
いつも腰痛や肩こり、頭痛で悩んでいる、どんよりとした気分でいるなど、不調を感じている人には、姿勢に原因があるかもしれません。『きれいな姿勢に生まれ変わる ねこ背伸ばし』(アスコム)を上梓した整体師の片平悦子さんによれば、猫背になりがちな座り姿勢を改善するポイントがあるそうです。つらい腰痛などの体のトラブルや老け込んで見える猫背を、お金をかけずに治すための方法を教えてもらいました。
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猫背が不調を招く理由
腰痛や肩こり、さらには精神的なことまで、猫背によって引き起こる不調はたくさんあるんです。
猫背の姿勢が続くと、肋骨と骨盤の間隔がせばまって内臓に負担がかかったり、頭が前に出ることで首こりや肩こりが起こったり、血管・神経が圧迫されて自律神経の乱れが引き起こされることもあります。

心身の不調に加えて、内臓が押しつぶされて下腹がぽっこりと出てきたり、お腹周りに脂肪がつきやすくなったり、猫背は見た目にも悪影響なんです。
簡単に猫背を治す「ねこ背伸ばしの座り方」
そんな悪影響ばかりの猫背を解消するためにおすすめしたいのが、「ねこ背伸ばしの座り方」です。「ねこ背伸ばしの座り方」は、机に腕と肋骨を乗せるようにして、もたれて座る方法です。これだけで、猫背がスッキリと伸びて、正しい姿勢になります。
「ねこ背伸ばしの座り方」の3つのメリット
【1】いつでもどこでも行える
特に時間などを決めなくても、机に向かうときやいすに腰掛けるときなら、いつでも繰り返し行えます。
【2】正しい姿勢がすぐに完成する
骨盤を立てて背骨をまっすぐにするという、正しい姿勢はわかりにくいものです。しかし、お尻を揺らして坐骨の位置を確認して座り、肋骨を机のふちに乗せるようにする、この座り方ならば、骨盤や背骨を意識しなくても、誰でも正しい姿勢をマスターできます。
【3】猫背が治り、正しい姿勢が無理なく定着する
日常生活の中で繰り返し行えるので、特に意識せずとも正しい姿勢や、正しい骨盤の位置を体で覚えることができます。そうして、立つ、歩くといった日常の動作でも、いつのまにか正しい姿勢が定着しますよ。
「ねこ背伸ばしの座り方」のやり方
まず、坐骨で座るのがポイントです。手でお尻の肉を両側に持ち上げて座ったとき、触れる硬い骨が坐骨です。

坐骨の位置がわかったら、いすに浅く腰掛けて、両手を座面につけて「お尻歩き」をするように左右にお尻を振りましょう。このときに感じる、ゴツゴツとした坐骨の先端を、いすの前端に引っ掛けるようにして浅く座ります。

お尻の位置をキープしたまま、両ひじを机の上に軽くのせ、肋骨を机のふちに引っ掛けるようにして、前にもたれかかると、重心が前に移動して背骨が伸び、理想的な正しい姿勢になります。

骨盤が立ち、ひざの真下に土踏まずが位置して、足の裏を床にピッタリとつけられたらパーフェクトです。やってみると、呼吸が楽になる気がしませんか?
「ねこ背伸ばしの座り方」のポイント
骨盤の一番下の部分の坐骨の下側で座るのがポイントです。浅く腰掛けることで、坐骨の下側で座ることになり、自然と骨盤が立ちます。さらに、肋骨を机のふちに乗せるようにすることで、肋骨と骨盤の間が開く形になります。
骨盤と肋骨をこの形でキープすることで自然と胸が開き、背骨は必要以上に曲がることができなくなります。さらに、机に両ひじを乗せると、両腕と肋骨の3か所で上体を支えることができます。まさに、骨盤と肋骨で姿勢をロックした状態となり、猫背になりたくても、なりようがない姿勢ができあがるのです。

これをまずは30秒キープしてみましょう。この座り方を日常的に意識するうちに、正しい姿勢が身につくようになります。
◆教えてくれたのは:片平悦子さん

一般社団法人日本パーフェクト整体普及協会代表。人生の最期のときに後悔しないソウルフォース マイスター。赤門鍼灸柔道整復専門学校卒業。整体業界35年で、5万人以上の臨床経験を持つ。全身の筋・膜・骨格調整法をパーフェクト整体として確立し、500名以上の開業3年以上の整体師にパーフェクト整体を伝授。ベストセラーとなった脳脊髄液のセルフケア法『3つの体液を流せば健康になる』(三笠書房)をはじめ、著書8冊、累計15万部超え。「モゾモゾ体操(R)」も評判に。