健康・医療

寒さで痛み増すケースも 「坐骨神経痛」改善に役立つ食べ物や漢方を管理栄養士が解説

腰をさする人
寒さで悪化することもある坐骨神経痛
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腰からふくらはぎにかけて、痛みやしびれを感じる坐骨神経痛。寒さによって痛みが増すケースもあるようです。原因には疾患以外に、生活習慣の場合もあります。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると「適切な治療に加えて、普段の食生活の見直しが症状の改善に有効」とのこと。そこで、坐骨神経痛を感じるときに取り入れたい食材と漢方薬について教えてもらいました。

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坐骨神経痛とは?

坐骨神経痛の多くは腰の部分にある腰椎に異常が起こり、坐骨神経が圧迫や刺激を受けることで起こります。坐骨神経は腰からお尻、太もも、ふくらはぎへとつながる非常に長い神経で、痛みが起きる場所も広範囲です。

痛みの表現は、焼けるような痛み、刺すような痛み、ビーンと走るような痛み、チクチクするような痛みなどとさまざま。症状を繰り返すうちに痛みが強くなったり、日常生活に支障をきたす場合もあります。

腰に手を当てている人
坐骨神経痛の症状をチェック!
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坐骨神経痛の原因

坐骨神経痛は疾患などによって引き起こされる症状で、いくつもの原因が考えられます。

筋肉の衰え

筋肉の働きは体を動かすだけでなく、「神経を保護する」「神経に栄養を供給する血管を冷えなどから守り血流を維持する」など多岐にわたります。とくに、お尻の筋肉の衰えは坐骨神経に問題を生じやすくします。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

加齢などにより、背骨の中にある脊柱管が腰のあたりで狭くなることで、神経が圧迫され坐骨神経痛が引き起こされます。前かがみになると痛みが軽減するのが特徴です。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間でクッションの役割をする椎間板の一部が飛び出すことで神経を刺激し、坐骨神経痛があらわれます。前かがみになると痛みが出やすくなるので、姿勢に注意が必要です。

坐骨神経痛の対処法

坐骨神経痛の対処法は複数あります。患部を温めたりマッサージしたりする物理療法、体操やストレッチなどを行う運動療法、薬を使って痛みを和らげる薬物療法などです。また、筋力の低下や排尿障害などがみられるときは、手術を行う場合もあります。

腰痛を診察されている人
様子を見ても治らないときは病院へ
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自分では判断できない、様子をみても症状が軽快しない、発熱など他の症状もみられる場合は、整形外科を受診してください。また、糖尿病の場合は、坐骨神経痛に似た症状が出る糖尿病性神経障害の可能性もあるので、注意しましょう。

坐骨神経痛の改善におすすめの食材

坐骨神経痛でお悩みの人におすすめの食材は「さわら」です。さわらは、関東では冬、関西では春に旬を迎えます。

生のサワラの切り身
坐骨神経痛に悩む人におすすめのさわら
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さわらに含まれる栄養素で注目したいのは、ビタミンB12とナイアシン。ビタミンB12とナイアシンは、神経伝達物質の合成や神経細胞の修復などの重要な役割を担い、スムーズな情報伝達に欠かせません。

ただし、栄養素は単体ではうまく働けないので、さわらだけでなく、さまざまな食材から幅広く栄養素を摂ることが大切です。食卓では主食、主菜、副菜の3つのお皿を揃えるようにしましょう。

さわらはふんわりと柔らかく、上品でクセがありません。薄く小麦粉をまぶしてバターで焼き、仕上げにしょうゆをまわしかけるムニエルや、麺つゆと大根おろしを混ぜた煮汁でサッと煮るおろし煮にしてもおいしく食べられます。

塩焼きのサワラ
さわらは上品でくせがないので、いろいろな調理法ができる
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坐骨神経痛には漢方もおすすめ

坐骨神経痛に悩んでいる人には、漢方薬をのむという選択肢もあります。自然の生薬から作られている漢方薬は一般的に副作用が少ないとされており、安全性が認められ、医療分野でも利用されています。

坐骨神経痛の改善には、「鎮痛作用で痛みを和らげる」漢方薬や、神経の圧迫を緩和するために「血流をよくして神経の痛みやしびれを改善する」「体を温めて筋肉をゆるめる」などの働きをもつ漢方薬を用いて筋肉や血管にアプローチします。

飲み薬と水
坐骨神経痛に有効な漢方薬2つを紹介
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そのほか、根本改善のために、「自律神経を整えて心因性の痛みを和らげる」「加齢による体力の衰えを補い、痛みを和らげる」といった漢方薬も用いられます。

漢方薬は、坐骨神経痛の原因にアプローチして根本からの改善を目指すことで、心身をより健康な状態に導きます。そのため、坐骨神経痛の予防にも役立ちます。

坐骨神経痛にお悩みの人におすすめの漢方薬2つ

・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

体を温めることで、冷えによる痛みやしびれを取り除く漢方薬です。四肢が冷えやすく、排尿トラブルなどがある方におすすめです。

・疎経活血湯(そけいかっけつとう)

滞った「血(けつ)」(栄養と潤い)と「気」(エネルギー)を補うことで、痛みとしびれを取る漢方薬です。血色の悪い人によく用いられます。

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん

小原水月さんの写真
管理栄養士の小原水月さん
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おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。

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