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“肉体派スター”の岡田准一と綾野剛が魅せる緊張感あふれる衝突 映画『最後まで行く』は“リメイクする意義”のある作品に

日本でリメイクする意義

さて、本作はさまざまな角度から観てユニークな作品ですが、とはいえ、あくまでも韓国映画のリメイクです。どれだけすごいことをやろうとも、先行しているものがすでにある。そこで注目すべきなのが、“日本でリメイクする意義”ではないでしょうか。韓国でヒットしたからといって、それを日本で焼き直したところで、それは本当にただのリメイク作品でしかありません。

『最後まで行く』場面写真
(C) 2023映画「最後まで行く」製作委員会
写真11枚

けれども、本作はどうか。先述している通り、日本を代表する映画人が携わっているからこそ、それは現行の日本映画の1つとして新しい息吹を与えられているように思います。岡田さんのパフォーマンスも、綾野さんのパフォーマンスも、藤井監督のもとでこそ実現できたもの。こうして韓国の大ヒット映画のリメイク作品は、2023年の日本映画界の市場に堂々とその存在を刻んでいるのです。

◆文筆家・折田侑駿

文筆家・折田侑駿さん
文筆家・折田侑駿さん
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1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。https://twitter.com/yshun

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