートに『障害物』があると、避ける動作が増えて、ひじょうにめんどくさいです。

家を見渡してみてください。床にドーンと置いた電化製品、散らばった本、脱ぎ散らかした靴下、足を引っかけそうなコンセントなどなど、いくつもの障害物がないでしょうか?

畳んだ洗濯物をクローゼットに戻すまでの通り道に障害物が多ければ多いほど、無意識にそれを避けて歩かなければならず、神経を使います。さらに足をぶつけてしまったら、しまいに行く気もダウンしてしまいかねません」

散らかった部屋と女性
またぐ、よけるなどの動作が片付ける気持ちを萎えさせる(Ph/イメージマート)
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障害物は1つでも排除していく

「理想は、こうした障害物をできるだけ取り除くこと。電化製品や家具が通り道にあるならずらす、収納の扉の前に置かれているモノはどかす。1つどかすだけでも、めんどくささが軽減され、収納にたどり着きやすくなります」

使用頻度の高いモノは「入れるだけ」「置くだけ」の収納に

モノを戻すまでの動作も障害物と考え、できるだけシンプルに。

「使用頻度の高いモノは、できるだけ1アクションで戻せる収納にしまいましょう。具体的には『入れるだけ』『置くだけ』の収納です」

例えば、洗濯したタオルなどを引き出しにしまうのではなく、洗濯機の周りに置いたカゴなど、ふたがないオープンなケースの中にモノを投げ込むだけの収納です。

「入れるものの量に対して余裕がある、大きめのサイズのケースを選ぶことがポイントです」

タオル収納
収納までの動作を減らす事も大切。入れるだけ、置くだけなど極力シンプルに(Ph/photoAC)
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さらにラクな方法は、置くだけの収納。

「向いているのは、毎日使うモノや片づけが苦手な家族のモノ、重くてカゴに入れることすら面倒なモノ、小さくてしまいこむと見えなくなるモノです。例えば、洗剤のスプレーは扉を開けてしまうのではなく、棚の上に直置きするといいでしょう。使う人の腰の高さであれば、かがんで立ち上がる動作もなく、面倒さがより軽減されます」

【3】家の中をウロウロしない仕組みを作る

ひどく疲れているときは、ほんの2~3歩でもモノを戻すために歩くのはしんどいですよね。

「理想は、その場で使ってその場で戻す、というように使う場所と戻す場所を同じにすること。それが難しくてもできるだけ近づけることです」

例えば掃除機はよく使う場所に置いておく、観葉植物に使う霧吹きはそばに置いておくことです。

衣類の収納場所がばらけていると、洗濯物をしまうのがかなりめんどくさい作業になります。取り込んだ洗濯物を、家族各々の個室のクローゼットや台所などにしまうのは、重労働ですよね。。途中で家族に呼ばれたり、電話やインターフォンの呼び出しがあったりしたら、その場に「一時置き」したまま。果ては行方不明に…なんて惨状にもなりかねません。

「対策としては、同じカテゴリーのモノはなるべく一か所に集めること。家族全員分の下着やタオルは脱衣所にまとめておくのも一つの方法ですね」

収納イメージ
同じ種類のものはなるべく一か所に収納する(Ph/イメージマート)
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最近では脱衣所にドラム式洗濯乾燥機を置き、その付近に収納場所を設置している家庭も増えています。洗濯機から取り出した衣類やタオルなどを、そのまま手の届く範囲の場所にしまうだけなら、しまう労力は大幅に軽減されるでしょう。

よく使うモノとそれ以外を分けて収納スペースを増やす

以上をまとめると、モノを戻してスッキリした状態をキープするには、収納場所までの障害物を排除したり、収納スペースに余裕を持たせたりして、とにかく戻しやすくする仕組みづくりが肝になります。

収納スペースに余裕を持たせるには、よく使うモノとそれ以外を分けること。寒暖の差がひと段落した今こそ、衣類を始め各部屋の収納を見直してみてはいかがでしょうか。

◆今回参考にした本

『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』(ダイヤモンド社)
6000軒を片づけた「予約の取れない家政婦」が教える、究極の片づけ術。家じゅうにひそむ「めんどくさい」を取り除き、片づけの手間をなくす方法を紹介しています。いままで何度もリバウンドしていた人、ズボラな人にこそ向いている、一生、家事がラクになる本。

◆教えてくれたのは:家族の片づけコンサルタント・seaさん

タスカジ・seaさん
家族の片づけコンサルタント・seaさん(Ph/砂原文)
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個人宅の片づけや掃除を行うこと20年超。今までに片づけた家は6000軒以上。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では、その実力のあまり「予約の取れない家政婦」の別名も。現在はメディア出演や執筆、片づけ講座の企画・開発など幅広く活動する。著書に『タスカジseaさんの「リセット5分」の収納術』(主婦と生活社)、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』(ダイヤモンド社)など。https://taskaji.jp/user/profile/2551

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