健康・医療

「なんとなく不調」どう改善する?生活習慣と食べ物の見直しがカギ、おすすめは「えのきたけ」「みかん」

おでこに腕をあて天を仰ぐ女性
不定愁訴と呼ばれるなんとなく不調の原因は自律神経の乱れ
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「熱はないのに体がだるい」「睡眠はしっかりとれているのにふらつく」といった症状を訴える女性は多くいます。病院で異常が見つからないのであれば、生活習慣の見直しで改善する可能性があると、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんは言います。そこで、「なんとなく不調」を感じるときに気をつけたい生活のポイントと食材、効果的な漢方薬について教えてもらいました。

* * *

なんとなく体調が悪い「不定愁訴」とは

診察や検査をしても臓器などに問題が見られず、医学的に原因が説明できない漠然とした体調不良を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼びます。代表的な症状をみてみましょう。

【身体的症状】
・肩こり
・頭痛
・めまい
・便秘
・下痢
・むくみ
・冷え
・ほてり
・動悸
・胸が押さえつけられる感じ

【精神的症状】
・不眠
・気分の落ち込み
・イライラ
・集中力が続かない
・感情的になる
・漠然とした不安感

問診票とペン
病院では原因不明とされる「なんとなく不調」
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内科や耳鼻科を受診しても、原因不明のため根本的な治療はできず、不快感を緩和するための薬が処方される場合があるようです。

不定愁訴の原因の多くは自律神経の乱れ

不定愁訴の原因は臓器のトラブルではなく、ライフステージの変化やストレスなどを背景に、自律神経やホルモンのバランスの乱れで起こる場合が多いです。

ただし、まれに、甲状腺疾患や副腎皮質疾患などの病気が影響している場合もありますので、気になる症状がある際は自己判断せずに医師に相談しましょう。

なんとなく不調が続くときに見直したい生活習慣

「症状が深刻ではない」「病院に行っても悪いところはなかった」という場合、生活習慣を見直し、自律神経を整えることで症状が改善する可能性があります。すぐに実践できる生活習慣をポイントと一緒にご紹介します。

スカーフやマフラーを巻く

正確なメカニズムは研究中ですが、自律神経の通り道である首にコリがあると不定愁訴を発症させやすいとの報告があります。首周りを冷気から守り、血行を保つために、スカーフやマフラーを活用しましょう。

ストールを巻いている人
なんとなく不調の改善には首元を温めるのがおすすめ
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朝食を摂る

朝食を摂ることは自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。自律神経には日中に優位になるアクティブモードの交感神経と、夜に優位になるリラックスモードの副交感神経があります。

朝食を摂ることでスムーズに交感神経のスイッチが入り、しっかり目覚められるので、午前中から仕事や家事に集中できます。

湯船に浸かる

風呂に入っている人
ぬるめのお湯に浸かるのが◎
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夜に入浴するのであれば、なるべく湯船に浸かりましょう。37~39℃程度のぬるめのお湯に浸かると、副交感神経が優位になりやすいといわれています。睡眠の質の改善も期待できます。

なんとなく体調が悪いときに見直したい食事

なんとなく不調を感じるときに意識して摂りたい栄養成分はGABA(ギャバ)です。GABAはアミノ酸の一種で、脳機能を改善する作用があり、とくにストレスや不安、興奮を和らげる働きがあります。

食事で継続的にGABAを摂ることで、安定して脳に供給でき、自律神経のバランスが整いやすくなります。GABAを含むおすすめの食材をぜひ食事に取り入れてみてください。

えのきたけ

ざるにのったえのきたけ
GABAとパントテン酸を多く含む、えのきたけ
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えのきたけにはGABAが多く含まれ、さらに自律神経の働きを維持するパントテン酸も含みます。えのきたけのほとんどが人工栽培のため、1年中安定した価格で手に入りやすいのも魅力です。

味噌

皿にもったみそと大豆
GABAや大豆ペプチドでリラックス効果が期待できる味噌
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味噌にはGABAだけでなく、リラックス効果をもたらす大豆ペプチドが含まれています。自律神経の乱れから起こる不調の改善にぴったりの食材です。

みかん

冬に旬を迎えるみかんにもGABAが含まれます。また、みかんを食べたときに感じる酸味は副交感神経を刺激し、リラックス効果が期待できます。

女性の不定愁訴には漢方もおすすめ

原因不明の「なんとなく不調」の改善には、漢方薬もおすすめです。漢方薬は心と体のバランスを整え、さまざまな不調を根本から改善するため、健康的な体を手に入れることができます。

粉薬4種
不定愁訴の改善に効果が期待できる漢方薬は?
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不定愁訴の改善には、「胃腸の働きを整えて栄養を全身に届け、心と体を元気にする」「自律神経のバランスを整え、ストレスによる疲労を減らしたり、睡眠の質を上げたりする」「血流をよくして自律神経やホルモンバランスの乱れを整える」「体を温めることで、免疫力を上げる」といった働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。

不定愁訴に悩む人におすすめの漢方薬2つ

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

「気」(エネルギー)のめぐりを改善し、気持ちを落ち着かせる作用があり、不眠、動悸、神経症に用いられる漢方薬です。精神不安があって、比較的体力のある人に用いられます。

→柴胡加竜骨牡蛎湯について詳しく知る

・加味帰脾湯(かみきひとう)

自律神経のバランスを整え、「血(けつ)」(栄養や潤い)を補います。イライラなどの精神症状や不眠、貧血に用いられる漢方薬です。血色が悪く、虚弱体質の人に向いています。

→加味帰脾湯について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけではなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん

小原水月さんの写真
管理栄養士の小原水月さん
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おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。

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