すべての仕事が順調に進む前提でスケジュールを立てない
週に1日、意図的に無駄にする日も設けています。多くの人はスケジュールを立てるとき、すべてが順調に進む前提で計画するでしょう? 私は、仕事というものは自分でコントロールできるものと、できないものがあると思うので、順調に進まない前提で計画します。トラブルが発生したら調整の時間が必要になるでしょう? 子どもがいる人は、なおさら、予定をパンパンに入れちゃだめだと思います。
みんな強みばかり考えて、自分のことを過大評価している。私はスーパーウーマンではないと自覚しているから、常に限界を考える。心配性というより現実的。だから計画的に、週に1日の無駄な日を設けます。もし何も予定が入らなければ、その日はテレビを見たり、気が向いたらジムに行くぐらい。時間にもタスクにも追われないプレッシャーのない日だから、好きなことしかしません。
週に1日、無駄な日を設ける理由
私は、ゆとりの無い生活が大嫌い。通勤のときも、満員電車を避けたり、知り合いに会って立ち話をしても慌てない程度の余裕をもって家を出ます。余裕がない人はトラブルが起きるとパニックになるけれど、私は、まったくなりません。
これまでの職場に優秀な人は大勢いました。私も同じように予定を入れれば、もっと仕事がこなせるかもしれない。でも、余裕を大切にしたいので、能力の80%ぐらいしか仕事を入れません。私だって予定がパンパンに入っていれば、うまくさばけませんよ。
◆薄井シンシアさん
1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia
●薄井シンシアさん、時給1300円の電話受付をしていた私が“誰もやりたがらない仕事”から“ベストセラー商品”を生み出すまで
●薄井シンシアさんが語る63歳での転職面接 企業にウケた「失敗から始まる変革エピソード」
撮影/黒石あみ 構成/藤森かもめ