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美容外科医が語る美容整形の最新事情 コロナ禍で「鼻を高くしたい」人が増加、今後は「口元の引き締め」が注目

白衣の男性
美容整形の流行について語る呂秀彦先生
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今年3月15日からマスク着用は個人の判断に委ねられるようになりましたが、まだまだマスクを外すのに抵抗がある人も多いはず。マスク生活で顔が隠せることやリモート通話で自分の顔を見る機会が増えたこともあり、美容整形への関心が高まっています。そこで、現在の美容整形事情や人気の施術、美容整形を受ける時の注意点などについて、R.O.clinic院長の呂秀彦先生にうかがいました。

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マスク生活で日本の美容医療に注目!鼻や輪郭を整える人が増加

若者の中には「マスクを外すのが恥ずかしい」という人もいるほどマスク生活が当たり前となりましたが、コロナ禍の影響で美容整形事情はどう変化したのでしょうか。

「コロナ禍以前は美容整形というと韓国に行って施術を受ける人も多かったのですが、韓国に行けなくなったために日本の美容医療がフォーカスされ、実際に患者さんも増えました。韓国はリーズナブルな価格ではありますが、“思うようにならなかった”などと患者とクリニックの間でトラブルになるケースもあり、日本のクリニックの安全性などが見直された感はありますね」(呂先生・以下同)

コロナ禍で希望者が増えた施術もあるといいます。

「マスク生活になってからは、マスクで隠れているうちに鼻を高くしたい、顔の輪郭を整えたいという方が増えました。

鼻は、耳の軟骨を移植して鼻の先端を整える耳介軟骨移植が自然に少しだけ高さを出せるので人気。輪郭では、頬骨の横幅を切って小顔に見せる頬骨骨切り術の要望があります。どちらも日帰りで行えます。

逆に顔の下半分はマスクで隠れているけれど、その分目元が目立つようになったという理由で、二重手術など目元をキレイにするかたももちろん多いです。

今後、マスクを外すようになったら、フェイスラインのたるみを改善したい、口元を引き締めたい、という要望が増えるのではないかとみています。

また、近年は美容整形をしたことをオープンにする人が増えています。SNSの口コミサイトで発信する人もいますし、家族や友人に『あの先生がよかった』とすすめられて来院される人が多いのも近年の傾向です」

40~60代にはしみ、しわ、たるみを改善するアンチエイジングが根強い人気

マスク生活の影響で美容整形にカジュアルにトライする人が増えているようですが、40~60代の女性たちに人気なのはやはりアンチエイジングの施術。

白衣の男性
40〜60代にはアンチエイジングの施術が人気だと話す呂秀彦先生
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「40~60代のかたにはしみ、しわ、たるみを改善して自然な感じで若返りを目指すアンチエイジングが好評です。

肌が疲れていると老けて見えてしまうのですが、しみを治療して肌が明るくなるとぐっと若返って見えます。ヒアルロン酸やボトックスを注射して、しわやたるみをとる施術は比較的受けやすいのでやはり人気ですね」

カウンセリングを受けて考え方や美的センスの合う医師を選んで

実際に美容整形を受ける場合、クリニック選びや医師に希望を伝える上で注意すべきことはどんなことでしょうか。

白衣の男性
呂秀彦先生がカウンセリングの需要性について語る
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「今は患者さんがSNSなどを駆使して本当によく調べていて、二重はこのクリニック、骨切りならあのクリニックと使い分けているかたもいますし、希望をパワーポイントにまとめてきてくれるかたもいるんです。

詳しくなった分、自分で施術法やデザインをすべて決めてプレゼンされるかたもいますが、顔型によって無理なデザインもあります。丸顔と四角い顔の人がいるようにタイプが違えば見せ方も変わってきますから、“なりたい顔”を目指すなら医師としっかりとカウンセリングをすることが大切です」

コンパクトな部屋
R.O.clinicのカウンセリングルーム
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また、いろいろなクリニックを回って相談した結果、逆に不安になってしまうという人もいるそうです。

「例えば二重術をするとしても、医師によって方法や考え方は異なります。10件のクリニックを回ったら、10人の医師はそれぞれの見解を持っているので違うことを言うわけです。それで不安になってしまうかたもいるんですが、“答え合わせ”をしようとするのではなく、医師の考え方や方法に納得できるかどうかが大切です。

クリニックの症例写真もSNSに掲載されていることが多いので必ずチェックしましょう。同じ二重術でも美しいと思う二重の幅は医師によって違いますから、症例写真を見たり、カウンセリングを受けたりして、自分と美的センスの合う医師を選ぶといいと思います」

「美容整形は幸福医療」その人の人生が良くならないと意味がない

美容整形を受ける時には医師との信頼関係や美的センスが合うことが重要とのことですが、呂先生が患者と向き合う時に心がけていることはどんなことでしょうか。

白衣の男性
美容整形というのは、幸福医療だと話す呂秀彦先生
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「私のクリニックでは、一人の患者さんに対してしっかりと時間をとって丁寧にカウンセリングを行い、オーダーメイドの治療を行っています。

施術のメリットやデメリットをきちんとお伝えし、本当に必要なものを提供したいと思っています。私が良い手術をしたと思っても患者さんが気に入らなければ意味がありません。最後まで責任を持って治療を行うために、アフターケアにも力を入れています。

美容整形というのは、幸福医療です。二重になったというだけではダメで、二重になってそのかたの人生が良くならないと意味がないんです。

高額な治療費をかけたのに、どんよりとしている患者さんの中には精神的なケアが必要なかたもいますから、施術面だけでなく、落ち込んでいる理由はなんなのかを掘り下げて話をうかがうこともあります。

施術をしたことで、笑顔になり、その人の人生が良い方向に行くようにサポートしたいと思っています」

◆教えてくれたのは:R.O.clinic院長・呂秀彦先生

ソファに座る呂秀彦先生
R.O.clinic院長・呂秀彦先生
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日本形成外科学会専門医。医学博士。日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本美容医療協会所属。順天堂医学部卒業後、昭和大学形成外科・美容外科、大手美容クリニックを経て、2020年にR.O.clinicを開院。患者一人ひとりに真摯に向き合った、丁寧なカウンセリングとオーダーメイドの治療が好評。https://ro-clinic.com

撮影/黒石あみ 取材・文/青山貴子

R.O.clinicの受付
R.O.clinic(東京都渋谷区神宮前5-46-7 GEMS AOYAMA CROSS 2F)
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