脇役キャストにも注目
見どころが多く、勢いがあって一気見したくなるこのドラマ。脇役の俳優たちにも注目したい。
ジェミン側で統括本部長を務めるクク・ジヨン。ジヨンを演じているのは、ドラマ『Mine』(2021年)で財閥一家のなかに入り込む家庭教師役を務めたオク・ジャヨンだ。元々はドヒの部下だったジヨンは、「どんな手を使ってもリスクを回避する」というドヒの教えを守り、ジェミンのために働く。ドヒが育てたモンスターともいえる彼女が、どうやってドヒとギョンスクを蹴落としていくのか。
ギョンスクの側で彼女を支えているのが、元チンピラのユン・ドンジュだ(日本でも有名な韓国の詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)と同じ読みだが、漢字は「尹同柱」で異なっているようだ)。ドンジュを演じるキ・ドフンは、モデル出身で「国民の年下男子」と言われるほどの可愛らしさがチャームポイントの俳優。このドラマでは、年下男子の可愛らしさだけでなく、ギョンスクとドヒを支える頼もしさも感じる。
最初はギョンスクのためにドヒに反発していたドンジュだが、ギョンスクよりも早くドヒの存在を必要とするようになる。裏を読み合う大人ばかりのドラマで、ドンジュの素直さにほっとする。
他にも、ギョンスクの仲間のファス役を務めるキム・ソニョンは、『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』(2023年)では受験戦争に燃える教育ママを演じていた。富裕層で余裕たっぷりな母親ぶりから一変し、このドラマでは、ウンソングループから解雇されて路頭に迷いかける非正規雇用者を演じている。
韓国ドラマ好きなら「あの俳優だ!」という発見があるし、このドラマから韓国ドラマにハマろうという人にとっても、覚えておいて損はない人気俳優、実力派俳優が次々に登場してくる。
ドヒとギョンスク、ふたりの目標は「ソウル市長になること」。それを達成して「世の中を良くしたい」という目的を叶えられるのか。莫大なお金と大きな組織を持つ他の候補者たちの妨害をかわしながら、かっこよく突き進んでいくふたりの未来を見届けたい。
Netflixオリジナルシリーズ『クイーンメーカー』
監督:オ・ジンソク
脚本:ムン・ジヨン
出演:キム・ヒエ、ムン・ソリ、リュ・スヨン、ソ・イスク、オク・ジャヨン、ユン・ジヘ、キム・セビョク、イ・ギョンヨン、チン・ギョン、キム・テフン
◆ライター・むらたえりか
ライター・編集者。ドラマ・映画レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。宮城県出身、1年間の韓国在住経験あり。https://twitter.com/eripico___
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