「近頃、食事を我慢してもやせにくくなった」──中年以降になってそう感じる人は多いのではないでしょうか。『一生、元気でいたければ 50歳からは「食べやせ」をはじめなさい』(青春出版社)の著者で管理栄養士の森由香子さんは、「50代からのダイエットは、若い頃のダイエットとはまったく違う」と指摘します。森さんに、「健康のためのダイエット」で注意すべき点について聞きました。
健康寿命を左右する50代
「人生100年時代」と言われる今、50歳は折り返し地点。残りの人生を楽しく過ごすためにも、森さんは「肥満の解消」が重要と言います。
「ただし、50代でダイエットに取り組むなら、若い頃のように、ただ食べる量を減らしてやせればいいわけではありません。健康的な体を維持していくためには、必要な栄養素をしっかり摂り、筋肉をつけて脂肪を落としていかなければなりません」(森さん・以下同)
そこには、50代以降に多く見られる「身体の変化」が大きく関わっています。
50代の「老いと病気」
「40代は、血圧や血糖値、コレステロール値など、健康診断で何かしら指摘される人が増える年代です。ですが、特に痛くも痒くもないので放置してしまったという人が多かったのではないでしょうか。50代は、そうやって問題を放置してきた結果が、浮かび上がってくる年代です」
50代では、これまで検診で指摘されてきた項目が「生活習慣病」として診断されることが増える年代でもあります。厚生労働省調査によると、生活習慣病が原因にもなり得る「虚血性心疾患」「脳卒中」の50代の患者数は、それぞれ40代の2倍以上に増えています。
「検診でほぼ問題がなかった人も、50代に入ったら油断は禁物。男女ともに50歳前後で更年期に入り、性ホルモンが減って内臓脂肪が増えやすくなります」
50代は「食べやせ」ダイエットで
そこで、50代のダイエット法として森さんが推奨するのが、「バランスのとれた食事を上手にとる健康的な食習慣=『食べやせ』」です。しかも、ダイエットの実行力が伴っているのは50代が最後かもしれない、と森さんは言います。
「年齢が上がっていくにつれて代謝が下がるため、やせにくい体になっていきます。活動代謝量も落ちるため、50代でダイエットしておいたほうが、ずっと効率が良い。
しかも、60代からのダイエットは、健康上さまざまなリスクがあるため、基本的にはおすすめできません。食事を間違えれば低栄養になり、逆に寿命を縮めることになりかねないからです」
肥満が気になる人は、躊躇せず、50代のうちにダイエットに取り組みましょう。