日頃から健康のために「血糖値」を意識している人にとって果物は“安全圏”と思って積極的に摂っている人も多いはず。そこで、万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を上梓した医師の板倉弘重さんに、血糖値問題をクリアする果物やその食べ方について教えてもらいました。
高血糖のとき果物は「ポリフェノール」がキーワード
高血糖のときは、甘い果物は食べてもいいのか、迷うところです。
「糖分が多いという意味では、控えたいところですが、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富という意味では食べたほうがいいように思いますよね。果物類については、『種類を選んで食べすぎないようにすればOK』です。
おすすめとしてはまずキウイ。果物の中では糖質やカロリーが控えめなうえに、ビタミンCやビタミンEが豊富に含まれているので、抗酸化力が強いです。さらに水溶性・不溶性両方の食物繊維と、ポリフェノールも含まれています。なお、キウイのポリフェノールは、皮に多く含まれるので、皮ごとミキサーにかけてジュースにするのが理想です。
それから、ブルーベリーもポリフェノール豊富な果物。抗酸化力に優れ、糖尿病網膜症の予防にも効果があるとされています。β-カロチンや食物繊維、ビタミンC、ビタミンE、ミネラルも豊富。果肉に含まれる渋み成分のタンニンには、糖の代謝を整える作用があります。他にもぶどうやりんごが高血糖にOKな果物として挙げられます」(板倉さん・以下同)
避けるべきは「南国産」のフルーツ
それでは、高血糖のときに避けるべきフルーツは、どのようなものがあるのでしょうか。
「避けたほうがいいのが熱帯産の果物で、例えば、メロン、スイカ、パイナップル、マンゴーなどです。バナナも昔は血糖を下げると言われていましたが、最新の研究では、糖尿病リスクが増えてしまうことがわかっています」
ジャムやジュースには特に注意が必要
果物の食べ方として、果物が加工された食品には注意し、場合によっては避けたほうがいいと板倉さんは言います。
「フルーツの摂取の仕方で、血糖値の観点から特に注意したいのが、ジュースやジャムなどに加工したものです。ジュースになると、果汁になっているため普通にそのまま食べるよりもはるかに糖質を過剰に摂取することになります。
また、ジャムにすると、たくさんの砂糖が加えられていることが多いので、ちょっとの量でも当然糖質過多になってしまいます」
フルーツは「丸ごと」食べるのがおすすめ
また、加工したものではなくフルーツそのものを食べる場合におすすめの食べ方を教えてくれました。
「フルーツは断然丸ごと食べるのがおすすめです。なぜかと言うと、キウイのように皮にこそ多くの栄養素が凝縮されているからです。ですので、皮から食べるためにも、無農薬のものなどを選ぶことも検討しましょう」
◆教えてくれたのは:医師:板倉弘重さん
医学博士。現在、同研究所名誉所員、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、茨城キリスト教大学教授、品川イーストワンメディカルクリニック院長を兼任。万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、赤ワインやココアなどの抗酸化作用を明らかにしたことでも有名。2022年9月、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を上梓。