「震災は忘れたころにやってくる」といいますが、いざというときに困らないように日用品をストックしていますか?「とくに意識したいのが、トイレットペーパーの備蓄です」と語るのは、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんです。いったいなぜトイレットペーパーの備蓄が必要になるのでしょうか。また、どれぐらいの量を備蓄しておけば足りるのでしょうか。
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災害のたびに騒がれる「トイレットペーパー不足問題」
トイレットペーパーの備蓄といえば、2020年のコロナ禍でマスクと同時に品薄になり、大問題に発展しました。この時は「トイレットペーパーの製造が追いつかない」といったデマが拡散。1、2か月程度店頭から消えて、社会的な混乱が起こりました。もし各家庭が日ごろから備蓄を心がけていたら、ここまでの混乱は起きなかったはずです。過去にも、大災害が起きた際にトイレットペーパー不足による騒動は繰り返されています。
東日本大震災の際にも品薄になったトイレットペーパー
2011年の東日本大震災直後は、ミネラルウォーターや乾電池が品薄になったほか、トイレットペーパーも店頭から消えました。東京に住む私の友人は「都内では買えないから」と、わざわざ隣の県にまで買いに行ったほどです。このように、遠くまで出かけたり、何時間も待ったり複数の店舗をまわったりした人もいたようです。
日頃からトイレットペーパーを備蓄していたら長蛇の列に無駄に並ぶこともなく、時間を有効に使うことができたはず。さらに、いつも数百円で安売りされているトイレットペーパーを定価で購入することになります。つまり、備蓄がない人は、お金と時間、労力を無駄にし、さらにストレスまで溜めることになるのです。
災害時には一時的に増産することも
経済産業省によると、トイレットペーパーは、ほぼ100%国内で生産されています。万が一、災害が起きた際は、トイレットペーパーの需要が増えることから増産を行うことになっています。(https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828004/20200828004.html)
そのため1か月ほど品薄になることがあっても、製品がなくなることはないでしょう。つまり、1か月分のトイレットペーパーを確保しておけば備蓄があれば、デマにふりまわされて、お金と時間を無駄に使うこともなくなります。
1人あたり「1か月×家族の人数分」
品薄になったトイレットペーパーの販売量が通常どおりに戻るまでの約1か月分、普段使っている量とは別に、ストックすることを経済産業省は推奨しています。目安としては、1人あたり1か月4ロール。4人家族であれば1か月16ロールほどです。
保管時は湿気に注意
大量のトイレットペーパーを買ってきたまま置いておくと、部屋の空間を圧迫することになります。かといって、空いている収納に乱雑にしまうと、ストック数を把握できないということも。
そんなときは、収納場所を工夫するのがおすすめです。例えば、ネットスーパーで安いときに箱買いし、倉庫や押し入れに段ボールごと収納するのもいいでしょう。ただし、押し入れなど通気性の悪い場所で保管する場合は、湿気に注意することもお忘れなく。
倍巻きタイプで省スペース
家族の人数分×1か月4ロールで計算した個数は最低限確保したい量ですが、家族が多くて数が多すぎて置き場所の確保が難しい場合は、通常のロールよりもメートル数の多い倍巻きタイプをストックしておくことをおすすめします。
たとえば、「無印良品」の「長巻きシングル」は一般的なものの4倍(250m)、「長巻きダブル」なら5倍(125m)です。これならば、1個で1人あたりの1か月の使用目安をまかなうことができるので、コンパクトにスペースに納めることができます。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん
うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/間野由利子