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見直される「金庫」の盗難、災害への“強さ” お金のプロが語る「3万円金庫」の使い方

小型の金庫
金庫はいる?いらない?(Ph/photoAC)
写真6枚

現金や大切な書類などを入れておく金庫。「お金は銀行に預けておけば安心。金庫は大きくて置く場所に困るし、金庫自体の値段も高いから不要」と思うかもしれません。しかし、たった3万円ほどの金庫が、盗難、火災、大規模災害の際にも役立つといいます。生活コスト削減コンサルタントの生方正さんに金庫の効果的な活用方法について聞いてみました。

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自宅に金庫を持つ必要性

かつて私は「お金は、自宅で保管するより銀行に預けておいたほうが安全」と考えていました。銀行に預けておけば、仮に自宅に泥棒が入っても現金を盗まれることはないし、火事でお札が燃えてしまうという心配もありません。

盗難や火災から大切なものを守ってくれる

金庫の必要性を感じたのは、不動産投資で権利書や保証書、生命保険等の保険証券などの書類が増えてきたことがきっかけです。さらに結婚式やお祝い用にと、あらかじめ新札をストックしていたこともあり、自宅で保管する現金が増えていきました。「もしも、盗難や火災に遭ったら」と思うと、心配になりました。こんなとき金庫があったら安心だと思うようになったのです。

金庫からお金を盗む人
盗難や災害に備えて金庫を(Ph/photoAC)
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また、金庫の中に写真や貴金属類など大切なものを保管することで、思い出の品も守ることにもつながります。

東日本大震災の際に返還された金庫

2011年に発生した東日本大震災では、津波などで建物が倒壊、破損するなど甚大な被害が発生しました。その際、津波で流された金庫は約5780個(現金約28億円)が発見され、さらにそのうちの99%以上は金庫内に保管されていた銀行の通帳や権利書などが決め手となり、持ち主に返還されたことが、金庫メーカーのディプロマット・ジャパンによる調査でわかっています。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000055127.html)

波打ち際
津波で流された金庫の99%が持ち主に戻っている(Ph/photoAC)
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この件もあって、私は金庫の外側3方向にテプラで自分の名前と連絡先、メールアドレスを書いて貼っています。これによって、中を開けなくても持ち主がわかるためです。

金庫を選ぶ時の注意点

では、実際に金庫を買う場合、どんなものを選んだらいいのでしょうか。泥棒が入ったときのことを考えると重量が重い金庫を選びたくなるところですが、重すぎる金庫は価格が高い上に、金庫を置く床に負担がかかることもあります。

私が選んだ金庫は約3万円。容量は20L、重量約30kgのものです。金額が安くても、中に入れるものと置き場所を工夫することで、金庫自体を盗まれづらくできます。

硬貨を敷き詰めて重量を増加

たとえば、金庫本体の重さが30kgだった場合、泥棒が金庫ごと持ち去ってしまう可能性もあります。少しでも金庫を重くするために、私は100円硬貨50枚の束を40本、合計2000枚を金庫に敷き詰めました。これによって約9.6kgの重量をプラスすることができました。さらに、金庫の内扉の空間に100円硬貨50枚の束を入れ240g重くしました。

このほかに銀貨が100枚ほどと、権利書などの書類がビッシリと敷き詰められています。これにより重量が増え、簡単に持ち運びにくくなっています。

100円の棒金
小銭を入れておくことで3kgの金庫に重さをプラス(Ph/photoAC)
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金庫の設置場所で盗難防止

金庫を置く場所ですが、私は押し入れの下の段にしました。これによってかがんだ状態でしか金庫に近づくことができないようにしたのです。この状態では、よほど力のある人でないと金庫を動かすことができません。同時に、金庫のまわりを段ボールで覆うことで、金庫の存在がわからないようにしています。これによって、万が一、泥棒に入られたときも金庫が見つかりにくくなり、盗難防止にも役立ちます。

硬貨は災害時にも活躍

金庫の中に硬貨を敷き詰めておくのにはもう1つ別の理由があります。それは大規模災害のことを想定しての対策です。たとえば、災害時には停電になってしまい、クレジットカードや電子決済が使えないということが考えられます。そうなると買い物は現金になりますが、お店によってはお釣りが用意できないこともあるでしょう。そんなとき、小銭があれば買い物が楽になります。

財布から小銭を出している
小銭は停電時にも役に立つ!(Ph/photoAC)
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金庫を持つことで、盗難対策はもとより、災害などの際にも大いに役立ちます。金庫は、資産とともに家族を守ってくれる優秀なアイテムなのです。

◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん

生方正さん
生活コスト削減コンサルタント・生方正さん(Ph/藤中一平、イメージコンサルタント/坂井二朗)
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うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。

構成/間野由利子

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