
春は初夏のような汗ばむ陽気の日もあれば、肌寒い日もあり、一枚あると便利なのがジャケット。皇后雅子さまも先日、カラージャケットにスカーフを合わせたコーディネートでご静養先を訪問されていました。そこで、雅子さまの春のジャケットの着こなしをチェック。インナーにレースを合わせたり、スカーフを巻くなど、涼やかに見せる着こなしのポイントをスタイリストの横山麻里さんに聞きました。
最近のジャケットファッションは「オーバーサイズ」がトレンド
最近ではジャケットは、フォーマルなシーンではなく、デイリーアイテムとして、普段のコーディネートに取り入れている人を多く見かけます。そこで、横山さんに最近のジャケット事情についてうかがいました。
「最近は、デイリーユースなジャケットが多く出ていますが、ジャストサイズよりも、ややオーバーサイズのシルエットのジャケットが多い傾向です。また、バリエーションが多く、ロング丈やクロップド丈、ジレタイプのジャケット、カラージャケットも、トレンドになっています。オーバーサイズを身に着けることで、かえって女性らしい華奢さが引き立ちます。
インナーも、軽めの素材を合わせると、一気に抜け感が出ます。例えば、トレンドのシアー素材やカットソーを合わせて、着崩すのがポイント。ボトムは、デニムを合わせて、カジュアルダウンさせたり、プリーツスカートやワンピースを合わせるなど、上品な着こなしにも合います。ジャケットは、春の寒暖差のある季節は、カーディガンよりも便利。アクセントになるカラージャケットもトレンドです」(横山さん・以下同)
繊細なハイネックのレースインナーにパールを重ねたオールホワイトコーデ
1996年6月、神奈川県にある中央福祉学院をご視察の雅子さまがお召しになったのは、クリーム色のジャケットにレースのインナーでした。


「オールホワイトのコーディネートは、それだけでとても上品な雰囲気が漂います。透け感のあるレースのインナーでの肌見せは、おしとやかで大人っぽさもキープできます。アクセサリーも、小物もすべて白でまとめつつも、少しトーンに違いをつけたり、ハイネックインナーに、パールのネックレスを合わせたりしている点が、おしゃれ上級者。ロング丈のジャケットは、サイドのスリットがポイントとなり、タイトスカートと合わせることで、女性らしさが際立っています。
今回のような、ロング丈白ジャケット×レーストップスには、ボトムをデニム合わせにして、ラフな着こなしもおすすめです。黒のテーパードパンツを合わせたモノトーンコーディネートも大人っぽく上品。ロング丈ジャケットには、膝丈のタイトスカートか、ロング丈のボトムを合わせるとバランスよく仕上がります」
襟元が特徴的なデザインジャケットはレースインナーで華やかさアップ
1998年3月、スカラップ(帆立貝)を思わせる波形がポイントのジャケットをお召しになった雅子さま。当時住まわれていた東宮仮御所でスペインのフェリペ皇太子(当時)をお出迎えしました。

「ロイヤルブルーのデザインジャケットに、レーストップスを合わせた華やかなコーディネート。ジャケットのカッティングや胸元のレースがコーディネートのポイントとなり、ネックレスいらずの組み合わせです。カラージャケットに白のレースを合わせることで、抜け感が出て、強めのコントラストがうまく調和されています。また、黒のパンプスで引き締めることで、華やかな中にも落ち着いた印象を与えます。
カラージャケットには、どこかに白やレース、シアー素材をプラスすると、抜け感が出て、バランスがよくなります。白やレース素材は、トップスだけでなく、ボトムに取り入れても抜け感が出ておしゃれにまとまります」
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ロマンティックなインナーでジャケットスタイルも軽やかに
2001年5月、ご懐妊発表後の雅子さまは、幸せいっぱいの笑顔にふさわしいロマンティックなレースのインナーにジャケットを重ねたコーディネートでした。


「白のジャケットに、白の上質なレーストップスを合わせたスタイルは、それだけで女性らしさがぐっと増します。丸みのあるジャケットの襟やレーストップスは、カチッとしたジャケットコーデのキリッと感を中和し、柔らかさを感じさせるとともに、優しい雰囲気を漂わせます。またパールイヤリングやブローチが、より気品漂う雰囲気に。
ジャケットにレーストップスを合わせるとき、デイリー仕様であれば、レースの面積を多くしすぎてしまうと悪目立ちしてしまうので、配分を少なめにするのもポイントです。袖口や襟元だけ見せたり、レーストップスに重ね着して、裾だけ見せたりなど、絶妙なさじ加減でおしゃれ度に差がつきます」
ピンクのジャケットに同じトーンのスカーフで軽やかなパンツスタイルに
2018年5月の連休に宇都宮駅経由で御料牧場へ向かわれた際は、ピンクのジャケットにお気に入りのシャネルのスカーフを合わせたパンツファッションでした。



「柔らかいピンクのジャケットに、同色が用いられているスカーフを合わせた、優しい雰囲気のパンツスタイル。柄のスカーフがアクセサリーとなり、首から掛けるラフな巻き方で、Iラインが強調されています。パンツや靴は、ダークカラーで引き締め、バッグはジャケットと同じカラーでそろえることで、大人っぽい甘辛コーディネートに。歩くと揺れる、軽やかなスカーフは、この時期涼しげな雰囲気をプラスしてくれるキーアイテムですね。
淡いカラーのジャケットは、カラージャケットの中でも取り入れやすく、アクセントにもなるのでおすすめです。ボトムをダークカラーで引き締めると、淡いカラーでも、膨張せずに、コーディネートがまとまります。カラージャケットのカラーを小物で散りばめると、全体に統一感が出ます」
レースのデザイントップスをジャケットからのぞかせた洗練パンツスタイル
2018年5月、半年ぶりの地方でのご公務で、滋賀県をご訪問の際は、オールホワイトコーデにインナーはレースのデザイントップスをお召しでした。




「オールホワイトのパンツコーデは、凛としていて、爽やかな佇まい。ヘアスタイルも、アップスタイルにすることで、上半身がとてもコンパクトにまとまっています。オールホワイトですが、レースの織りや、パールのアクセサリー、ジャケットの袖口を折り返すというひと手間で、コーディネートに表情が出ています。
ジャケットを着用するとき、袖口を折り返したり、プッシュアップ、ボタンの開閉など、ちょっとしたひと手間で、コーディネートを格上げできます。ロング丈のジャケットであれば、袖口を折り返して、手首をみせることで、抜け感や華奢さを出すことができます。
白ジャケット×レーストップスをデイリー仕様にするなら、裾絞りや裾スリットパンツを合わせてカジュアルダウンさせても素敵です。カーキのボトムを合わせて、サファリライクにまとめても大人っぽいです」
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ペールブルーのジャケットにシアーなスカーフで清涼感満点
2023年4月、およそ4年ぶりとなるご静養のため、栃木県高根沢町の御料牧場に到着されたご一家。雅子さまはペールブルーのジャケットにシアーなスカーフを合わせられていました。




「涼しげなペールブルーのジャケットに、ダークカラーのボトムを合わせ、引き締めることで、よりジャケットが引き立っています。ジャケットと同色の柄のスカーフをジャケットから少しのぞかせることで、カラージャケットに清涼感がプラスされます。ジャケットは、少しオーバーサイズでトレンド感もあり、とろみのある素材が女性らしい雰囲気です。インナーやアクセサリーは白で統一されていて、抜け感があり、爽やかな印象です。
ペールトーンは、上品で女性らしく、春らしい印象になるのでおすすめ。また、とろみのある素材感も、柔らかい雰囲気になり、よりカーディガン感覚で羽織れます。ダークカラーのボトムを合わせても、カチッとしすぎないのもとろみ素材の長所。
ペールブルーなら、白やネイビーを合わせると、よりきちんと感と爽やかさが感じられる着こなしになります。スカーフは、全体に統一感が出るので、ジャケットのカラーを取り入れるのがベターです」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。
●皇后雅子さま、春のグリーンファッションを振り返り 白との合わせや素材感の工夫で華やかな雰囲気に