健康・医療

冬にドライアイが増える理由は「3コン」、目の負担をやわらげる方法や目薬の選び方

ドライアイ
冬に多くなるドライアイについて福田さんが解説(Ph/photoAC)
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スマートフォンやコンタクトレンズ使用者の増加に伴い、ドライアイの人も増えているそうです。ドライアイはただ目がゴロゴロするという不快感だけではなく、放置していると視力の低下や角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)を発症してしまうこともあります。空気が乾燥している冬場はドライアイになりやすいと話す健康科学アドバイザーの福田千晶さんに、ドライアイの対策について聞きました。

冬はドライアイの三大原因が揃いやすい

国内患者数は推定2200万人以上で、男性よりも女性の方が多いとされているドライアイ。なぜ冬になりやすいのでしょうか。

「冬は空気が乾燥し、エアコンも使用するので、肌だけではなく目からも水分が失われるからです。冬はドライアイの三大原因である“エアコン”“パソコン”“コンタクトレンズ”の“3コン”が揃いやすい季節でもあるので、注意が必要です」(福田さん・以下同)

コロナ禍により在宅ワークになった会社員や、タブレットで学習する学生も増え、年齢を問わずモニターを見る時間が延びています。

目元
「3コン」が揃いやすい冬は水分が失われやすい(Ph/photoAC)
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「とくに冬は寒い屋外への外出を控え、自宅で映画やドラマを見る人も多いでしょう。中でもスマートフォンで視聴している人は、パソコンやタブレットよりもドライアイになりやすいかもしれません。テレビやパソコンの画面よりもスマートフォンの画面は小さいので、より集中して見るため、まばたきが減ります。また、画面と目の間隔が近いと、目の負荷が大きくなります」

マイボーム腺の機能低下も

ドライアイは、涙不足などが原因で目の表面に障害が生じる状態です。

「まばたきの回数減ることや、コンタクトレンズによって涙が蒸発しやすくなることは広く知られているかもしれません。他にもマイボーム腺の機能が落ちることも、ドライアイの原因になります。

マイボーム腺とは、まつ毛の裏側にある器官で、涙の油分を分泌しています。細菌がついた手で目を触るなどにより、この腺が細菌感染によって詰まると、涙の中の油分のバランスがくずれて目が乾きやすくなったり、炎症が起きてものもらいのような症状になったりします。

今後はイベントに参加する機会が増える環境のため、化粧をする機会が増えるかもしれません。アイメイクの成分をしっかりと落とさないと化粧品の成分でマイボーム腺をふさいでしまい、ドライアイのリスクが高まります」

洗顔
アイメイクをきちんと落とす事も対策のひとつ(Ph/photoAC)
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ドライアイの簡単なチェック方法として、「目を見開いたまま12秒間キープ」があります。もし、12秒たたずにまばたきしてしまうのなら、ドライアイの可能性があります。

点眼や目の筋肉を緩めることでドライアイ予防を

長時間パソコンやタブレットを使用する場合は、セッティングの角度を変えるだけで、目の負担が軽減します。

「パソコン作業をする際は、座って背すじを伸ばした状態で、少しまぶたを下げる程度の位置にモニターがあるのがベストです。自然に半分ほどまぶたが閉じているので、目の潤いを保てます。最悪なのは、寝転がりながらスマートフォンを見上げるように目の前で持っているケースです。大きく目を開きながら、強い光を至近距離から目に浴びせることになってしまいます。

できれば1時間に一度は画面から目を離して、遠くの景色を5分ほど見てください。遠くを見ると、ピントを合わせるために水晶体を調節している毛様体筋がゆるんで、目を休ませる効果があります。

コンタクトレンズを装着している場合は、目が乾きにくい製品か確認するといいでしょう。また、コンタクトを使わずに、“メガネの日”を作るのもいいですね」

ねがね
コンタクトを外してメガネの日を作るのも◎(Ph/photoAC)
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目薬選びのポイント

目薬で潤いをサポートする方法もあります。この際には目薬選びも重要です。

「涙に成分が近い“人工涙液”がおすすめです。長期間使い続ける場合は、防腐剤が目を傷付ける恐れがあるため、“防腐剤フリー”を選ぶのもポイント。ドラッグストアで手に入りますが、ドライアイの症状が改善しない場合は、眼科に相談してください」

ドライアイの症状緩和には、目や目の周辺を温めることも有効です。血流が良くなると涙の分泌量が増えます。

ホットタオルを目元にあてている女性
目や目の周辺を温めるのも効果的(Ph/photoAC)
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「目を温める製品や蒸しタオルを使えると便利なのですが、道具がなくても温めることは可能です。両手を温かくなるまで擦ったら、手をおわん型にして、目の上に軽くのせます。手はまぶたに触れていない状態です。目が温まって楽になります。

集中しているとまばたきの回数が減ったり、まばたきをしているつもりでも、きちんと閉じていないことがあります。意識して深い瞬きを心がけることも、目の負担軽減になりますよ」

◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん

医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
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1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/

取材・文/小山内麗香

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