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日本からの「整形渡航」が激増!40代美容ライターがコロナ明けの韓国で美容整形手術を受けてきた

韓国・江南
MIFAさんが美容整形手術をするため訪れた韓国・江南。日本人観光客も増えている
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日本や中国では新型コロナが依然として猛威を振るうなか、世界に目を向けると「アフターコロナ」の雰囲気が漂っています。海外への渡航者数が増え続けるなか、いま日本人女性が殺到しているのが、韓国。女性の間で熱を帯びる「整形渡韓」の現実、そしてソウルで自ら受けた美容整形施術の実情を40代美容ライターのMIFAさんがリポートします。

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美容整形業界は「いざ韓国へ!」のムード

筆者が追っていた美容整形業界は、昨年末から「いざ韓国へ!」の声が盛んに聞こえてきた。いわゆる「整形垢」と呼ばれるTwitter上の美容整形アカウントには「#シリコン豊胸」「#糸リフト」「#輪郭3点」などのトレンドワードが踊り、ソウルでの整形体験談が溢れている。昨年秋頃にはTwitterで〈明日、韓国で目・鼻・おでこ・輪郭etc顔全部整形してきます!〉と顔写真と動画付きで発信したアカウントが一夜にして10万フォロワーに達するほどバズり、痛々しいダウンタイムを乗り越え美しく変貌していく様をフォロワーが固唾を飲んで見守る、という一幕があった。女性だけでなく、ホストを始めとする男性の整形渡韓も今や珍しくないそうだ。

ビル全体が美容整形外科(江南)
全体が美容整形外科になっているビルも(江南)
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かくいう私もコロナ禍の2年間、美容専門のYouTuberや人気キャバ嬢などがインスタライブで美容整形について語るのを片端から視聴したり各種カウンセリングに通いつめて、美容整形について自分なりに勉強し、整形費用を貯め、満を持して渡韓と相成った。

目的は二重顎や太ももなどの脂肪吸引や顎下筋肉縛り

今回の整形渡韓の目的は以下の通り。

・二重顎と頬の脂肪吸引および顎下筋肉縛り(いわゆるペリカン手術)

・太もも前面の脂肪吸引

顎下と太ももの脂肪吸引は、それぞれ医師の専門分野が異なるため別のクリニックで別日に行なった。顎下のクリニックは美容整形クリニックがひしめく江南の駅至近に、太もものクリニックは狎鴎亭エリアに。今回はどちらにも行きやすい江南区の新論峴駅(シンノンヒョン)駅そばのオクラウドホテルに滞在した。

オクラウドホテル
10日間宿泊した交通至便なオクラウドホテルの客室
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滞在中、江南には日本人女性が溢れており、そこかしこから日本語が聞こえてくる。話題はほぼ整形に関すること。いかにも整形手術後のダウンタイム中、といった女性宿泊客と何人もすれ違った。

韓国観光公社が2022年12月30日に発表した統計によると、同年11月に韓国を訪問した外国人観光客は45万9906人で、前年同月比387%となった。うち日本からの観光客は6万2422人と前年比3746%を記録。韓国が水際対策の緩和を決めたことで、一気に渡韓者が増加したのだ。そのなかには「整形渡韓」が少なくないことが、街中の風景から感じられた。

日本人観光客も多い江南
日本人観光客も多い江南
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人生初の脂肪吸引に不安だらけ

今回の滞在期間は術後7日目の抜糸も含めて10日間。脂肪吸引は、脂肪を取りたい部分にカニューレというストロー状の吸引棒を挿入し、動かして脂肪細胞の吸引を行なう。切開口は部位によるが3~6ヶ所ほど。医師曰く「脂肪吸引は鼻や切開リフトなどの手術よりは簡易で、糸リフトよりは大変」とのことだ。

かねてから興味はあったものの、やはり動画を見ると「痛そう…怖そう」という感想が先に立ち怯んでしまっていた。ただ「気になっている部位の部分痩せが可能」「一度吸引した箇所には二度と脂肪はつかない(もっともカロリーオーバーすれば当然、残った脂肪細胞が膨らんで脂肪がつく)」ことは大きなメリットだ。とはいえ人生初の脂肪吸引、緊張しないわけがない。美容整形に否定的な友人らには「平気へーき、死ぬわけじゃないし」と平静を装ってはいたが直前まで内心不安だらけ。

施術前
施術前、「緊張で吐きそう」
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施術前に重要視したいカウンセリング

そのため、施術前にいちばん重要視してほしいのはカウンセリングだ。身体にメスを入れる以上どんな流れでどんな施術を行なうのか、この時点で疑問点があれば徹底的に聞いたほうがいい。私の場合はコロナ禍で渡韓できなかった間あらかじめLINEで気になったことはすべて聞き、直接医師に確認したいことは箇条書きにして当日ぶつけて潰していった。

在日韓国人3世の私は現地の韓国語を8割方理解するが、専門用語等すべてを聴き取り話せるわけではないので、最終確認では通訳を介した。日本人が渡韓した場合もあらかじめ希望しておけば大抵のクリニックで専属の通訳がつくので問題はない。

顔と脚の主治医は別だが、それぞれが親身になって私が納得いくまでカウンセリングしてもらえたので満足度は高かった。クリニックをいくつか回ることで感覚が養われていくので、ここを億劫がらないことが整形成功のコツと断言できる。

渡韓翌日に顎下の手術 麻酔の眠りから目覚めると…

まずは渡韓した翌日に、顎下の手術を担当する医師のいるクリニックへ。待合室・手術室ともにさほど広くはないものの清潔感があり、何より事前のLINEでも相談に乗ってくれた通訳兼カウンセラーが誠実で感じの良い女性であった。ほどよい距離感を保ちつつあれこれと世話を焼いてくれ、終始安心して臨むことができた。この通訳と馬が合うかどうか、というのもメンタルの安定という面では主治医に次いで大事な要素になってくると思う。

病院で処方された抗生物質などの薬
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太ももの手術を行なったのはコロナ前からレーザー治療の「肌管理」でお世話になっている、医師一人に看護師が数名というアットホームなクリニック。現地のセレブがお忍びで通うほど腕利きの院長は、長時間のカウンセリングで疑問点や不安要素を徹底して払拭してくれるので、もとより信頼感を抱いている。こちらは現地に住む日本人の美容系YouTuberが紹介したことで、コロナ後は日本からの渡航者が増えているそうだ。

どちらもカウンセリングのあとでお会計、当日施術を希望の場合はすぐに個室で着替えて手術室へ、という流れである。手渡された術着に着替え、覚悟を決めて手術室に入ると、顔の場合は顔中を消毒され、身体の場合は全裸にされ冷たい消毒液を吹き付けられあとは、手足が自由に動かないように両手を固定される。手術台に上がったらまな板の上の鯉、私に出来ることは自ら選んだ医師に生殺与奪を預けて静かに目を閉じるのみだ。

手術が終わると30分ほどで帰宅

韓国では脂肪吸引に限らず、レーザー程度の美容整形の手術でも静脈(もしくは全身)麻酔で行なうことが多い。眠ってしまうので怖いという人もいるが、痛みに滅亡弱い私にはむしろありがたい。

まず顎下の施術を行なったあとは、起きたときすでに顔に圧迫バンドを付けられており、看護師に促されながら案内された部屋まで自力で歩いた。アップルウォッチを見ると時間にして1時間半ほど。翌々日に行なった脚の場合はもう少し長く、麻酔を効かせる時間を含めて4時間ほどかかった。脚の脂肪吸引では全裸なのも相まって、とにかく寒かった記憶がある。麻酔から目覚めるや開口一番「暖かい部屋に行きたい」と訴えたのを朧げに覚えている。こちらも自力で案内された部屋まで歩き、30分ほど休んで帰宅した。

化膿や感染を防ぐために行う術直後ケアのガーゼ等
化膿や感染を防ぐために行う術直後ケアのガーゼ等
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あとで看護師に写真を見せてもらったが、顎下の場合は、ちょうど薄く切った鶏肉の皮のようなものに数ミリ単位の黄色い塊がいくつか、脚の場合はカニューレで吸い取った注射器シリンジのなかにやや赤みがかった肌色の液体が、採取した脂肪とのことだった。太もも前部と側部で1740cc、注射器で58個分抽出。ただの脂肪といえばそれまでだが、先日まで私の顔や身体に付着していたもの、と思うと妙な感動(?)があった。

ライターが実際に受けた手術の内容

【顎下施術】

・睡眠麻酔
・ペリカン手術(顎下の一部を4~5cmほど切開し、顎下+左右両顎下の脂肪吸引&切除&縫合)
・フェイスラインにミント糸を左右合計6本(たるみ予防のため)

=計560万ウォン(約59 万円 コロナ自粛中に予約金を入れていたので割引あり)

【太もも施術】

・睡眠麻酔
・脂肪吸引(太もも外側張り出し+太もも前側+太もも内側+膝上)
・ボディ糸リフティング(太もも内側+シャネルライン、たるみ予防のため)
・美容点滴(疲労回復)←サービス

=計770万ウォン(約81万円)

※術後に必要な薬、固定バンドやガーゼ等一式込み。クリニックによるので確認を。宿を含む10日間の滞在費、航空券代は日本円で別途25万円ほど。

◆美容ライター・MIFA

美容ライター・MIFA
美容ライター・MIFAさん
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MIFA(みふぁ)。東京都生まれ。在日韓国人3世。出版社勤務、週刊誌記者を経て、旅とグルメとアンチエイジングを追求するライターに。趣味はジムとテコンドー。

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