健康・医療

50代女性が注意したい「夏バテ」、屋外と屋内の寒暖差の影響も 医師が教える対策

白背景で痛む頭を抑える女性
夏バテの原因と対策を高尾博士に教わる(Ph/イメージマート)
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夏場になると、疲れやすくなる、体がだるい、食欲が落ちる、などの体調不良に悩まされる人も多いのではないでしょうか。これら「夏バテ」の症状の原因と対策について、医学博士の高尾美穂さんに聞きました。

夏バテしやすいと感じたら生活習慣を見直す

夏バテは「夏負け」「暑気あたり」などとも言われる、夏の寒暖差や高温多湿に対応できずに起こる体調不良の総称です。

「夏バテの原因はさまざまなのですが、特に季節が移り替わる時期に調子が悪くなる場合は、その変化に対応して体内の環境を一定に保つために自律神経が働かされすぎて、不調が出ているのかもしれません。炎天下の屋外から冷房で冷えた室内に入ることによる寒暖差でも、同じことが起こります」(高尾さん・以下同)

毎年のように夏場に体調を崩す場合、高尾さんは生活習慣に問題がある可能性を指摘します。

「環境の変化に耐えられずに体調を崩すわけですから、そもそも体力がないことも考えられます。日常的に適度な運動をしているのか、必要な栄養がとれているのかを確認してみましょう。生活習慣を見直すことで、体質を改善するヒントが見つかるかもしれません」

だるそうにしている女性
毎年夏に体調を崩す人はまず生活習慣の見直しから(Ph/PhotoAC)
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睡眠時間の確保を

運動や食事のほか、なかなかできないのが「睡眠時間の確保」です。

「50代前後の女性は家事に仕事にと忙しく、睡眠時間が短くなりがちです。加えて冷房の設定を間違えると寝苦しくなって睡眠の質が低下したり、夜中に目覚めてしまったりして、ますます睡眠時間が削られます。寝室の環境を整えてしっかりと休む意識を持つことが大切です」

睡眠不足になると疲れが取れず、自律神経のバランスを乱して体調不良を招きます。

連日の猛暑!脱水に注意して夏バテ防止

今年も連日、暑い日が続いています。

帽子と日傘
紫外線、熱中症対策など日頃の対策が重要(Ph/photoAC)
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「炎天下で直射日光を長時間浴びていると、大量の汗で体の水分や塩分が失われ、熱中症のリスクが上がります。外出する場合は日差しが弱まる朝か夕方以降に出かけるか、帽子や日傘で紫外線対策をしましょう。

夏の屋外は汗が流れて脱水しやすい状態です。脱水症になると血流や血圧が低下し、臓器の機能が落ちて、食欲不振や倦怠感などの原因になります。喉が渇く前にこまめに水分補給をすることも大切です。スポーツドリンクなら汗で失われたミネラルも補給することができますよ。私は常温のミネラルウォーターと塩飴を常備しています」

きゅうりやトマトなどの夏野菜も

普段よりも尿の色が濃かったら、脱水のサインです。しっかりと水分補給をしましょう。

「食事からも水分を摂取できます。おすすめなのがきゅうりやトマトなどの夏野菜で、利尿作用のあるカリウムが豊富なのが特徴です。旬の食べものは、ほかの時期よりも栄養価が高く値段も安いので、積極的に食卓に取り入れたいですね」

トマト
栄養価が高く水分量も多いきゅうりやトマトを食べるのも◎(Ph/イメージマート)
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寒暖差による自律神経の乱れを防ぐのもカギ

寒暖差による自律神経の乱れを防ぐには、冷房で体を冷やさないことがポイントです。

「私は自宅から勤務先まで自転車で通勤しているのですが、汗をかいたままエアコンの効いた室内に入ってしまうと体が冷えてしまうので、仕事が始まる前にフェイスタオルで体を拭いてインナーを着替えています。着替えまでできない場合は、汗をしっかりと拭きとるだけでも違いますよ。寒いと感じたら羽織れるように、上着やストールを準備しておくのもいいですね。

もし冷房の温度を自分で調節できるなら、あまり下げすぎないようにしたいですね。私は自宅のエアコンを28度に設定して、サーキュレーターを回しています。床にたまった冷気が循環して、そこまで室温を下げなくても涼しくなりますから、電気代の節約にもなります」

サーキュレーター
サーキュレーターを使って室温の下げすぎを防止(Ph/イメージマート)
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寝る前の行動に注意

昼間に受けた疲れやダメージは睡眠でリセットしたいところ。寝る前の行動でスムーズに眠れるかが変わってきます。

「深部体温が下がると眠気を感じるのですが、夜も暑い夏は深部体温が下がりにくいため、眠れなかったり、睡眠の質が悪くなったりします。そこで、いったん体温を上げて深部体温が下がるタイミングを作ることで、快適な睡眠に導きます。眠る60~90分前にお風呂に入ったり、軽いストレッチを行ったりするといいですね。ただし、お風呂のお湯が熱すぎたりストレッチを頑張りすぎたりすると、交感神経が優位になって逆効果になってしまいます。夜はリラックスすることを心がけましょう」

◆教えてくれたのは:医学博士・高尾美穂さん

医学博士・高尾美穂さん
医学博士・高尾美穂さん
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愛知県出身。イーク表参道副院長。産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者としても女性の健康を支えている。著書に『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)など多数。

取材・文/小山内麗香

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