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薄井シンシアさんが2人のアラフォー女性に聞く いま「専業主婦」というキャリアブレイクを選択する理由

他の生き方をけなさずに、自分の選択を自分で信じたい

――シンシアさんは、専業主婦として子育てをした17年間の日々を「娘とたくさんの時間を過ごせたその日々はかけがえのない愛しいものでした」と振り返ります。その一方で、キャリアを再開しようとしたときに専業主婦の経験はキャリアとして認められず、応募できる仕事が少なく悔しい思いもしたといいます。

シンシアさんが経験したように専業主婦からのキャリア再開で苦労するケースは少なくありません。2人はこの点をどう考えているのでしょうか。

大戸菜野さん、薄井シンシアさん、松本優季
自分の生き方について語る3人
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菜野さん:どの生き方を選ぶにしても、メリットとデメリットに自覚的でありたいですよね。

優季さん:全部取りとかいいとこ取りができていると思わないことが大事だし、子供に対してもそれが誠実な態度なんじゃないかなっていう気がします。

菜野さん:ある記事で、ファッションブランド「ユキトリヰ」の鳥居ユキさんは、妻は家を守るべしという考えが微塵もなかった」とおっしゃっていました。育児も、出産の際病院で付き添ってくれた乳母さんにそのまま自宅にも来てもらえるようにしたと言っています。夫も理解ある人だという話をインタビューでされていて。

ユキさんは1975年から一度も休まずに毎年コレクションを発表していて、日本を代表するデザイナーとして活躍しています。私の選択とは違いますが、いろんな考え方があるんだなって。そういう人生を選んでもいいよねって。

とにかく、自分が選ばなかった生き方や、それを実践している人を否定することで自分を上げるとか、そういうのはもうやめにしたいですよね。みんなが自分で生き方を選んで、その選択を自分でよしとするしかないんじゃないのかな。

専業主婦が“正しい選択”とは限らない

シンシアさん:そうだよね。専業主婦が誰にとっても正しい人生の選択だなんて、言うつもりは私も全然ない。専業主婦は稼げないし、労働市場であとあと不利になるというデメリットがあるけど、子育ての上ではメリットが多いと感じる人がいるというだけの話。子供の話を毎日たくさん聞けるので、子供の可能性をどんなに小さくても見逃さないで、一緒になって取り組んで、応援して伸ばしていけるのはいいよね。

優季さん:才能を伸ばせたらもちろんいいですけど、そこまでではなくても子供の好きなことを一緒にできるのって幸せな気持ちになります。うちの子は映画が好きなので、一緒に映画館に行ったり、テレビで放送している映画を一緒に見たり。そういうことがすごく楽しいです。

大戸菜野さん、松本優季さん
シンシアさんと真剣に談義するお2人
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シンシアさん:私も娘と並んで、『東京ラブストーリー』とか『ロングバケーション』とか一気見したりしたなあ(笑い)。うちは、おやつを食べるのにも毎日1時間かかる家庭だった。学校で何があったとか、おしゃべりしながらだから。

菜野さん:子供の話って聞けば聞くほど面白くなってきますよね。幼稚園では誰と誰が仲良しで、誰が何を得意にしていて、誰が最近どんなことで泣いちゃったとか。そういうのを全部聞いていると、参観日が何倍も面白くて。名札を見て「あ、この子が○○くんか。いつもみんなを楽しませてくれるひょうきんな子ね。」とか分かるんですよ。私、今だったら、幼稚園の相関図を描けます(笑い)。

――今回、紹介したのは子育てを機に進んでキャリアブレイクしている2人の女性のケース。彼女たちよりも上の世代では、前述のように介護や、自身や家族の病気などさまざまな理由でキャリアを中断せざるをえない人もいるでしょう。そうした世代の女性たちにも、メリットやデメリットを慎重に“計算”しながら行った2人の決断のプロセスは参考になるはずです。

次回は、2人のキャリア再開への思いや仕事観などにシンシアさんが迫ります。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う大学のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラ社に入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/黒石あみ 構成/赤坂麻実、編集部

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