坂口健太郎さん(31歳)が主演を務めた映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』が4月14日より公開中です。齋藤飛鳥さん、市川実日子さんらを共演に迎えた本作は、そこに存在しない“誰かの想い”が見える青年と人々の交流を描いたもの。この映画を観る者に特別な癒しを与える、そんな神秘的な作品に仕上がっています。本作の見どころや坂口さんらの演技について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。
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特別な映画体験をもたらす作品
本作は、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)や『劇場』(2020年)、『窮鼠はチーズの夢を見る』(2020年)など数々の名作を手がけてきた行定勲監督が企画・プロデュースを担当し、3月に『ひとりぼっちじゃない』で劇場デビューを果たしたばかりの伊藤ちひろ監督によるオリジナル映画第2弾。
美しい大自然を背景に、主演の坂口さん演じる不思議な力を持つ青年を中心とした人々の不思議な交流が描かれています。“リアル”と“ファンタジー”が交差する物語と映像と音響には伊藤監督ならではの美学が感じられ、劇場での鑑賞は特別な映画体験となることでしょう。
不思議な力を持つ青年が過ごす日々
主人公の未山(坂口)は、目の前に存在しないはずの“誰かの想い”が見える青年です。彼はこの不思議な力で、身体や精神の不調に悩まされる人々を癒やし、日々を穏やかに過ごしています。
恋人である看護師の詩織(市川)とその娘・美々(磯村アメリ)と暮らす未山はある日、自分の隣に“謎の男”の存在が見え始めます。
これまでとはまったく異なる強い想いを感じた未山は、この想いをたどり、やがて行きついた東京で男本人と出会うことに。この男は未山に対して特別な感情を抱いていたのです。
さらに男は、未山のかつての恋人である莉子(齋藤)との間に起きていた“ある事件”の顛末について語ります。そして未山はもう2度と会うことはなかったかもしれない莉子と再会。自らの過去に向き合うことになるのです。いったい、未山とは何者なのでしょうか。
齋藤飛鳥に市川実日子、新鋭監督のもとに集った少数精鋭のキャスト陣
脚本家としていくつもの名作に携わってきた新鋭監督の作品とあって、この不思議な物語に配された俳優陣には個性あふれる面々が揃っています。
本作のキーパーソンである未山のかつての恋人・莉子を演じるのは、『あの頃、君を追いかけた』(2018年)や『映像研には手を出すな!』(2020年)で主要キャストを務め、それぞれを話題作へと押し上げてきた齋藤さん。乃木坂46のメンバーであった彼女がスクリーンに登場するのは同グループを卒業して初めてのことで、彼女特有の佇まいには今後の俳優活動を期待せずにいられません。
もう1人のキーパーソンである未山の現在の恋人・詩織を演じているのは市川さん。映画やドラマを愛する人々にとって彼女とは、もっとも信頼できる俳優なのではないでしょうか。その力は本作でも健在。飾らない自然体で静かな好演を刻み、私たちを魅了します。
そのほか、未山の後輩であり東京でミュージシャンとして活躍する男を浅香航大さん、莉子の娘役を磯村アメリさん、未山と交流する人々を茅島成美さん、不破万作さん、津田寛治さん、さらには伊藤監督の前作で主演を務めたKing Gnuの井口理さんが演じています。
この少数精鋭のキャストを主演として率いているのが、坂口健太郎さんというわけです。