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エンディングノートはなぜ必要か?「記入の優先順位はお金」である理由

白い花とノート、ペン
エンディングノートを早くから用意するメリットとは?(Ph/photoAC)
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「エンディングノート」の用意はしていますか? 50代なら「まだ早い」と思っている人が多いと思いますが、「早くから記しておくことで、自身の生き方の指針にもなる」と、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは話します。そこで、いざというときに困らないように、エンディングノートにはどんなことを書くといいのか、教えてもらいました。

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意思表示ができなくなったときのためのエンディングノート

エンディングノートとは、自分が病気などで意思の疎通ができない状態になったときや亡くなったときのために、介護や葬儀の希望、財産・資産の詳細、遺言書の有無などを記し、遺された家族が困らないように用意しておくものです。

エンディングノートで家族の負担を軽減

例えば、介護や延命治療の有無などの希望を記載しておけば、意思表示ができなくても、家族や看護者、介護者が本人の希望を踏まえて医療や介護のプランを立てることができます。

エンディングノートの介護のページ
自分の希望を書き残すことで、家族のためになる(Ph/photoAC)
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また資産の情報があれば、医療や介護、葬儀などの費用をどこからどのように出せば良いのかも検討できるため、身内の精神的、金銭的な負担も減らすことができます。

元気なときに希望や手配についてまとめておく

そういった希望は認知がしっかりしているときにしか残せないものなので、元気なうちにまとめておく必要があるのです。お墓や葬儀会社などについても、手配はしているのか、その場合は支払いも完了しているのかどうかというところまで、しっかり記載しておきましょう。

植物とノート、メガネ
認知がしっかりとしているうちに残す必要がある(Ph/photoAC)
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整理の優先順位はお金

エンディングノートを書き出す際、重要度としてはお金の整理が最優先。お金についての整理や検討をしたあと、そのほかの希望や記載をしましょう。

財産・資産だけでなく負債も記載を

銀行口座や証券口座などの金融資産の情報、登記簿謄本・権利証など不動産についての記載や書類の保管場所、生命保険・年金保険などの保険証書・年金手帳の所在といったものがお金に関する記載になります。

ローンや借入金といった負債も相続財産となるので、あとから家族が見つけて困らないように、必ずエンディングノートに明記しておいてください。

使用していないクレジットカードや口座は解約しておく

特に財産・資産周りで最低限しておきたいのは口座整理。銀行口座や証券口座の情報があるだけで相続が随分楽になります。また旧姓や旧住所で登録したままになっている口座、使っていないクレジットカードなど、生前のうちに変更や解約の手続きをしておきましょう。これらの手続きは、相続人がするよりも、本人がする方が圧倒的にスムーズにできます。

クレジットカードや小銭、通帳
残された家族が困らないように、お金に関する記載はしっかりと(Ph/photoAC)
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とくに合併する前の銀行の口座など、現在は使っていない口座を見落としがちです。あとから他の口座が出てきた場合、その部分に対して改めて相続をすることになりかねないので、忘れずにすべてを整理しておきましょう。

自分自身のことを整理すると生き方が見えてくる

エンディングノートを早めに用意するメリットは、自分の気持ちや資産を整理することで自分自身の問題点や不安が可視化できることにもあります。それにより、どのように生きていきたいかが見えてきたり、また、忘れていた資産に気づいたりすることもあります。

エンディングノートに決まった形式はない

エンディングノートに決まった形式はないので、一般的なノートにまとめてもいいです。ただし、同時にエンディングノートには法的効力がないので、法的効力が必要なものは遺言状などを用意する必要があります。またいざというときに手にしてもらえるように、エンディングノートのありかを家族や友人など身近な人に伝えておくことも忘れないようにしましょう。

仏花
いざというときのために、エンディングノートの置き場を伝えておいて(Ph/photoAC)
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エンディングノートは節目で見直しするのが◎

まずは一度エンディングノートを書いてみて、誕生日などの節目や引っ越しのような生活が変わるタイミングなど、何かの折に見直しをして更新していくのがよいでしょう。エンディングノートを書くうえで大事なのは、そのときどきで気持ちを見つめ直すことです。何度も書き直す可能性を考えて、鉛筆やシャープペンシルで書くことをおすすめします。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
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節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

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