事前に組織の一員として活動を。「社会性」を養う
もう一つ、大事なことは、意識の持ち方です。「社会性」と言えばいいでしょうか。職場は仕事をする場所であり、会社は(経済的な)成果を上げるための組織であるということ。これを理解する必要があります。
例えば、働き始めたばかりの時期から、立場を踏み越えて自論を述べることが多い人。同僚からの注意に対して「言い方がキツい」「同じことを何度も言われる」といった不満を抱く人。こうした人は、目的を見失っていると言わざるをえません。
職場の仲間と、家族や友人に求めるような“共感”ができたら理想ですが、大切なことは業務上の目標を達成することです。そのためにすべきことは何なのか。それは、注意を受けたとき、「相手の言い方がよくない!」と言って否定しにかからないで、注意を受けたところをただ修正、改善してみることだと思います。
そこで傷つく必要はないんですよ。同僚は働き始めて日が浅い人に「そのやり方はダメ」「こうして」と教えているだけなので、教わったことを吸収して成長すればいいだけ。そして、感情的になったり、自分を大きく見せようとしたりする必要はありません。
そもそも自信がないところに、他人から何か指摘されてつらくなってしまう気持ちも分かりますが、誰に褒められなくたって、雇用されて給料が支払われるということは、会社がその働き手を評価しているということ。自信を持って堂々と働いて、注意はただ注意として受け止めて前進しましょう。
また、もし相手の言い方に不満を感じたとしたら、相手の裏を考えてみることも大切。もしかしたら、相手だって余裕がないだけで、そういう言い方になっているかもしれないですし。
こういうことは、頭で理解しても感覚が追いつかなかったりしますよね。ですから理想は、本格的なキャリア構築に向かう前に、ボランティアや地域活動、パート、アルバイトなどで組織の一員になって一定の責任を負いながら活動してみることだと思います。いきなり就職してつまずいて「やっぱり私に仕事は無理なんだ」と思い込んでしまうのはもったいないですから。
働き始めたつもりで生活する
体力も身に付けたいですね。外出って疲れるものです。混み合う電車やバスに乗って通勤するだけでも大変。加えて、当然ですが会社に着けば慣れない仕事をするわけです。通勤と、職場に着いてからの仕事と、どちらも初めてだと、最初から問題なくこなすのは無理な話だと思います。
ですから、働き始める前に、仕事以外のことにあらかじめ慣れておくことが大切です。例えば、決まった時間に起床すること、短い時間でビジネス用のメイクをすること、出かける前と帰った後だけで家のことが回るように下地づくりをすること、公共交通機関を使って外出すること。要は、働き始めたつもりで日々を送ってみることです。筋トレなどでは得られない、社会人に必要な体力が培われます。
家事など自分が普段の生活でどんなタスクを抱えているか洗い出してみて、手に余るものを家族に割り振ったり外部サービスに頼ったりする作業も必要です。「うちの夫は何もしてくれない!」と嘆いてもしょうがないので、具体的に何をしてほしいのか言いましょう。