3年近く続いたコロナの自粛生活にもやっと終わりが見え始め、友人付き合いも以前と同じように再開、という方も多いと思います。ただ、そんな中で、人となかなか自然体で接することができない、人づきあいがストレスになるといった悩みを持つ人がいるのも事実。『自分を好きになれない君へ』を上梓した心理カウンセラー・野口嘉則さんに、良好な人間関係を築く秘訣を聞きました。
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最も重要な人間関係とは?
人間関係には、様々な種類があります。親子関係、夫婦関係、友人関係、職場での関係…。
現代社会では、それに加え、実際には顔を合わせないネット上での関係などもあります。そんなあらゆる人間関係の中で、誰にとってもかわらず最も重要な人間関係があります。それは誰との関係でしょうか。
答えは、「自分との関係」です。
なぜ自分との関係がいちばん重要なのか。2つ理由があります。
1つは、誰でも人生で最も長い時間を共にするのが自分自身だからです。
他人とは合わなければ距離を置くこともできますし、最悪は縁を切ることもできますが、自分相手ではそうはいきません。四六時中一緒で生涯共に過ごします。もし自分のことが嫌いでうまく折り合いがつかなければ、24時間一緒はつらいですよね。
2つ目の理由は、自分との関係があらゆる人間関係のひながたになるからです。かつての私もそうでしたが、人は自分とのよい関係が築けていないと、他の人ともうまく関係が築けません。逆に言えば、自分とよい関係を築けば、他人とも真に良好な関係を築くことができるのです。
嫌いな自分もそのまま認めて受け入れる「自己受容」
自分自身とよい関係を築くためにまずしなくてはならないのは、「自己受容」です。
ひとつ質問をします。
あなたはどんなときの自分も受け入れることができますか? 失敗したときの自分、人にやさしくできなかったときの自分、がんばれないときの自分…。
もし答えがYESなら、あなたと自分との関係は良好だと言えるでしょう。
「自己受容」とは、文字通り、自分を受け入れることです。いま自分が何を感じているか、どんな気持ちなのか、しっかり受容できるようになり、自分が自分である確かな感覚があると、自己受容ができている状態であるといえます。
無理に自分のよいところを見つけるのではなく、もしいま自分のことが好きでないなら、「自分は自分が好きではないんだな」「それが自分なんだな」とそのままそっくり受け入れる。そんな自分を心の中で抱きしめる。つまり、自分に対して、よい悪いの判断を下さず、そのままを認めて受け入れること、それが自己受容です。