8月は1年の中でもっとも台風が多い月です。台風の予報を目にしたら、自宅周りの植木鉢や自転車などを雨風が避けられる場所に移す人も多いですが、実は屋内にある家電製品にも対策が必要です。家電ライターの田中真紀子さんが解説します。
なぜ家電は水に濡れると故障しやすくなるのか
台風によって家電製品が影響を受けるとしたら、次の3つの可能性があると言います。水漏れや雨の吹き込みによる不具合、落雷によって家電が故障する「雷サージ」、停電による通電火災です。順に教えてもらいましょう。
まず、水漏れや雨の吹き込みによる家電の不具合。
「台風による家電の被害としてもっとも多いのが、水漏れです。大雨や洪水で床上浸水が起こると、家電だけでなく、家具や家財道具の多くが使い物にならなくなってしまいます。また強風によってガラスが割れ、雨が吹き込むことによって家電が濡れてしまうケースもあります」(田中さん・以下同)
一度濡れただけでも漏電の危険性が高まる
ご存じの通り、家電は水に濡れると故障しやすい性質があります。
「水は電気を流します。家電製品内部の電気回路に水がつくと流れてはいけないところに電流が流れ、回路がショートしたり、回路の部品が故障してしまうのです。
また、家電が一度濡れてしまうと、たとえそのあと乾いたとしても、漏電の危険性が高くなっています。万一泥や塩分などの成分が内部にはいり込んでしまった場合、発煙や発火を引き起こす可能性もありますので、メーカーや家電業者さんにご相談を」
雷がコンセントを通じて家中の家電製品を壊すことも
次に気をつけたいのが、雷。
「雷1回の電力は数千万から1億ボルト、電流は1000から20万アンペアと言われています。これほど大きな電圧・電流を含む雷が近くに落ちるとどうなるか。まず、雷周辺にある電線や電話線、テレビアンテナなどを通じ、大きな電圧、電流が建物の内部にはいり込みます。その過電圧・過電流は壁のコンセントから電源プラグを通じて家電製品を壊してしまうことがあるのです。これが、『雷サージ』と呼ばれる現象です」
雷の予報があったらコンセントを抜く
そのため、できれば雷の予報があった時点で、それが難しければ遠くでゴロゴロと音が聞こえた時点で即、コンセントからプラグを抜くことが推奨されています。
「ただし、雷が落ちてから抜くのは危険。落雷後はコンセントに近づかないようにしましょう。落雷により雷サージが発生し、過電流がコンセントに流れ込んできた場合、その瞬間にコンセントに触れていると人に感電する恐れがあるからです。雷対策としては、雷サージ保護機能付きの電源タップを利用するのがおすすめです」
停電時もコンセントからプラグを抜く
コンセントからプラグを抜く必要があるのは、停電時も。
「大型台風の影響で停電になることもあります。もし停電になったら、まずブレーカーを落とし、壁のコンセントから家電の電源プラグを抜いておくことをおすすめします。
停電が復旧し、電気が流れ始めたときに漏電があると、火災(通電火災)につながる恐れがあるからです。特にオーブンレンジやヒーター、アイロン、ドライヤーなど、熱を発する家電は漏電しやすい傾向にあります。停電復旧後は、まずブレーカーを入れ、異常がないことを確認しながらコンセントを順次さしましょう」
真夏に停電で冷蔵庫が使えなくなったときは
停電した場合、冷蔵庫内の食べ物も気になります。
「電源を抜いてからの保冷効果は2~3時間続くと言われています。停電のおそれがある場合は、温度設定を『強』にして庫内をしっかり冷やし、できるだけ開閉せずに庫内温度の上昇を防ぎましょう。あらかじめ保冷剤やペットボトルの飲料を凍らせておくと、保冷剤として役立ちます。万一停電したらすばやく冷蔵室に移動させましょう。ただし停電が3時間を超えた場合、食品によってはダメになってしまっていると覚悟を」
停電時や落雷時に備え、次のようなお役立ちグッズを用意するのもいいでしょう。