ロボット掃除機の代表格、ルンバから初めて水拭きもできる兼用型が登場し話題を呼んでいます。一方で、吸引あるいは水拭き、どちらかに特化したロボット掃除機も根強い人気。これから導入する場合、吸引&水拭きの1台2役型と、特化型、どちらを選んだらよいのか悩ましいですね。家電ライターの田中真紀子さんに選び方のヒントを教えてもらいました。
時間と手間を減らしたい人は1台2役型
2018年4月に、自動吸引と水拭きを同時に行えるロボット掃除機を発売し、大きな話題となったエコバックスの「DEEBOT」シリーズ。あれから4年経った今、直近ではルンバから初めて水拭きもできる兼用型が登場するなど、1台2役のお掃除ロボット市場が熱を帯びています。
1台2役型は、ゴミを自動吸引した直後に、使い捨てモップで水拭きをして、また吸引と水拭きを繰り返しながら部屋全体を進んでいくロボット掃除機。
「メリットは、時間と手間が省けること。これに尽きます。一度の掃除で掃除機がけと床拭きが済ませられるので、2台使うより効率的に掃除が終わるのです」(田中さん・以下同)
デメリットはカーペットに弱いこと
もちろん、デメリットもあります。ひとつは、カーペットを濡らさずに掃除する能力にムラがあること。
「多くの兼用型は、カーペットに侵入した際、モップを5mm持ち上げ、カーペットを濡らさないように工夫します。ただし、このときに毛足が長いカーペットだとモップが接してしまい、カーペットが濡れたり、吸引走行時に滑りが悪くなったりする可能性も。ほか、掃除機オンリーモードならカーペットも掃除できるのですが、掃除機&床拭きモードではカーペットを感知したらUターンして、カーペット掃除自体を避けてしまうものもあります」
新発売の兼用型ルンバは弱点をカバー
こうした水拭き兼用の弱点を後発品の視点から払拭したものが、11月11日に発売された、『ルンバ コンボ j7+』だと言います。
「『ルンバ コンボ j7+』は、見た目は『ルンバ j7+』とほとんど変わらないまま、ルンバでは初めて水拭き機能を搭載しました。他社と異なるのは、モップ部をリフトアップ式にしたこと。モップがけ中は、床面にあるモップが、カーペットに登るときに天面側に持ち上げられるので、カーペットを濡らさずに掃除できるのです。
ちなみに『ルンバ コンボ j7+』は、部屋の間取りを学習し、カーペットの場所を覚えたら、先に水拭きできるフローリングの掃除を済ませ、カーペットはあとでまとめて掃除します。モップを何度も上げ下げする労力と時間をかけないためです」
水拭きのクオリティを求めるなら特化型
他方、床拭き専用ロボットは、乾拭きや水拭きの使い捨てシート、あるいは何度も繰り返し洗って使えるモップを本体にはめ込み、水拭きなら給水してから、床の水拭きを始めます。
このタイプのメリットは、水拭きのクオリティの高さだと、田中さん。
「床拭きに特化して作られているロボットは、特に汚れている床は何往復もするなど、床の汚れを重点的に落とせる機能が搭載されています。また、吸引できるロボット掃除機よりサイズがコンパクトなぶん、家具の隙間にもはいりやすく、床拭きできる面積が広いのも特徴。さらに、吸引しないため音が静かでホコリも巻き上げません。ですからホコリの舞い散りが気になる人には、状況に応じて床拭きロボットをメインで使うのもありでしょう」
最新の兼用型には、「地味に面倒」な水拭き前の給水やモップ洗いも搭載
とはいえ、兼用型ロボット掃除機の床拭き機能も、ここ数年、急激に進化していると言います。
「例えば、障害物回避性能がアップし、床にものがあっても掃除が始められます。またエコバックスとロボロックには、床拭きしたモップを自動で洗ってくれる自動洗浄機能が搭載され、消耗品の使い捨てシートを定期的に買うコスト、あるいはモップを洗う手間が削減されます。
さらにエコバックスの最上位モデルには、自動洗浄したモップを乾燥してくれる機能まで搭載されています。そのぶん充電ドックが大きくなりますが、ロボット掃除機のゴミは自動収集が当たり前になってきている今、ロボット掃除機を動かすうえでネックとなる手間が劇的に低減されている点は、見逃せません」
注目の2機種の特徴を、田中さんに解説してもらいました。