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40トンの書類を整理したプロが指南!書類が家に溢れる「紙ストレス」をなくす「ホームファイリング」のコツ

インテリアにも馴染む書類片づけのコツとは?(『実践!はじめてのホームファイリング 「おうち書類」の片づけかた』より)
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放っておくと、家に溜まる一方の「紙類」。いったい、どう片づければいいのか──そうした悩みの解決方法について、『実践! はじめてのホームファイリング 「おうち書類」の片づけかた』(同文舘出版)の著者でオフィス業務効率化コンサルタント、整理収納アドバイザー1級認定講師の長野ゆかさんが指南! コンサルタントとしてのべ40トンの書類削減実績のある長野さんの片づけ術とは——。

家にどんどん入ってくる紙…原因は?

「お片づけ本を読んで真似したり、『これを使えばいいかな』と書類を入れるためのファイルを買ったりしても片づけがうまくいかないのには、はっきり理由があります」(長野さん・以下同)

まず、そもそも家のなかの書類にはどんなものがあるかを考えてみましょう。

積み重なった書類の山をどう片づける?(Ph/photoAC)
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家に書類が溜まる原因は?

「郵便物、チラシ、学校からの案内……テーブルや椅子の上の積まれていく、さまざまな紙。必要な書類があるかもしれないと思うと、捨てようにも捨てられない。でも、本当に自分にとって必要かどうかもわからない。そうこうするうちに、外から新しい紙がどんどん家に入ってくる……。これが、書類が溜まってしまう原因の一つです」

そんな書類を管理するために、種類ごとに分けたり、何冊ものファイルに綴じたり、届いた封筒を「とりあえず」決めた置き場に差し込んだりすれば、一応は片づけたことになります。ところがいざ必要になったとき、「あれはどこいったかな?」としばらく探さなければ見つからなくなるのも、よくあることです。

家にある書類は4人家族で4000枚以上!

「毎日、ポストに届く封筒やチラシ類は、1日3通としても年間で約1000通になります。ポストから以外にも、学校などからの手紙が子供経由で入ってくることなどを考えると、実際はもっと多いでしょう。

さらに、私の調査では、家に固定的に置いている書類は4人家族で平均4000枚以上です。この中から1枚を探そうとしても、すぐに出てこないのは仕方がないことかもしれません」

書類の山に囲まれて暮らしていると、当然、うまくいかないことが出てきます。反対に、それらをうまく管理できれば、家事効率が上がるだけでなく、精神的にも余裕が出てくる──そう長野さんは指摘します。

陥りがちな「紙ストレス」の罠

「書類が整うことの最大のメリットについて、私が出会った多くの人が口にされるのは、『探す時間が減ること』です。書類がさっと出てくれば、その場ですぐその『コト』に取り掛かり、完結できるので家事効率が大きく上がるのです」

「探す時間」は心のゆとりも奪っていく…(Ph/イメージマート)
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「探すこと」が悪循環の始まり

たとえば、こんなケースが想定されると長野さんは言います。

「仕事から帰宅した後、同僚から『来月の1、2週目の土日どちらか出勤してほしい』と連絡がきた場合。そこであなたは、『子供の運動会の日程がその辺だったかも。確認して返事をしよう』と考えます。

しかし、学校の行事予定を確認しようとしたら、思っていたところに書類が見当たらない。探すうちに数十分が経ち、書類を見つけるのを諦め、子供に聞いたり、ママ友にLINEで聞いたり──。それからやっと相手に返事ができる。

それならまだよいほうで、そうこうするうちに、返事すること自体を忘れてしまうこともあります。書類管理が苦手な方は、こうした悪循環に陥りやすく、対応が後手になりがち。1つのコトを完了するのに、スムーズな進行と比べると、何倍もの無駄が発生します」

時間だけでなく心のゆとりを失う

そして、書類を探している時間は心のゆとりまで奪うと長野さんは指摘します。

「平日の夜に貴重な数十分を割いて、学校の行事予定を探すこと自体がストレスですが、家の中のいろいろな場所を探すほどに散らかってもいきます。余裕がないせいで子供につい声を荒らげたり、管理できない自分を反省したり……。片づけていない書類は、時間だけでなく、心のゆとりまで奪ってしまいます」

「ホームファイリング」ならうまくいく

そこで長野さんがすすめるのが、オフィスの業務改善や効率化に実績を上げてきた独自の「ファイリングシステム」のノウハウを家庭向けに応用した「ホームファイリング」です。

書類をいつでも取り出せて、きれいが続く仕組みづくりを(『実践!はじめてのホームファイリング 「おうち書類」の片づけかた』より)
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モノと同じ方法では解決できない

「モノは形も色も違ううえ、使用用途も明確ですが、書類に関しては、ほぼすべてが1枚の紙です。片づけるには、そこにどのような情報が書かれているのかを見て、『情報を分けていく』作業が必要になります。つまり、『紙を片づけている』と考えているうちは、片づかないのです」

では、実際にどう取り組むべきでしょうか。

情報整理の3ポイント

「どのような『情報』を、自分が持っているのかをまず把握することが大前提になります。ポイントは、『持っている情報を洗い出す』『必要な情報だけにする』『思考にそって、グループ化して順番に並べる』の3点。どのような『紙=情報』を自宅に置いているかを把握できていて、それが自分の思う通りに並んでいれば、必要な時に取り出すことができます」

まずは、紙の片づけ=情報を分けていく作業という意識をはっきり持つことが必要です。年末の大掃除を、家の書類について見直す機会とするのはいかがでしょうか。

◆教えてくれたのは:オフィス業務効率化コンサルタント、整理収納アドバイザー1級認定講師・長野ゆかさん

オフィス業務効率化コンサルタント、整理収納アドバイザー1級認定講師の長野ゆかさん
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オフィスミカサ代表取締役、オフィス業務効率化コンサルタント、整理収納アドバイザー1級認定講師。文書ファイリングを中心に、オフィスの環境改善、効率化などを指導。コンサルタントとしてのべ40トンの書類削減実績。講師として厚労省、全国の自治体や企業で研修実績がある。ホームファイリング(R)では一般向けのセミナー、訪問作業サポートができる講師の育成にも注力する。2022年10月、『実践! はじめてのホームファイリング 「おうち書類」の片づけかた』(同文舘出版)を出版。https://twitter.com/officemikasa

※ホームファイリング(R)は株式会社オフィスミカサの登録商標です。

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